スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

連作『andante』


第一話『sugarless you』


 先輩と初めて知り合って。
 先輩といるようになって。
 もう、一年が過ぎようとしていた。
 だからこれは唐突なことではなかったけれど――でも、特別なことではあった。

「ハルくん――いや、ハルくん!」
「……はい?なんでしょう、先輩」

 いつものように帰り道を歩いている途中、先輩に声をかけられ俺は足を止めた。
 わざわざ二回も俺のことを呼んだ理由はよくわからなかったが、こちらに向けられた目があまりにも真剣だったので、思わずじっと見つめてしまう。
 先輩の目が、微かに揺らいだ。

「じ、実はハルくんに言いたいことがあったり……なかったり」
「ないんですか」
「あるんだよ!」

 なんなんだろう。
 今日の先輩は何かおかしい。
 おかしいと言うよりは――緊張してる?

「その、えっと、その、つまりその」
「………………?」
「ハルくんは知らなかっただろうけど私はその」
「………………先輩?」
「わっ私は、ハルくんのことがすひでひゅっ!……て、あれ、もしかして噛んじゃった!?」
「もしかしなくても噛んじゃってます」

 どうしてこんな大事な場面で噛んじゃうんだよ!とかなんとか叫ばれても俺にはどうしようもありません。そもそも、何を言おうとしていたのかすら全くわからないし。
 しかし噛んでしまったことがよほどショックだったのか、がっくりと先輩は肩を落とし、それから意を決したように大きく息を吸い込んで。

「私はハルくんのことが――すっすすす好きです!」

 そう――言った。
 予想だにしていなかった言葉に、思考はぴきりと止まってしまい。
 ただ俺は、

「…………え、あっ、はい。そうなんですか」

 と、答えるだけで精一杯だった。


(……もしかして告白された?)
(……もしかして告白スルーされた?)


・大垣遥〈おおがき はるか〉…ダークグレーの髪が特徴的な、長崎高校二年B組に在籍する男子生徒。図書委員をしている。女の子っぽい名前と緩んだ目が若干コンプレックス。

・宇瀬乃晶良〈うせの あきら〉…赤茶のショートカットが特徴的な、長崎高校三年C組に在籍する女子生徒。文芸部副部長であり、図書委員をしている。男の子っぽい名前と高い身長が若干コンプレックス。


.

目覚めの時


今日と明日の決定的な違い。それは――今日が明日になったことだ。


どうも、歩方和言です。
早いものでとうとう九月が終わりますね。自分的にはようやく学校が始まるのか……って感じです。いや、やっぱり二ヶ月は長いです。本当に。
クラスメイトの顔と名前、覚えてるかな……暗記は得意なのに人の顔と名前を覚えるのは苦手という不思議。気に入ってる人は覚えようとしなくても覚えてるんですけどねー、本当になんででしょう?

あ、一応この前言っていた熱血モノの設定が確定しましたので載せときますね。


[タイトル未定]

・日向爛〈ひなた らん〉…本作の語り部であり主人公その二。染めたわけでも脱色したわけでもない橙色の髪に同色の瞳、額にあせた赤いヘアバンドを付けた少年。中学三年生とは思えないほど枯れた性格をしている。平凡が大好きで、ぼーっとするのが趣味。何に対しても「めんどい……」が先に出てしまう。幼い頃から煉に振り回され続けてきたので滅多なことでは驚かない。ちなみに煉とは従兄妹の間柄なのだが、名字が一緒のせいで兄妹と間違えられることが多い。(本人は別にどうでもいいと思っている)

夕雷のラウズ『シグナルライト《絶対正義》』をその身に宿す。


・日向煉〈ひなた れん〉…本作の主人公その一。紅色のメッシュが入った腰まである長髪をたなびかせる、傲岸不遜を地でいく少女。中学三年生とは思えないほど吹っ切れた性格をしている。面白いことが大好きで、爛を振り回すのが趣味。かなりの破天荒でかなりの熱血漢(?)。ちなみに爛とは従兄妹の間柄なのだが、名字が一緒のせいで兄妹と間違えられることが多い。(本人はそれを物凄く嫌がっている)

紅炎のラウズ『シグナルレッド《究極正義》』をその身に宿す。


・黒川燐〈くろかわ りん〉…そう長くない艶やかな黒髪を後ろで一括りに束ねた、微笑みを絶やすことのない女の子っぽい少年。中学三年生とは思えないほど温和で大人びた性格をしている。爛と煉が大好きで、二人と行動を共にするのが趣味。並外れた情報収集力を所持している。ちなみに本名は黒川凛なのだが、煉に「私達に相応しくない」と言われ燐へと無理矢理に改名させられた。(本人は気に入っている)

白氷のラウズ『ワンダーランド《完全平和》』をその身に宿す。


日向学園中等部に通う爛、煉、凛(燐)の三人。
不思議も不可思議もない、なんてことのない日々を爛たちは爛たちなりに愉快に過ごしていた。
だがある日、もう一人の自分《ドッペルゲンガー》と出逢い、人智を超えた能力――《ラウズ》を手にした時。
彼らの愉快な日常は痛快な非日常へと大きく姿を変えた――!


……ど、どうでしょう?

燃えゆく灯


どれだけ歩いても道が見えないのなら足跡を強く残せ。自分自身で道を築け。


どうも、歩方和言です。
九月も終わりに差し掛かり、来週には長い長い夏休みも同じく終わりを迎えます。休みは嬉しいんですけど、長すぎるのも考えものですね。生活リズムが崩壊していましたし。
それでサイトの予定ですが……とりあえず半ば放置気味だった本編を進めたいと思います。なのでリクエストした方には申し訳ないですが、企画第二弾は本編の更新をした後にとうことでどうかご容赦を。

あー……それからこれは水無月にしかわからないんですが、ある気になってたアニメを
先日、一話から最終話まで全部見たんですけど、そのオープニングがもう素敵なものでして。
なんというかその――

熱血モノを書きたい…………っ!

――と思ってしまいました。
悲劇らしい悲劇はなく。
シリアスらしいシリアスもない。
楽しく明るく軽快に。
心が真っ赤に燃えるような、そんな話を書いてみたいんです。
……というか、設定は既に決まってるんですよね。

ジャンルはもちろん熱血モノ。ひょんなことから『雷』と『炎』を操るチカラを手にした主人公二人が大活躍するという若干クラワルちっく(?)な物語です。

機会があれば日記に載せようかな……とか思ってたり。

性格バトン


柊さまから頂きました

性格バトン

●自分で思う性格

→何事にも諦めを前提にしている中途半端で弱い臆病者。

●人に言われる性格

→何故か優しいと言われることが多いですね。後は人間失格、欠陥製品、偽善者、守銭奴、無関心……と、酷すぎて逆に清々しい二つ名ちっくなものばかりです。

●男女関係なく友達の理想

→一緒にいて苦にならない人。沈黙が嫌だと感じない人。

●好きな異性の理想

→何かに熱中できて、ちゃんと自分を持っている人。あと笑顔が素敵な人ですかね。

●最近言われて嬉しかったこと

→最近……「お前たちとかじゃなきゃ本音で話せない」です。

●バトンの送り主の顔は見たことある?

→ありません。

●送り主の印象は?

→礼儀正しくて優しそうなお人です。

●次に回す人

クール⇒
残酷⇒いないと思いますよ?
可愛い⇒葉月
かっこいい⇒小鳥遊さま
面白い⇒未実さま
楽しい⇒紘さま
美しい⇒蒼芽さま
頭がいい⇒皆様
礼儀正しい⇒柊さま
大人⇒柊さま、未実さま
子供⇒


--------------------
エムブロ!バトン倉庫
mblg.tv
--------------------


第二話『針鼠のジレンマ』


 俺は傷つけたくないんじゃない。
 傷つきたくないんだ。


第二話『針鼠のジレンマ』


 針鼠のジレンマ。
 愛する二匹の針鼠が強く抱き合おうとするが、そうするとお互いのハリが刺さって傷つけてしまう。
 愛し合えば愛し合うほど傷つき、抱き合えば抱き合うほど傷つける。
 それでも近くにいたい二匹はハリの刺さらない、だけど決して離れていない、適度に愛し合い、適度に抱き合える距離を置く。
 お互いを傷つけない距離。
 お互いが傷つかない距離。
 まるで俺と彼女みたいだと思い――同時にふざけるなと思う。
 俺と彼女は愛し合っていないし。
 俺と彼女が抱き合うこともない。
 ジレンマに囚われているのは――俺だけだ。
 彼女から離れようとせず、近付こうともしない。
 ただひたすら彼女が動くことを待ち続け、そのくせ動かないことにほっと安堵している。
 なんて無様。
 俺は死んでしまった彼を逃げる口実に使っているんだ。答えを出さないよう、傷つかないよう、自分を正当化して逃げているんだ。
 彼のことを彼女は今でも忘れていないだろう。でも、だからってそれに囚われ続けるほど彼女は弱くない。どんなに辛くても、傷ついても、前へ進もうと努力している。
 彼女にも俺にも刺さるハリはない。触れ合おうと思えば触れられる。
 だから――これは。
 俺の、嘘で塗り固めた身勝手なジレンマ。
 近付きたいのに近付かない。
 離れたくないのに離れてる。
 存在しない彼女のハリを捏造し、それに怯えて、慄いて。
 これからもきっと、俺と彼女の距離は変わらない。
 近すぎず。
 遠すぎず。
 自分が傷つかない距離を保ち続ける。
 酷く歪な――ハリを持たない針鼠のジレンマのように。


(愛することをやめてしまえば、傷つくことはないのにね)
前の記事へ 次の記事へ