…………その日の夜。

美月はルナモンを抱えると、父親の部屋に行った。

「パパ?ちょっといい?」
「ん?どうしたんだ、美月。」

「話があるんだけど…………。」

「ちょうどよかった。パパも話があるんだ。」

「………え?何?」

「実は転勤の話が出てね。お台場に行くことになったんだ。」

「……………え、転勤?」
「うん。お台場にある本社で欠員が出ちゃって、支社からパパが選出されたんだよ。
………で、学校のことなんだけど……。」
「あ、いいの。ぼちぼち行こうかなって思ったところだったし。」
「ホントかい!?」
「うん。私立か市立のどっちかに行くかはまだ決めかねているんだけど、
そろそろ行かないとって思っていたところだったし。」
「………転校って形になるけど、すまないねぇ。」
「ううん、いいの。栄転話は嫌いじゃないから。」

「で、美月の話って何だったんだい?」

「あ、いや……………お台場に行きたいなぁって思っていたからパパに相談してみようかなって思って。」

「どうして?」
「………いや、あの、友達が出来そうな気が…………。」

「それは良かった。でも無理はしていないかい?美月は昔から、無理しがちに動くから。」


「……………ありがとう、パパ。じゃあ、話はそれだけだから。
………あ、ちなみにママは?」

「ママもついていくってさ。お台場となるとやっぱり都会だからね。今頃浮かれているんじゃないかな?

美月も私立中学のことで、色々口煩く言われそうだから気を付けるように。」
「はぁい。じゃあ、おやすみなさい。」
「うん、おやすみ。」

父親の部屋を出た美月はホッと一息をついた。


「………良かった。これでお台場に行けれるね、美月。」
「うん。………お台場にいるデジモンを連れた子供達………どれだけの人数がいるんだろう………。」


続く。