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ウサギくんとオオカミくん



【ウサギくんとオオカミくん】


「やあ、オオカミくん。今日もいい天気だね」
「……ん」
「いい天気。しかし晴れがいい天気なら、雨が必然的に悪い天気になるんだろうけれど……じゃあ、曇りはどうなのかな?」
「……知らない」
「曇りだけじゃなく雪は? 交通機関へのダメージを考えると雪のほうが悪いよね。冬にしか降らない一時的なものだから悪い天気に分類されないのか、それとも子どもにとって雪が遊び道具になるせいなのか、うーん……難しいね」
「……どうでもいい」
「そもそも、晴れは本当にいい天気なのかな? ああいや、勿論、晴れが悪い天気と言うつもりはないよ。でも、晴ればかりが続くと水不足が深刻な問題になるよね。農家の人たちも日照りで作物が取れなくなっちゃうと、生活が苦しくなる。必然的に野菜が値上がりしてしまう。これはニュースになるくらいの社会問題だ。それらを考慮した結果、晴れがいい天気とは一概に言えないね」
「……好きに言えばいい」
「じゃあ言い方? 仮に晴れをいい天気じゃなくて悪くはない天気にしたらどうだろう。そして雨を悪い天気じゃなくてよくはない天気にする。こうしたら……あれ? なんか、どっちも悪印象しか受けないや。オオカミくんはどう思う?」
「……ウサギがうるさいと思う」
「そうは言っても、ウサギはお喋りな生き物だよ。いつも口をもごもご動かしてるからね」
「……それはきっと関係ない」
「しかしオオカミくん。オオカミくんはオオカミくんで合ってるけど、僕がウサギなのはどうもしっくりこない感じがするんだ。確かに僕は寂しがり屋だよ? ウサギも一般的に、寂しいと死ぬ、なんて言われている。でも、それは全くの迷信。ウサギは縄張り意識が強いから、本当は単独で飼うのが好ましいんだってさ」
「……知ってる」
「僕にとっては迷惑な真実だよ。ウサギと呼ばれる僕まで、孤独が好きみたいに思われるじゃないか。僕は正真正銘の寂しがり屋、孤独は大嫌い。オオカミくんもわかってくれてるよね?」
「……わかりたくはない」
「あ、そうそう。ウサギの飼い方で思い出したんだけど、実は僕、小学生の頃に飼育委員をやってたんだ。小学校で飼う動物でメジャーなのはウサギとニワトリ。僕の通っていた小学校も王道を外れずウサギとニワトリを飼っててね、世話が大変だったよ」
「……ふうん」
「それでね、ウサギの赤ちゃんが凄く可愛くないんだ。あのふわふわした毛もないし、ぴんとした耳もちっちゃいし、まるでそう、ネコのスフィンクス? あんな感じで……あ、誤解しないでね。別に僕、スフィンクスが可愛くないって言ってるわけじゃないから。あれはあれで愛嬌があるよね」
「……先に行く」
「愛嬌ならやっぱり、僕はペルシャが一番かな。うーん、なんて言うのか、あの気品、気品がいいよね。もこもこした毛も触り心地が抜群で……オオカミくん? オオカミくーん?」




 饒舌マイペース、男の子。
 無口マイペース、男の子。


.

ヒツジちゃんとオオカミくん



【ヒツジちゃんとオオカミくん】


「オオカミくん、おはようございますっ!」
「……ん」
「今日もいい天気ですねっ!」
「……ん」
「こうぽかぽかしてると眠くなっちゃいますねっ!」
「……まだ朝。眠いのは当たり前」
「当たり前……あっ、もしかしてオオカミくん、低血圧なんですかっ?」
「……知らない」
「そういえば低血圧と高血圧、健康にはどちらが悪いんでしょうっ?」
「……わからない。多分、どっちも悪い」
「おおっ! オオカミくんは物知りですっ!」
「……普通」
「そんな謙遜しなくてもっ!」
「……してない」
「またまたっ! オオカミくんは照れ屋さんですねっ!」
「……ヒツジ」
「なんでしょうっ!」
「……うるさい」
「はうっ! うっうるさかったですかっ!?」
「……ん」
「はうはうっ! じゃあっ、えと、ご一緒して迷惑だったりしますっ!?」
「……静かにするなら、別にいい」
「オオカミくんっ……ありがとうございますっ!」
「……感謝は必要ない」
「それでもありがとうございますっ!」
「……ん」
「本当にありがとうございますっ!」
「……ヒツジ」
「なんでしょうっ!」
「……うるさい」
「はうっ!」




 ハイテンション、女の子。
 ローテンション、男の子。


.

正しい怪異の作り方


作成には細心の注意を怠らないでください。


どうも、歩方和言です。
もう八月も終わりになるというのに、某番組では怖い話の特集があっていますね。組むのが若干遅いような気がしないでもないですが……やはり夏にはホラーが合いますね。

ただまあ、あんまりホラーは好きじゃないんですよね、自分。特にジャパニーズホラーが駄目です。リングも呪怨も観てないですし。外国のはキャーキャー騒げる程度の恐怖ですが、日本のは声が凍る恐怖なので観てて気持ちいいものじゃないです。

あー……そういえば確か、水無月が霊感強かったですね。高校生だった頃に戦争で亡くなった方々を慰霊する慰霊塔がある道をわざと通らせようとして「お前ふざけんなよ!」と怒られたのを今でも覚えています。あ、自分の従兄弟も少し霊感がありましたね。以前、そこでテープを録音したら聖歌や人の声が録られていたといういわくつきの旧シスター寮をぶち壊してつくられたグラウンドになんとなく連れて行った時、「二度と連れてくんな!早く帰ろう!」と真剣に怖がった顔で言われました。なのに、どちらもホラー映画は普通に観れるという不思議。意味がわかりません。
自分も子どもの頃は霊感あったんですけど、今はもう全然です。月に一回、たまーに金縛りにあうくらいでしょうか?あれ、寝苦しいから本当にやめてほしいんですよね。

ただまあ……自分は怪異の存在は信じていますが、霊の存在は信じていません。普通の人には視ることができず、声を聴くこともできず、どんなに傍にいても触ることもできない。そんなの、あまりにも悲しいじゃないですか。誰も幸福になれないし、誰も報われないじゃないですか。だから、自分は霊の存在を信じていません。信じたくない、というのが、この場合は正しいかもしれませんね。

ちなみに怪異の存在を信じているのは、怪異が人為的に作れるからです。

怪異の作り方は、まずはそういったものが出ても不思議じゃない場所を見つける。その後、その場所にまつわる怪談を創作し、噂として流布させる。流れた噂が自分の考えたものと違う話になっていたり、違った点が加わっていたり、またそれを視たと言う人が現れたらそれで完成です。メリーさん、斧男、口裂け女などがいい例ですね。
しかし、あまり無闇やたらと作りだすことは関心しません。怪異とはつまり人の意識の集合体、想像の具現化ですから、最悪、洒落にならない事態にもなったりしますので。

もしも作成する時は細心の注意を怠らぬよう、お願いします。
ではでは。

過ぎ去りしその時に


うん。
楽しかった。


どうも、歩方和言です。
お盆も一段落し、水無月たちも今の場所に戻り、いやはや若干の虚無感があります。
思い返せばこの数日間で色々なことを色々としました。

途中で雨が降ったバーベキュー……
開始して十分足らずで終わった花火……
四恩が福岡に戻った後で連絡してきやがったにーちゃん……
ほとんど寝る為に集まったようなサウナ状態の部屋……

…………まあ、思い出にはなりました。思い出には……うん。いや、でも、ダーツで水無月をボコボコにできたから、まあ……うん。
未成年ラストの夏の思い出がこれって……いいのか?自分。


ともあれ(上記はスルー推奨)最近、少しクラワルを手直ししようかなって思ってます。
いや、読み返してみたらなんだかもういたたまれなくてですね……誤字あったり、ストーリーの矛盾があったり、本当にいたたまれなくてですね。

なのでまあ、軽く手直ししようかな、と。
あ、手直しとは言ってもそんな大々的なものじゃありません。内容だってまるで変えませんし、変えたとしても読みやすく文をいじるくらいでしょうか。

ただ……ね。
クラワル、意味不明にページ数が多くて疲れます。
なんだよこの量、誰だよ著者、って自分で自分に突っ込みいれるほどに。


まあ、頑張ります。

昨日の風景・2


[昨日の風景]


「おい、チビ」
「………………」
「チビって」
「………………」
「……無視すんなっつの」
「ひゃわうっ!?」
「ようやく気付いたか」
「頭を叩かれれば誰だって気付きます!なんなんですか、人の頭をぽんぽんぽんぽん!」
「嫌なら呼んだ時に気付きやがれ」
「チビしか言ってません!」
「ん?だから呼んでんじゃん」
「……あたし、チビって身長じゃないです」
「俺からすりゃあ充分にチビだ」
「うーっ!」
「そう見つめんな」
「睨んでるんです!はあ……もう、なんの用なんですか?」
「別に用なんざねえよ。ただぶらついてたらお前を見かけたんでな、声かけてやっただけだ」
「暇人な上に俺様……」
「なんか言ったかチビガキ?」
「いひゃい、いひゃい!ほっへほふはははいへふだひゃいっ!」
「……色気ゼロな反応だな、おい」
「ぷはっ……いっいきなり何するんですか!セクハラで訴えますよ!?」
「つるぺたにセクハラするほど、俺は悪趣味じゃねえよ」
「つるぺたは余計です!」
「いや、それ抜いたら意味わからんだろ」
「じゃあ余計なお世話です!」
「なんだ?お前、セクハラしてほしかったのか?」
「どうしてそうなるんですか……」
「冗談を真に受けんなよ。ったく、もういいから手、出せ」
「手?」
「出せ。ほら、これやる」
「……これは?」
「缶コーヒーだ。見りゃわかんだろ?」
「そういう意味じゃなくて、ですね」
「荷物の整理を手伝ってくれたお礼だよ。黙って受け取っとけ」
「はあ……」
「んじゃ、またなチビ」
「………………チビじゃないです」






 少し温くなってた缶コーヒー。


(またな。その言葉がどうしてか嬉しく思えた)

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