「………ここが、はじまりのまち………?」
「良かった、ここは無事だったんだね。」

廃墟と化した街を通り抜け、美月はムンモンの案内で<はじまりのまち>に到着した。
デジモンのタマゴ、デジタマが至る所でゆりかごに揺れていた。

「ここは死んだデジモンが生まれ変わるための準備をするんだ。」

「へぇ…………。」

「………よく来てくれました。選ばれし子供よ。」

はじまりのまちの中心部に到着すると大木からオファニモンが出てきた。
だがその姿はかなり衰弱している。

「オファニモン、大丈夫!?」
「……すみません、お見苦しいところを見せてしまって。
闇の勢力との戦いで、今の私はかなり疲弊してしまい、
成熟期のデジモンでさえ十分に追い払えるかどうかまで弱っているのです。」

「………ムンモン、手当することはできないの?」
「デジヴァイスを使えばいいよ、美月。」
「わかった。」

美月がポケットからデジヴァイスを取り出すと、それは強い光を放った。
その光はオファニモンを包み込み、疲弊を回復させた。


「………ありがとう、感謝します。」

「いやいや、私は何も。ただこのデジヴァイスが勝手にしてくれただけで。」
「いいえ、貴女は初めて会ったばかりのデジモンに恐れることなくこうして
この世界に来てくれた。
それだけでも十分凄いことなのです。」
「…………ムンモンが可愛いから、来ただけなんだけどなぁ……。」
「それでも良いのです。
貴女の名前を伺っても良いですか?」
「私、美月。美しい月って書いて美月って呼ぶの。
今は小学6年生……の予定。」

「………そういえば、美月。会った時にも言っていたよね。
学校って言う場所に行ってないって。……何で?」
「いやまぁ、恥ずかしながら………うちの親が私立か市立の学校に行かせるか行かせないかっていう
しょうもない理由で喧嘩して、それにストライキして不登校になってんの。
ママはうん、教育熱心なところがあるからちょっとアウトだけどパパはどっちかっていうと
物分かりが良い方だから。………って私の家庭事情はどうでもいいから。

オファニモン、ムンモンから聞いたんだけど闇の勢力が人間界をも支配しようっていうのはわかる。
でもロイヤルナイツって何?どうして三つ巴の戦いになったの?」
「………そうですね。まずはそこから話をしましょう。」


オファニモンの話に美月はうん、と頷いた。


「まず私達が住むデジタルワールドは
現実世界のネットワークが進歩する度に現在進行形で拡張しています。
それでデジタルワールドはホストコンピュータであるイグドラシルが管理をしており、
その下にロイヤルナイツという究極体で構成された騎士団があります。
………ただロイヤルナイツは各々が信じる正義の下、
動いているので必ずしも絶対的な正義の味方ではないのです。」
「あー、つまりは……例えば私達が闇の勢力の侵攻をどうにかしたい、と思っていても、
必ずしも協力してくれるとは限らないってこと?」

「ええ、そうです。………それどころかイグドラシルは我関せず、と言った状態なので
結局のところムンモン達が所属しているオリンポス十二神族が、闇の勢力と戦うことになったわけです。」

「………そうだったんだ………。」
「ボク達も頑張ったんだけど、敵が強すぎたんだ………。
だから、メルクリモンがパートナーを探して人間にも協力してもらおうってことになって
ボク達はパートナーを探すことになったんだ。」
「………で、そのうちの1人が私ってことなんだ。」
「はい。」



続く。