お久しぶりです。
本当に久しぶり過ぎて白目にもならないわww
こちらは前回と同じく、twitterで「リプを受けたキャラ×好きな歌でイラストを描く」というお題でリプいただいたイラストに文章をつけたものです。
本当ならイラストだけなんですよ。
でも、イラストに説得力がないから解説も付けちゃおう……と。
いつものあのパターンですねww
それで、お題のキャラと選曲です。
キャラクター:遊馬百汰(ボーイフレンド(仮))
選曲:Loversday(FIELD OF VIEW)
SSは追記にて。
お時間がある方はどうぞ。
海開きをまだ迎えていない5月の海岸は、気温が高くなりはじめたとはいえ人気がない。
俺はひとり、ベンチに腰をかけながら1枚の紙とにらめっこをしていた。
大した文字数でもないのに、俺はそこに何も書き込めず鉛筆を遊ばせている。
どれくらい時間が経っただろうか。
「ふぅ」と軽く深呼吸をして顔を上げようとした時だった。
突風に吹かれ、手元にあったそれが飛ばされてしまった。
「わぁっ、まだ何も書いてないのに!」
どうしようと、軽く絶望に似た気持ちで頭を抱えていると。
「遊馬先輩?」
聞き慣れた朗らかな声が聞こえてくる。
その声の持ち主は、おずおずと1枚の紙を差し出した。
「あの……、これ遊馬先輩のですよね?
こっちに飛んできたんです」
「○○ちゃん、助かったよ。
ありがとう、……なんか情けないところ見せちゃったね」
もう一度それに視線を戻し、俺はため息をついた。
「それって、進路希望調査書ですか?」
「あぁ、今週中に提出しなきゃならないんだけど、なかなか埋まらなくてね」
俺は自嘲気味に肩をすくませてみた。
すると彼女は俺に一言断りを入れて、隣に腰をかける。
「私も提出しなきゃならないんです、それ。
やりたいこと、ないことはないんですけど、いざ書こうとすると手が止まっちゃうんですよね」
「そうそう、だから気分転換に潮風にあたってみたら少しははかどるかな……って思ってここに来たんだ。
だけど、ダメだな。
色々と考えてしまってね」
本日何度目かわからないため息をつく。
そして、これまでのいきさつを話した。
その間、彼女は何も言わずにただ俺の言葉に耳を傾けてくれていた。
それが心地よくて、俺はいつも以上に饒舌になっていたと思う。
一通り話し終えたところで。
「なんか……、意外です。
遊馬先輩ってすごくポジティブで、決断するのもためらったりしなそうなイメージだったので」
「ははっ、それは買い被りすぎだって。
俺だってただの人間だ。
前向きであろうとは思っていても、俺は器用じゃない方だから戸惑うことばかりだよ」
「あっ、ごめんなさい。
勝手なイメージ持っちゃって……、不躾でしたよね」
「いや、びっくりはしたけど、決して悪いイメージじゃないから全然かまわないよ?」
少なくとも今のようにウジウジ悩むような奴ではない、と思われていたんだな。
そう思われていることは、嬉しくもあり、少し情けなくも思えてくる。
「私、こうして悩むことって嫌いじゃないんです。
色んな選択肢があって、そこにはどんな未来が待っているんだろう、って思うとすごくワクワクしちゃう」
彼女は悪戯っぽくチロリと舌を出した。
「な〜んて、遊馬先輩より1年時間がある分、ちょっとのん気な考え方してるだけなんですけどね」
彼女の言葉に、俺の中で何かがスッと落ち着いていくような感じがした。
「○○ちゃんって、強いんだな」
「? 何のことですか?」
彼女は不思議そうに小首を傾げるが、その問いかけには答えない。
その代わりに俺はある提案をする。
「ねぇ、○○ちゃん。
もし時間あるなら、遊んでいかない?」
「はぁ……、特にこの後に用事はありませんが」
「なら決まり!
それじゃ、海まで競争だ!」
「えぇっ!?」
彼女が戸惑っているのも構わず、俺は靴を脱いで海岸へと駆けていった。
「ほら、早く早く!」
illustration
逸る気持ちを抑えきれず、俺は彼女の手を引いて海に足を浸した。
足を撫でる海水の冷たさが心地よい。
「遊馬先輩、どうしたんですか?」
「んー、なんだか気分がいいから」
それは質問に対する答えにはなっていないだろう。
そう答えたのは、それ以上にふさわしい言葉がなかったからだ。
そこに明確な理由があろうとなかろうと、物事は選択と決断の連続だ。
今までだって、何度も重要な決断に迫られてきた。
それでも、ちゃんと暮せている。
こうして、大切な人たちと笑ったり悩んだりすることだってできている。
それに気付くことができたのは、間違いなく彼女の言葉があったからだ。
たった1枚の紙切れによって、今後全てのことが決まってしまうかのようで。
大げさだとは思うけど、その決断をすることが俺は怖かったんだと思う。
この先も、進路を巡って大人たちと何度も衝突するだろう。
だけど、いつかはそれも笑い話にできる時が来るだろう。
やりたいことがあって、その先に将来の夢を見ることはすごく幸せなことだ。
それには辛いことだってあるかもしれないけど、真剣に立ち向かわずにいたら勿体ない。
海岸に押し寄せる波がひとつとして同じものではないように、それに向き合える時間も一度しか訪れてくれないから。
俺たちを照らす日差しが眩しい。
高校最後の夏がもうすぐ始まる。
◎あとがき
リプをもらったキャラ×好きな曲。
その第二弾は遊馬先輩でした。
遊馬先輩ってすごく爽やかで優しくて一緒にいて楽しそうな男の子なんですよね。
だから、選曲も爽やかテイストな方がいいよね〜ってことで選んだのがこの「Loversday」でした。
またFIELD OF VIEWかよ!
っていう突っ込み来そうですが、イメージ湧きやすいんですよね。
FOVの曲って特別凝った言葉を使ってるわけじゃないけど、情景や感情がすごく伝わってくる曲が多いんですよ。
話はそれましたがww
まずは、このイラストの解説でもしようかな……。
最初に遊馬先輩について色々とイメージして思い浮かんだのが「爽やか」「ポジティブな性格」「憧れの先輩」でした。
そこから色んな曲を当てはめてみて、選んだのがこの曲なのですが、一番の決め手になったのが大人になってからの生活に対する戸惑いだったり将来のことを考えている描写があったことです。
高校3年生ってそういう将来を決める重要な決断に迫られるすごく重要な時期なんですよね。
進路が決まっていても、衝突したり葛藤したり……。
いくら前向きで憧れの存在とされてはいたとしても、遊馬先輩も決して例外ではないと思うんです。
そういう一面も書いてみたいな、と思っていたら案の定グッダグダになってしまいましたww
イラストひとつで曲のイメージを表現するのってすごく難しいことなんだなーって改めて思いました。
だからと言って、文章に逃げるのもそろそろ卒業せなあかんな……とも思っているのですが、私の画力じゃまだ無理です。
でも、このイラストにはこういう背景があって……っていうのを想像しながら描くのはすごく好きです。
リクエストくださいました、こま鳥様。
ありがとうございました。