ジャローダ他初期メンバーとトレーナーの話。
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マスターは今は私をあまり使わない。
けれど、不満はない。
マスターの顔をたまに、モニター越しで見られるだけでも私は十分だった。
それに私が戦闘員から外れてマスターが強くなるなら、私は喜んで身を引くつもりでもあった。
それにより、マスターの私に対する愛情が薄れても、それはそれで構わなかった。
でも、仲間達は言う。
私が一番愛されていると。
「あーあ、マスターの愛情独り占めかよ。羨ましー。」
旅に出たばかりのときは僕にも愛情振り撒いてくれたのにと、レパルダスは膨れる。
それをムーランドがまぁまぁと宥めていた。
私も苦笑いしてレパルダスに言った。
今はもうわからないと。
なにせ、先にも言ったように、私はほとんど使われていないから。
「シンボラーの方が、愛されてるんじゃないですか?今でも使われていますし。」
私の問いに、シンボラーは静かに首を横に振った。
「ソンナコトハナイ。アノ人ノ心ニハマズ最初ニオ前ガイル。」
ずっと見てるからこそわかると、不思議な響きでシンボラーは語った。
コバルオンもその隣で頷いている。
「俺もお前が一番愛されているのではないかと思う。なんなら、ビリジオンとテラキオンにも聞いてみるといい。絶対に俺と同じ事を言う。」
コバルオンにまでそんなことを言われるとは思わなかった。
ゼブライカが羨望の目でこちらを見ていた。
「な…なんですか…?」
「……べっつにー?」
「って顔じゃないですよね。」
そんな会話をしている中、一つの大きな大きなため息が聞こえた。
一斉に振り向く先にはレシラムがいる。
呆れた表情で、レシラムはそこにいた。
「馬鹿かお前達。私達のマスターは、そんな薄っぺらい愛情しか持ってないのか?そんなわけないだろう?マスターはみな平等に愛情をくれる。この私にも、お前達にも。そして他の地方からきた彼等にもだ。違うか?」
一気にその場が静かになる。
なんだかいままでマスターを疑う様な話をしていたのが凄く恥ずかしくなった。
やはりレシラムは考える事が違うな、なんて思ったりもして。
みんなも罰の悪そうな顔をしていた。
と、突然、体が宙に浮く感じがした。
ああ、マスターが呼んでる。
マスターは私を忘れてはいないのだと、少し嬉しかった。
マスターの手元に着いてから、私はボールからすぐに出された。
いつもの自信に満ちた表情で、ボールから出て来た私に微笑みかけた。
「さ、ジャビ。これからバトルよ、また活躍してもらうからね。」
本当の名で呼ばれるより、マスターが付けてくれた名で呼ばれたほうが俄然やる気が出る。
私は人の言葉が話せない変わりに精一杯、やる気に満ち満ちた声で一鳴きした。
(マスター)
(私は最期の最期まで)
(貴女の側に……)
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突発過ぎて意味わからん\(^O^)/