その後、綾小路公孝は麻薬取締法違反によって警察に逮捕された。

「…………何もしなくても、どのみち警察に連行される運命だったって奴か。」
「ツメが甘かったんだね、兼さん。」
「ま、これで喧嘩売る奴も少しは減るだろ。」
「加州さんと大和守さんも暴れたかったって言っていたよ?」

「……あの2人は凶戦士だからなぁ、特に大和守は。」


「ご苦労様でした。和泉守殿、堀川殿。」

一期一振に労いの言葉をかけられて、和泉守は応、と頷いた。

「…………で犯行の動機はやっぱり、借金か?」
「そのようですな。お嬢様と結婚して軍資金を手に入れようとしていたようです。
まあ、最もそのような輩にはお嬢様を渡しませんが。」
「だろうな。私達の使命は綿貫と姫宮の血縁者を守り通すことだからな。」

「はい。誘拐未遂も立派な犯罪ですから。」

「一期、1つ聞いてもいいか?」
「何でしょう。」

「…………お前、ホントにお嬢様お抱えの守り刀でよかったのか?」
「当然です。十数年前、お嬢様がお生まれになった際、若旦那様から託されましたからな。
生涯この人しか愛さないという意味を込められた、というのもありますが。」
「……………お前、良い性格しているんだな。」
「褒め言葉として受け取っておきましょう。」

「ま、愚問だったな。忘れてくれや。
私達もお嬢様のことは気に入っているからな。」
「うん、そうだね、兼さん。」

「一期ー、ちょっといいー?」
「はい、ただいま。では私はこれで。」

「おう。」

満月の元に向かう一期を見て和泉守と堀川はクスリ、と笑い合った。



終わり。