「………ねぇ、何でついてくるの?」
「え?だって、俺、鹿目さんに学校案内してもらいたいんだけど?」
「……だからって!!トイレにまでついてくることないでしょ!?」
あさぎは女子トイレを指差すと流司に向かって叫んだ。
「あ、じゃあ、俺トイレ前で待っているから。」
にこやかに笑う流司にあさぎはワナワナと震えた。
「クラスメイトに頼んだら?キャーキャー喜んで案内してくれるわよ。」
「いや、俺、キャーキャー言ってくる子、嫌いなんだよね。
舞台上とかならともかくさ、日常生活は嫌なんだよ。
鹿目さん、それ言わないタイプだからラッキーって思って。
あ、下の名前で呼んでもいい?俺のこと流司って呼んでいいから。」
「誰が呼ぶか!」
そういうとあさぎは女子トイレに入った。
「………何か鹿目さん、凄いよね………。」
「……うん。私、鹿目さんのおばあちゃん、杖1本で熊退治したって聞いた………。」
「え、それ本当!?」
「うん、コモドオオトカゲと戦ったことあるの?って聞いたら、ないって言われちゃって……。
でも、杖1本で熊を退治したことならあるって。」
「すごいなぁ、あさぎのおばあちゃん!」
「だから、下の名前で呼ぶなっつってるでしょ!?」
トイレを済ませたあさぎは流司に向かって叫んだ。


放課後になり、あさぎはMAHO堂に向かった。

「………はあ……疲れた…………ってあれ、プラムおばあちゃん?」


店内に入ると、プラムがいなかったため、あさぎはテーブルを見た。


「………ええっと、魔女界に行ってきます、店番よろしくね。……何だ、そっか。
買い出しにでも行ったのかな?」

「ハロー、あさぎ!」

紙をしまうとガチャリ、と扉が開く音がして流司が入ってきた。

「………いや待ちなさい。何でアンタがここにいるの?」
「後を追いかけてきた!」

「ストーカーか!?」


「仕事はどうしたの!?」

「今日は休み!………へぇ、ここがMAHO堂か。結構古いんだな。」

「リノベーションしたからよ。………言っておくけど、お茶出ないからね。」

「わかってるよ、それぐらい。」

「………で、何の用なの?」
「あさぎに聞きたいことがあってさ。」


「何よ。」

「…………あさぎのばあちゃんって魔女だったのか?」


続く。