「それじゃ、行ってくるね。また二、三日したら戻ってきてくるから。」
「わかりました。気をつけてくださいね。」
今朝はそんな会話をした。彼女が故郷に帰るから。
彼女の仲間、彼女の唯一の血の繋がった家族。彼らはみんな彼女の故郷にいる。だから彼女はしょっちゅう僕のいるこの町と故郷を往復する。
そして今日は、彼女が故郷に帰る日。
二、三日、ベッドに彼女の温度が無くて寂しいが、僕に彼女が故郷に帰るその行為を禁止したりなんてする権利はない。
僕は彼女にはいつでも笑っていてほしい。だから些細なことならば我慢。そう、再決心。僕は彼女を笑って見送った。
テーブルであの人が僕の心を見透かしたかのようにニヤニヤしながらコーヒーを啜っているが、無視。
部屋に戻って、彼女が彼女なりに片付けた洋服などをきちんと整頓させる。
シャツ類はきちんとハンガーに。スカートなども専用のハンガーに吊し、掛け違えてるボタンも直して綺麗に畳む。
彼女の故郷とは服の形状が違うからなのかうまく畳めていない上に、ハンガーなんて代物も無いらしくうまく使いこなせないようだ。
でも彼女なりに努力して片付けたことが伺えて少し微笑ましくなった。
「なーにニヤニヤしてんのヨ。」
「…してません。」
「どうせあの子のコトでも考えてたんデショ?」
「ほっといてください。」
わざわざ僕をからかいに来たのか、あの人は。
自室にコソコソ戻っていくあの人を横目で見ながら、僕は片付けを進めた。
それからいつも通り家を掃除し、公園で演技をし、帰ってから夕食を食べて寝る支度をする。
ベッドに入り読書をして、僕は時計を見た。
もう少しで日付を跨ぐ、これはいけない…。
「ねぇ、そろそろ寝ましょ…か……。」
僕は今ここにはいないのに、寝る時に彼女に言うセリフをいつもの調子で言ってしまった。
彼女と一緒にいることが、僕の中ですっかり当たり前になっていたようだ。
恥ずかしいような、くすぐったいような、寂しいような、様々な感情を胸に抱えたまま、僕は眠りに就いた。
それからしばらくして。
窓を叩くような音で僕は目を覚ました。
今夜は風が強いと予報で言っていたから多分そのせいだろうと僕は自己完結し、再び眠ろうとする。
しかしなんだか様子がおかしい。
これは"窓を叩くような音"ではなく、"窓を叩く音"だ。
寝ぼけていた頭がはっきりとそう認識してから、僕は起き上がった。
強盗や泥棒だろうか?しかしだとしたらこんなに手荒くするだろうか?
窓辺に寄り、カーテンを開けるとそこには、彼女がいた。
泣いている。青ざめた顔で、全身血まみれで。
一瞬彼女が怪我をしたのかと慌てたが、彼女自身の血では無いようで僕は少しだけ安堵する。
しかし彼女の様子は完全におかしく、些か錯乱してるようにも見えた。
「ど…どうしたんですか……?」
「さ…里が…みんなが……弟が…っ!!!!!」
彼女は僕の胸に飛び込んで激しく泣き出した。彼女の声を聞いたあの人も僕の部屋に来た。
何があったのかと尋ねてもただひたすら彼女は泣きつづけ…。
どうしたら良いものかと流石の僕も困惑したが、一先ず彼女が落ち着くまで待つ事にした。
一通り泣きつづけ、やがて泣き疲れて眠ってしまった彼女。
日が昇り目覚めた彼女が聞いたのは、『彼女の故郷が何者かの襲撃により壊滅した』と言う衝撃の告白だった。
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意味無し突発小説〜(笑)
一応勝手に余所様のオリキャラ借りたから名前伏せて書いたけど…わかる人にはわかっちゃうなwww
余所の子『僕』との交流でとても良いお付き合いをさせていただいている『彼女』。
この二人はベタ甘いもこういうシリアスももうなんでも似合うから本当に美味しいカプでございますはい。←
とりま勝手に『僕』と『あの人』を使ったことは、お姉ちゃんなら許してくれるときょーちゃん信じてる。←ぁ
しかしあれだね、一人称と第三者を全部代名詞で書くのって難しいね。
眠いのにやるんじゃなかった。なんかもーわっけわからん←←
補足 『僕』は現代人的な世界観、『彼女』は日本の江戸時代的な世界観の中で生活してます。