…………とある昼下がりの午後。綿貫家の別邸にて。

「満月ちゃん、準備はどう?」
「はい、ばっちりです!」

芳樹と満月はキャリーケースに荷物を入れると、玄関の鍵をかけた。

「まとまった休みが取れて良かったですね。」

物吉の言葉に満月はうん、と頷いた。

「さて、と。そろそろ、来るはずなんだけど………。」

「芳樹おじちゃん、満月お姉ちゃん!!」

「物吉ー!!」

「おじちゃん、お姉ちゃん、元気だった?」

美花、美鳥、美風の3人が元気よく駆け寄り、芳樹達に抱き着いた。

「お久しぶりです、美花様、美鳥様、美風様。」

「こら貴女達、いきなり抱き着くのはやめなさいって言っているでしょ?」

「美月ちゃんもお元気そうで………美穂お義姉様。」

「満月ちゃんも相変わらずねぇ。………無理していない?」


「何かあったらすぐに周りに訴えるんだぞ、満月。」
「はぁい。綾人お兄様、心配性なんだから。」

「…………まあ、貴方のシスコンは今に始まったことじゃないからいいんですけど?」


「………………。」

「……美花ちゃん、何があったの?」

「ううん、いつものことだよ?パパが満月お姉ちゃんのこと大好きだー、って言っているから
ママは拗ねているだけ。」

「確かにいつものことだな、それは。」

「ねぇねぇ、それより早く行こうよ、アクア・ファンタジアに!!」

美花の言葉に綾人ははいはい、と頷くと車の扉を開けた。


続く。