「…………へぇ、なるほどね。綾小路公孝か。」
「はい。どうやら、お嬢様を狙っての犯行だそうで。」
「満月ちゃん、モテモテだね。」
「嫌ですよ、誘拐犯とくっつくなんて。
私、芳樹さんの婚約者ですから。」
「そりゃそうだね。よしよし、酷い目に遭っただろう。」

芳樹に頭を撫でられて、満月は気分が高揚した。

「毛利と包丁がボコボコにしてくれたんですよ。」

「そりゃ、僕達はー…………。」
「お嬢様と若旦那様がくっつくことを楽しみにしているんですからね!」
「小さい子がたくさんできると嬉しいものですねぇ。」
「あはは、満月ちゃんの体力が持つかな?」
「もう芳樹さん!」

「………で、いかがなさいますか。若旦那様。」
「売られた喧嘩は買わないと、ね。痛い目に遭わせないと、わからないようだ。」
「では、土方組に任せると致しましょうか。」
「そうだね。しばらくご無沙汰だし、憂さを晴らすにはもってこいなんじゃないかな。」


その頃、綾小路宅では。

「………何ぃ?誘拐に失敗しただと!?」

「は、はい………守り刀2人にやられたらしく………。」
「っち、守り刀か………忌々しい…………!」

「き、公孝様、大変です!」

部下を叱責していた公孝の元に別の部下が慌てた様子で駆けつけてきた。

「どうした!?」
「で、電気系統に異常が…………!!」
「……何ぃ!?」

ガシャン、とガラスの割れる音が室内に響く。公孝はびくり、となった。

「…………よぅ、綾小路公孝。」

「………どうも、お邪魔します。」

「な、何だお前らは!?外にボディーガードがいたはずだ!!」
「ああ、皆さんならおねんねしていますよ。最近働かせすぎじゃないですか?」

「そんなバカな………50人はいたはずだぞ…………!」

「悪いな、これでも主命なんでな。姫宮と綿貫に喧嘩を売ったこと、後悔させてやる。」
「ま、まさか…………守り刀か!?」
「ピンポーン。大正解!てなわけで暴れさせてもらうぜ!」
「兼さん、ほどほどにねー。」
「闇討ち暗殺だけはすんなよ、お前!」

そう言うと和泉守と堀川は刀を鞘から抜いた。




続く。