「……まずは満月。高等部入学おめでとう。」
「ありがとうございます。」

「我が綿貫家と姫宮家は曾祖母の代から付き合いがある。
お主も今月で16歳になる。
芳樹との婚姻に不満はあるか?」

「いえ、ありません。」

幸造の問いに満月は即答する。

「……ふむ。てっきり、芳樹以外の男を好きになるかと思っていたが、
要らぬ心配だったようじゃの。」

「今更、芳樹さん以外の男にときめいたりしませんよ。」

「なら、それは良かった。
………芳樹、大事にしろよ。」

「当然だ、じいさん。」

うむ、と頷いた幸造は次に物吉を見た。

「物吉、お主の役割は満月を守り、彼女に芳樹以外の男を近づけさせないことだ。
徳川由来の幸運を満月にもたらせ。」


「……はっ。物吉貞宗の名にかけて、お守りいたします。」

物吉の返答に幸造は、よしよしと呟いた。
「さて、では食事会にするかの。」

「はいはーい、じゃあ満月にプレゼントを渡すよ!
入学祝いと誕生日祝い!!」
「あ、こら、幸人!」
「抜け駆けは禁止だぞ!」
「わーい、1番乗りー!」

言い争いを始めた5人の兄達に芳樹と満月は顔を見合わせると笑った。

「慌てなくても順番に受け取りますから、落ち着いてください。」
「そうだぞ、満月ちゃんは消えたりしないんだから。」

「やかましいわ、このロリコンが。」
「シスコンには言われたくないな。」

「芳樹さん、綾人お兄様。
しょうもないことで、喧嘩しないでください。」

食事が運ばれてくるまで入学祝いと誕生日祝いのプレゼントが満月に贈られた。


続く。