公演が終わり、満月は打ち上げと称した飲み会に参加した。

「…………あの、ほどほどにしてくださいね。お兄様達。」
「だいじょーぶ。綾人兄ちゃんみたいに酒弱くないから、僕は!」
「そういうお前も酒に強くはないでしょう、幸人。」

「かずちゃん、綾人兄ちゃんが飲み比べをしようだって。」
「おう、やるのか。飲み比べ。」
「まぁまぁ。和彦さんもほどほどに。皆、酒に強くないんだから。」

「………祐一が酔っ払ったところ、見たことないよね。」
「祐一だけじゃなくて、初瀬家の人間は大体そうだろう。
なはは、いやぁ、酒に強いって羨ましいねぇ。」

「公演にも参加していない癖して、何しれっと混ざっているんだ、智久。」
「何気にするな。退屈しのぎにはなるさ。
なぁ、満月ちゃん?」

「おいこら、お前それで何本目だ!!」

てんやわんやと叫び声が響き、満月はあーあ、と呟く。

「…………何というか、賑やかですね。」
「…………私以外、全員成人しているんだからブレーキをかけてくれればいいんだけど……。
後始末をする身にもなってほしいなぁ……。」

「ほら、満月ちゃんが困っているから、酔っ払いは絡まないようにね。
特に芳樹。」
「何で俺に話題を振るんだ。俺、満月ちゃんを困らせたことないんだけど。」

「とか言って、この間の飲み会の時危うく襲い掛かりそうになったのは
何処の誰だったかな?」

祐一に言われて、芳樹はうぐっとなった。満月はそれを見て苦笑する。
「芳樹さんだからよかったんですけどね……。」

「まあまあ、お堅いことは言わずに今日は無礼講だ!
この調子で、千秋楽まで駆け抜けよう!」

演出家の不知火が叫ぶと、裏方も含めて全員(満月と物吉を除く)が歓声をあげる。
「………何かいつも貧乏くじを引いているような気が……。」
「……お酒の魔力は怖いですからね。危うくなる前に避難しましょうか。」

「………そうだね。」


続く。