パンツは間に合わせで黒いの買ったのね。シャツも半袖のやつ買ったのね。
ジャケットがよ。
明らかに緩いんだよね。
困ったさんだよ。
スーツ新調したい。
嗚呼私に諭吉がいれば。
六枚くらい諭吉がいれば。
スーツって何であんなに高いんだろう。。
食べる気満々で育てたのに枯らせちゃう春です。トマトは長い時間が必要で、端折りまくって書いたら春があまり執着してない。個人的に同じコップで水を飲んだところら辺が春なりの愛着。
と、言い訳を・・・。
面目ないです。
6000ヒット!ありがとうございました!!
心より感謝です!
またやります!
御粗末さまでした。
流行に乗ったわけじゃないが、比企がハーブを育て始めたと聞いて何となく相性の良さそうなトマトを植えてみた。ただの気紛れ。きっとそうだ。食えるものにしたのは俺的にトマトが結構好きな方だから。利点を考えての事だ。無駄に凝ったものにしても調理法が解らなければ意味が無い。比企の育てるハーブだってはっきり言って使い道なんて限られるだろうし。せっかくの半休を、そんなどうしようもない地味な時間に費やした。いつになったら芽が出るのだろうか?ほんと。こんな地味な事向かないのに。しかも夜になって気紛れにやってきた比企にしっかりプランターを目撃された。
「トマトが収穫できたら、ピザかパスタだね。」
「ピザがいい。」
「じゃあピザ。一緒に焼こうね。」
一緒に。こいつとピザを作る自分を想像して鼻で笑ってしまった。似合わないにも程がある。比企にピザという組み合わせも。俺とちまちました料理という組み合わせも。ただ何となく。食欲は湧きそうだ。夏場は食欲も減退の一途を辿るものだが。自家製の野菜とハーブのピザなら悪くはない。
張り込みが立て込み、思い出し時には四日が過ぎていた。内心トマトを気にしながら報告書を仕上げて家路に就く。
玄関を通り過ぎ、ベランダへ。芽は出ているが、色が黄色い。土はカラッカラに乾いていた。取り敢えず水をやってみる。どこだったか、やる水を少なくして糖度を上げるとか、そんな農法があったはず。望みを捨てるのは早い気がして、心持ち水を多めにやってみる。
「何やってんだ・・・俺も。」
水の入ったコップを手に部屋に戻ってクーラーを点ける。俺の体も乾いている事に気が付いて、同じコップで水を飲んだ。こんな仕事じゃ家庭菜園なんて向かない。比企のハーブも枯れるのが落ちのような気がした。
トマトは生命力が強かったらしく、何度か枯れかけたが房に黄緑色の実が成った。その生命力に油断した。一週間も放置。数度繰り返したが、繰り返した故に家路を急ぐ。その時は確かにまだ望みを持っていた。ベランダのトマトは葉を茶色く染め、成っていたはずの実が見当たらない。消えるはずもなく一時探したら、プランターの隅にポツリと落ちていた。そこでドアホンが鳴り、玄関に向かう。
「そろそろ実が成る頃でしょ?」
笑顔の比企に何と言うべきか。俺が黙っていると、比企は首を傾げてベランダへ。
「なるほど。これが沈黙の意味だね。」
「お前のハーブもどうせ枯れるだろ。」
「え?元気一杯に育ってるよ?」
その言葉に胸の奥がぎこちない音を立てた気がした。ハーブの方が繊細なんじゃないのか?
「ハーブはもともと野草だから。強いんだよ。だから僕はハーブにしたんだけどね。いきなりトマトにチャレンジする春君に感心したんだけど。まあ、ピザはトマトを買えばできるからね。」
慰められてるのか?トマトが枯れた途端、食欲は一気に減退した。実が成るところまで来たものだから尚更。食う気もしない。
「春君、意外とショック受けちゃってる?」
「・・・別に。」
答えるのが遅れたのは、やっぱりやめておけば良かったとかなり後悔しているから。一瞬でも黄緑色の実を見て、食う気も満々だっただけに後悔はでかい。
「来年。またチャレンジすると良いよ。きっと成功するから。ね?」
「もうやらない。」
「一度失敗しただけで投げ出さない。こうなったら成功させなきゃ。」
「やらねえって言ってんだろ。」
「ふうん。」
意味深な相槌。言外に「やるくせに」と言われている気がした。しかも枯らせないと自負してしまう自分もいる。
来年の夏。ベランダに実る赤い果実を想像して溜息を吐いた。
「気が向いたらな。」
全部を気紛れにして煙草をくわえた。