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一体、この人達はなにを言っているんだろう。
そう不思議に思っていると、高杉さんが我こそはと名乗り出た。
「やはり女の事となれば、俺の方が頼りになるだろう」
高杉さんは満足げな笑みを見せる。
確かに高杉さんは経験も豊富そうだし、女の人の喜ぶ事を色々と知っていそうだ。
まぁ、アイツが喜んでくれるなら―――。
「…オレ、女性経験とか全くないんで……、その…宜しくお願いします!」
オレは素直に頭を下げていた。
だけど、高杉さんの講義に耳を傾けようとしている人物は、オレだけではなかった。
「高杉、わしからもお願いするぜよ!」
「え? 龍馬さんもですか?」
「いや…、ちくと気になっての」
「せやなぁ、その話には興味があります。
わてにも聞かせていただけまへんか?」
「あ、藍屋さんまで…!」
オレの両サイドで身を乗り出している2人を一瞥すると、そのにやり顔をさらに深めた。
「まぁ、1人でも2人でも同じことだ。
それに坂本たちがいた方が都合がいいからな」
「え…? 都合がいいってどういう意味ですか?」
「じきに分かる。とにかく座れ」
一体なにがはじまるんだろう。
なんか…、嫌な予感がしてきた。
「まずは結城。昨晩、何をされたか洗いざらい話してみろ」
「そ、それはっ!」
昨晩されたことって…。
あんなこと、思い出すだけでも恥ずかしいというのに。
それをこの場で言えだなんて、高杉さんは鬼じゃないのか?
「ほぅ、言えないか。
じゃあ体に聞いてみるか。
坂本、藍屋、結城を押さえてくれ」
「おお、任せろ!」
「ちょっ、藍屋さん!
龍馬さんまで何するんですか?」
突然、両脇から龍馬さんたちにホールドされ、前からは高杉さんが妖しい笑みを浮かべながら近付いてくる。
そして、オレのそばにしゃがみこむと、指先で顎をくいっと上げて視線を絡ませてくる。
この顔、男のオレでもドキドキするほど色っぽい。
「藍屋の手練手管と坂本の愛し方、そして俺の手ほどき。
どっちがいいか試してやろう」
「えっ!?」
そ、それって…。
高杉さんがそっとオレのスラックスに手を当て、さわさわと撫でまわす。
その動きが艶かしくてぞわぞわした。
「なかなかいい顔をするじゃないか。
まあいい、今から存分に堪能させてもらうぞ」
「おお、実践じゃな!
翔太、力を抜いて高杉に全て任せてみるんじゃ」
「ええっ! りょ、龍馬さんまでっ!
オレ、男には興味ないんですよっ!!」
「結城はん、なに言うてはるんどすか。
昨晩は、散々鳴いたんやろう?
あんさんの甘美な声にはそそられましたさかいに、もう一度直に聞かせてもらいまひょ」
ちょっ、藍屋さんまで!!
「翔太、わしも協力するぜよ」
「しなくていいです! むしろ離してくださいっ!」
3人してオレの言葉を無視して、その手に力を込めると…。
「だめぇえぇえ!!!」
すぱーん!と勢いよく襖が開く音が響く。
そこには○○の姿があった。
「翔太くんと(ピー)するのは、龍馬さんでも秋斉さんでも高杉さんでもなくて私なの!!」
――何を言ってるんだ、年頃の女の子が……
…アレ…?
なんだか、喧騒が遠く…
……なって………。
* * *
「ん……」
気がつくと、オレは布団の中で横たわっていた。
「あ、気づいた? 翔太くん大丈夫?」
心配そうに顔を覗かせたのは○○だった。
「えっと…あれっ?」
起き上がろうとすると、○○に押さえつけられてしまう。
「だめだよ、寝てなきゃ!
翔太くん風邪ひいてるんだから」
風邪…?
あぁ、思い出した。
オレ、熱でぶっ倒れたんだ。
だけど…アレはどこからが夢だったんだろう?
「お前、ずっとここにいたのか?」
「えっ! う、うん、心配だったの。
翔太くん、嫌だった?」
そう聞いてくる○○の口調は、どことなく歯切れが悪い。
「いや、そんなんじゃないよ。
そういえば、何書いてるの?」
ふと、目に入った薄い本のことを聞いてみると、○○は急に慌てふためいた。
「げっ、バレちゃったか…。
見つかっちゃったなら仕方ないな。
これは今執筆中の同人誌なの。
龍×翔にしようか、高×翔にしようか迷ってたの。
はっ…秋斉さんの存在を忘れてた!
いっそ、4Pにしても美味しいかも!」
「……そ、そうなんだ。」
オレは顔をヒクつかせていた。
そんなオレの様子に気づかず、○○はただ無邪気にオレたちで腐った妄想を繰り広げていた。
は、はは……。
○○、ある意味以心伝心だよ。
ちなみに、その同人誌には先ほどオレが見た夢が物語として書かれていた。
それが後に、平成の時代で『艶ぼ〜い』という幕末ものの恋愛ゲームとして、一部の女性たちに親しまれることになるなんて、この時のオレには知るよしもなかった。
めでたし、めでたし…なのか?
一方。
――ね、眠れなかった。
彼女もまた、眠れない夜を過ごしていたのだ。
――いよいよ翔太くんと一つになれると思ったのにっ!
そう期待を込めた彼女の視線を受け、首筋にキスを降らせたまでは良かった。
だけど、その手を帯に手をかけた時だった。
「うっ!!」
後頭部に鈍痛を感じ、オレは小さなうめき声を上げて意識を失った。
瞬間、オレの身体から重力がなくなる。
「やっぱりお前にはまだ早い。
今日のところは引き上げろ…って聞いてねえか」
オレの背後に立っていたのは、赤い着流しの男だった。
「高杉さん!?」
「おう。コイツは預かっていく。お前はもうゆっくり寝ろ。
ああ、それと今夜の事は内密にな」
何故かそこにいたのは高杉さんで、オレに手刀を浴びせて気を失わせると、担ぎ上げてさっさと部屋から出て行ってしまった。
「坂本、お前も見てないで運ぶの手伝え」
「おお、すまんな、高杉」
「それにしても、結城をまた不発にしてしまったな」
「そうじゃな。じゃが翔太にはもう少し修行が必要やき、わしらが手ほどきせんとな」
そうして宿にまで連れて来られた事をオレは知らなかった。
おまけに、良いところで止められてさらに気持ちは悶々とするばかりだ。
――あぁっ、もう! なんかオレ、おかしくなりそうだ…。
おかしくなるついでに、頭痛までしてきた。
ズキズキ響く頭の痛みに耐えていると、楽しげな声が降ってきた。
「お取込み中、失礼する。結城、これからお前を男にしてやる」
「た、高杉さん! いつの間に?」
「最初からここにいたぞ。
実に面白いものを見せてもらった。
だが、坂本ばかりに美味しい想いをさせるわけにはいかないよな」
高杉さんはにやりと口角を上げる。
――まさか、あんな場面を見られていたなんて!
全身の血液が沸騰するような感覚がする。
龍馬さんに抱きかかえられたままアタフタと狼狽していると、また別の方向から不機嫌な声が聞こえてくる。
「邪魔されちゅうがぜ。高杉、何を言うんちや。
翔太はわしが躾るんじゃ!」
龍馬さんはゆらりと立ち上がり、高杉さんと言い合いをしはじめた。
――な、なんか、おかしなことになったぞ!
男たちの不毛な言い争いに顔をしかめていると、救いと言わんばかりに襖が勢いよく開いた。
「黙りぃ!
結城はんが心配で様子を見にきたというのに、あんはん方は何をやかましくしてるんどすか!」
見上げると、藍屋さんが龍馬さんたちを冷たい目で睨みつけている。
「藍屋殿、こうして澄ました顔をしているけど、本当は昨夜の結城のことが気になって仕方がないんじゃねぇのか?」
「なっ!」
高杉さんの問いかけに、藍屋さんは一瞬目をはった。
そして、観念したように肩を竦ませる。
「せやなぁ。気にならへんと言うたら嘘になりますわな」
「そうじゃろ?
この際やき、翔太が誰を選ぶかはっきりさせたようやか」
龍馬さんがオレの方を見やると、それを合図に全員じりじりと詰め寄ってきた。
「「「お前はどっちを選ぶんだ?」」」
「え〜〜〜〜〜〜っ!!」
恐らく、遅かれ早かれどちらかを選ばなければならなくなるだろう。
「…ん、んふ……ふぁ、しょ…た…くん」
「……ん?」
潤んだ瞳で○○が見つめる。
「……翔太くんが元気ないのは…私のせい……?」
「え……?」
予想もしなかった問いかけに動きが止まる。
「私が決心つかないから、なの?」
○○は悲しそうに俯いた。
どうしてそう思ったのか、オレには話の脈絡がつかめない説明を求めると、彼女は花里さんとの会話の一部始終を話してくれた。
* * *
「押し倒せ!?」
お座敷から戻る途中、花里さんは○○にこう言ったのだ。
「せや! 翔太はんはな、春画じゃ抜けへんほど○○はんの事を恋しゅう思っとる。
二人とも両想いなんやろ?
なら、先に進んでもわてはええと思う。
翔太はんの元気の源は○○はんにあると思うんや。」
○○は先ほどの元気のない様子のオレのことを気にかけてくれていた。
オレがいつでも陽だまりのような温かい人でいられるなら、何だってしたい。
○○はそう願ってくれていたのだ。
「花里ちゃん…私、頑張ってみるよ!」
* * *
花里さんにそう意気込んで、今に至るとのことだ。
――違う。そういうんじゃないんだ!
○○の話を聞いて、オレの胸の中がぎゅっと締め付けられるような感じがした。
「○○、よく聞いて。
確かに、元気じゃなかったかもしれない。
でも、それはお前のせいじゃない。
お前を見ていたら…お前に何するかわからない自分が恐かったんだ。
好きだから、傷つけたくなかった。」
「私も……、同じだよ。
好きなの……好きすぎて恐いの…。
龍馬さんに躾られても高杉さんにいじられてても、秋斉さんにお仕置きされても、春画を読んでいても」
「読んでないっ!」
……ぷっ
「あははっ」
張り詰めていた空気が緩んだ。
必死になってそう訴えてくる○○があまりに可愛くて、笑いがこぼれてくる。
「もう迷わないよ」
「私も。大好きだよ、翔太くん」
目を合わせると互いにぎゅうっと抱きしめ合う。
身体が密着するほど、強く、強く――。
「――っ!?」
すると、急に○○が口をパクパクし始めた。
「どうした?」
「あの…あたって…る」
「…………っ!」
○○に指摘された反応を鎮めようと自身に叱咤したが、身体はいうことを聞いてくれない。
そんなオレの思考とは裏腹に、○○はさらに追い打ちをかけた。
「翔太くん、我慢しないで。
私、翔太くんのすべてを受け入れたいの」
○○はオレの着物の袂に指を滑り込ませた。
巧みな指の動きにオレの身体は絆されてしまう。
「○○、オレのことを煽った責任とれよな」
○○が頷くのを確認すると、オレはその小さな身体を組み敷いた。
○○の頬に、首筋に口唇を這わせる。
そのたびに○○の身体は、ピクっと跳ねる。
素直な反応が愛おしく感じたオレは、さらに愛撫を続けた。
遊女という仕事は案外力がいるものなのか、○○の身体は意外と筋肉質にできていた。
彼女のたくましい胸元に吸い付き、オレの痕跡の紅を散らばす。
ふわふわとした癖っ毛に指を通して、この先の行為に移ることを告げた。
「極力優しくするけど、辛くなったら言えよ」
○○は目元を緩め、こう言った。
「何に対して優しくするがだ?翔太」
…………。
……………………。
「……はっ?」
気が付くと、オレは龍馬さんに馬乗りなっていた。
「おまんの寝相は相変わらず凄まじいのう」
寝相?
まさかの夢オチ、再び??
繰り返してしまった失態に、オレは何の言葉も出ない。
オレはその場から飛び退いたが、あっさりと引き戻されてしまう。
「今日は何の用事もないぜよ。
ゆっくりしようや、翔太」
いつもとより甘く低い声で囁いた龍馬さんは、オレを抱き寄せて布団に潜りこんだ。
「翔太、おまんはやはり可愛いのう」
なんて布団の中でぎゅってしないでくださいっ!
しかも何かあたるんですけど!!
かなりリアルでいいところだったのになぁ。
あぁ、残念。
彼から解放されたのは、夜中だった。
そろそろいい頃合だから行け、と冷淡に微笑みながら突き飛ばした先には、丁度お座敷から戻ってきた○○がいた。
彼女は、オレたちが行為に夢中になっている間にお座敷に行っていたらしい。
あの情事を○○に見られていなかったことは、オレにとっては大きな救いとなった。
「コイツのことをよろしく」と申し付けると、○○はしどろもどろに了解した。
○○の返事を聞くと、彼は妖艶な笑みを浮かべてオレに激励してくれる。
「先ほどの教えを忘れないうちに」という言葉をやたらと強調しながら。
「えっ!? ちょ…ま、待ってください!」
彼のことを慌てて引き留めると、「ここで男をあげられないようじゃダメだな」と言わんばかりに、思いっきり呆れたような目でオレのことを見てくる。
「男をあげるって…今のオレじゃ」
きっと、この熱で○○を大事にしてやれないに決まってる。
そんな勢いだけで大事なコイツを…!
そう思案していると、「計画は変更だ」と言いながら彼は踵を返して○○の方へ向かった。
せっかく手練手管をじっくり教え込んでやったのに、ここで使えないならお前はここで指を咥えて見ているんだな、と意地の悪い言葉を投げかけてきた。
彼の瞳が怪しく揺れて○○を見据えている。
こ、これは本気だ!○○が危ない!!
「○○も可愛らしくて教えがいがあると思っていた」
そう言うと、彼は○○の顎をクイッと持ち上げた。
この先の行為はオレのためのものらしいが、そうは思えない。
「え…えぇっ!?」
ほら、○○が狼狽している。
そんなことをされるくらいなら、勢い任せでもオレが○○をモノにした方が良いに決まっている。
「ダメに決まってますっ! だったらオレがっ!!」
そこまで言って、しまったと思ったがもう遅い。
彼はうっすらと笑みを浮かべるとさっさと部屋を出て行ってしまった。
彼が部屋を出てから、しばらく沈黙が続いた。
「えーっと…、どうしよう。
あ、そういえば花里ちゃんが言ってたな。
翔太くんも大変なんだよね…」
○○が何かを呟いている時、オレは彼が言った言葉を反芻しては頭を抱えていた。
――あぁ、もう! あの人は何考えてんだよっ。
と、その時、背後から○○の気配を間近に感じる。
「翔太くん…」
「え……っ!?」
――えっ!○○、そんなに近づかれたら、オレ…。
「とりあえず夜遅いし、布団敷いたから。あっ、でもお布団ひとつしかないんだけど…」
振り向くと、布団の上に乗った○○がポンポンと枕を叩いてオレを誘導している。
――やばい、それは興奮する!
オレは必死になって、昂ぶった心を宥めた。
大丈夫、オレは至って冷静だ…。
そう自分に言い聞かせて、とるべき行動は何かを考えた。
「いや、いいよ! 男だしその辺…」
その辺で寝る、と○○の申し出を断ろうとすると、ぐいっと着物の裾を強く引っ張られた。
その勢いで、布団の上に尻餅をついてしまう。
「○○!? オレ本当に…」
「いいから…」
「!?」
「ちゃんとしたところで寝ないと体が休まらないよ?」
肩を押されて寝かされ、押し倒されたような格好になってしまった。
○○は可愛い顔で首を傾げている。
頭は冷静であろうとしても体は正直だ。
オレは○○の頭に手をまわして唇を奪っていた。
もう、オレの理性はどこかへ行ってしまっていた。
○○を強く抱きしめて、オレは何度もキスを繰り返した。
頭の中は○○のことでいっぱいで、止める事ができなかった。
「オレ、ずっとお前のことが好きだった。小さい頃からずっと…」
「翔太くん……」
「本当は、ずっとこうしたかったんだ」
そう言うと○○もオレの背中に手をまわして、ぎゅっと抱きしめ返してきた。
「私ね、現代にいた頃は翔太くんを大切な幼なじみだって思ってたんだけど…。
でも、今は違うの…」
「えっ?」
「私も…、翔太くんの事が…大好きみたい」
「―――――っ!!」
もう、駄目だ!
今度こそ本当に衝動を止める自信なんてなかった。
その手をぎゅっと握りしめて、オレはもう一度##NAME1##の唇を何度も啄ばんだ。
もう、○○が愛しすぎてキスにも激しさが増していった。
2人の舌が絡み合って、お互いに求め合っていた。
性 別 | 女性 |
系 統 | 硬派系 |
職 業 | 夢追人 |
血液型 | A型 |