「かーのじょ、暇?」
「良かったら、俺らと遊ばない?」
とある日の午後。商店街に来た満月は男性達に声をかけられた。
「……いや、私娘いるし。結構年増だし。」
「えー、嘘。子持ちに見えないんだけどー。」
「そーやって俺らの誘い断るつもり?」
「いやだからホントなんだって。」
「まーまー、そう言わずに。」
「ほら、行こうよ。」
男性の1人が満月の手を握った時、明るい声がした。
「あ、ママ!」
「お母さん、会計済ませたいんだけど。」
「……ありゃ?」
とん、とん、とん、と現れた3人の子供に男性達はえ、と呟いた。
「ママ、知り合い?」
「ひょっとしてナンパなのかな?」
「うわぁ、私達のママにナンパなんて良い度胸してるよね。」
「高校生と小学生の娘がいんの!?」
「……いやー、まだいるんだよね。息子が3人。」
「母上、どうかしたのか?」
「母さん、どうしたの?」
「……どうもこうもこれはナンパ、ですよね……。
あの、こういうところでのナンパは条例違反になるのでやめた方が………。」
ひょい、ひょい、ひょい、とさらに3人が増え、男性達はひぇ、となる。
「だから、言ったじゃない。こう見えても年増なんだって。」
「えー、ママ。まだ若いからいいじゃない。」
「パパの方がずっと年増だよ〜。」
「………で、用事はそれだけですか?」
「子持ちに声をかけるなんて、最ッ低!!」
何だ何だ、と集まる買い物客に男性達は冷や汗をかくと。
「し、失礼しましたーーー!!」
と言って、その場を去って行った。
「………ママ、今度から買い物行く時はパパと一緒の方がいいんじゃない?」
「そうだねぇ………でも、響夾と桃子と桃花に声がかけられなくてよかった。」
「いやいや、お母さんの方が大変だってば。」
「見た目若く見えるって大変だねぇ。」
「人を見た目で判断しちゃいけないって、十分わかったかな?」
「………懲りずにやると思うに1票。」
「……そうですなぁ。」
終わり。