「…………だー………。」

「あら、美月。もう疲れちゃったのかしら?」

ギフトショップで直人達へ贈るお土産を選んでいた美穂は
美月がウトウトしていることに気づいた。

「あんまり動かなかったとはいえ、色々回ったからな。
疲れるのも当然だろう。」

代わろう、と言って綾人は美穂からベビーカーを受け取った。

「ねぇねぇ、パパ。これ買って!」
「あ、ずるーい、私もこれが欲しい!」
「私はこれー!」

「……こらこら、お土産を買うんだぞ。自分用に買うんじゃない。」

「とかなんとか言いつつ、財布を片手に持っているのは何処の誰だよ。」

「綾人お兄様、子煩悩ですからね。」
「本当に。」

「………愛妻家かつシスコンかつ子煩悩な男ですなぁ。」
「……否定はできない。」

小狐丸と鳴狐の言葉に美穂はええ、と頷いた。

「まあ、きちんと家族サービスしてくれる旦那だから文句の1つや2つはでないわね。」

「貴女達、パパにおねだりするんじゃありません。」

「えー、だってパパ、私達に甘いもん。」
「満月お姉ちゃんとママにも甘いけど、世界で1番私達に甘いもんねー。」

「うん。」

「もう、父親としての威厳がないのが落第点だけど……。」
「そんなことを言われてもだな………。」

「あまり綾人お兄様を困らせないでね、美花ちゃん達。」

「満月お姉ちゃん、どっちの味方?」


「私は芳樹さんの味方ー。」


「パパじゃないんだ。」

「み、満月………そこは私の味方と言いなさい。」

「綾人お兄様は美花ちゃん達に構ってあげてくださいな。
私は芳樹さんに甘えますー。」

ぎゅっと腕を握られて、芳樹はどや顔をした。


「腹立つ。」
「好きに言ってろ。」


続く。