「………ええっと、ステータスを見る限りだと
芳樹さんは魔法剣士、姫宮さんは魔女、物吉さんは召喚士か………。
パーティだったら、それなりにバランス取れているんだな。」

「ちなみに召喚士……と言ったら、どんなのが召喚できる?」
「基本的には自分がイメージしたものを具現化するって言えばいいのかな……。」

「………ああ、幽☆遊☆白書の鴉か。」

「………鴉?」

「………90年代のアニメはちょっとわからないけど……。」
「まあ、敵キャラクターに自分のイメージしたものを具現化する能力を持った奴がいたんだよって話。」

「………物凄く変態な奴なのですが、説明は割愛します。」
「昔の漫画を議論している場合じゃないからね。」

「は、はい……そうですね。」

「とりあえず、聖獣や魔獣の類を引っ張り出して召喚すればいいですかね。
データについては……。」

「それだったら、ユグドラシルに直接アクセスしていつでもデータを読み込めるよう
リンクしておいた方が良いと思います。」
「そうだよな。ユグドラシルとリンクしておいて損はないと思う。」
「なるほどなるほど。」
「ちなみにリンクするためにはどうすればいい?」

「えっと、このクエストをクリアしないといけないんですけど………。」
「…………。」
「……………。」
「……………。」


「………あの、どうしたんですか?」
「やっぱり、無理があるんじゃねぇのか?」
「……よし、やろう。」
「ですね。守り刀の力を発揮するとしましょう。」

「じゃあ、後方支援はバッチシ任せてください。」

「え、えぇぇぇぇ!?」
「大丈夫なのか!?」

…………そして、それから1時間後。


カンカンカン、とゴングが鳴り響き、芳樹と物吉はノーダメ―ジフィニッシュを決めた。

「………はい、これでユグドラシルとデータリンクすることができました。」
「すげぇ………初心者だったら、攻略本を片手にしないとクリアできないクエストなのに……。」
「ビギナーズラックが効いているのかな?」

「まあ、物吉は戦場に出るたびにいつも勝利していたっていう逸話を持つ刀の名を襲名しているから。」
「満月ちゃんの守り刀だけどね。」
「…………そもそも、守り刀って何だ……?」

「あ、えっとね。刀の名前を襲名した使用人兼護衛の人達の総称のことなの。
綿貫グループと姫宮グループの血縁者を守ることを使命としているんだよ。」

律の説明に幸太はへぇ、と納得した。

「じゃあ、綿貫さんにもいるのか?」
「当然。」
「俺、剣道やっているんだけど手合わせお願いしてもいいかな?」
「アンタ、ソッコーでボコボコに負けるわよ。」
「俺は強者に挑みたいの!強い奴には憧れるだろ、フツー!」

「………この時代遅れの熱血少年!!」

幸太の言葉に律はプツン、とキレると文句を言い始めた。

「青春だねぇ………。」
「そうですねえ………。」
「まあ、喧嘩するほど仲が良いといいますし。」

「……………でも、戦い慣れているんですね。何かゲームでもやっていたんですか?」

「ポケモンやっていた。」
「はい。」
「ポケモン、楽しいから………。」

「………わかる。ポケモン、未だに種類が増え続けているからなぁ……。」
「ひょっとして、XYをやっているんですか?」

「そうだね。俺と満月ちゃんのお兄さん達が特に盛り上がっていたな。」
「……綾人お兄様達、厳選厨の廃人ですからね。」


「ちなみに満月ちゃんは色違いホイホイだね。
満月ちゃんを膝の上にのせてゲームをプレイすると、ひかるおまもりも真っ青になるほど
色違いと遭遇していたから。」

「………でも性格とか個体値とかはあまり狙えないんですよね……。」

「色違いあるある事例だな……。」
「………うん。」



続く。