「これはまた随分と熱烈なラブレターだな。」

芳樹宛に届いた脅迫状を見て、三日月宗近はふっと笑った。
「お嬢様を自分のものにしたいからと言って、若旦那様を殺すと言うのは筋違いだな。
守り刀という厳重なボディーガードがいるというのに、馬鹿な奴よ。」
「ごもっともでございます、三日月殿。」
「…………して、警察は物的証拠がなければ動かない無能だからな。
どうする?一期一振。」
「無論、我々粟田口が調べたうえで徹底的に潰します。
ミツバチが種を運ぶ前に、排除しなければ。悪影響を及ぼしますからな。」
「まいた種はすぐに排除する、か。お前達らしいな。」
「いえ、新選組に比べたらまだ生易しい方ですぞ。」
はっはっは、と互いに笑い合う三日月と一期に、そばについていた信濃藤四郎は
うげぇ、と言う顔をした。

三条の方でも調べてみる、と言うことで三日月と別れた一期は信濃と共に
長い廊下を歩いた。

「………いち姉ぇ、若旦那様には報告しなくていいの?」
「いちいちこの手の手紙を報告する必要はない。
正々堂々とした相手ならともかく、ね。」
「………………何やかんやで若旦那様に甘いよね、いち姉ぇ。」
「そうかな。何しろ、小さい頃から見ているからね。」
「……………そっか。」
「とりあえず物吉殿にも連絡をして、しばらく様子を見よう。
守り刀の数を増やして、徹底的にガードしなければ。」
「………いち姉ぇってお嬢様のことになると、目つきが変わるね。」
「当然さ。若旦那様から、あらゆる障害から守り通せと仰せつかっているから。」

「生まれた時から見守っているから娘のような感覚だもんね、お嬢様。」
「ああ、そうさ。結婚したり、子供を産んだことはないけれど。
娘のように大事に思っているからこそ、守らなければ。」






続く。