双葉は黄金12宮をダニエルとシャルルと共に進んでいった。

「……今この時間だと、全員教皇の間に揃っているな。」

聖域に着くと同時にダニエルは黄金聖衣を身に纏った。さすがにTPOは弁えているらしい。

「そうだねえ。」

「…………。」

そして自身がかつて守護していた双魚宮に到着した際、双葉は懐かしさと歓喜の表情に溢れた。


「………ただいま、双魚宮………。」

「………おうおう。良い顔してんのな。教皇に会ったら熱烈な抱擁をするんだろう?」

「誰がするか。」

「えー、でも243年ぶりの再会だろ?絶対、抱擁すると思うけどなぁ。」

「……………。」

日本から持ってきた荷物を双魚宮に置き、双葉はダニエルとシャルルに連れられて
教皇の間に向かった。

「おう、蟹座のダニエルただいま帰還したぜ。」

「獅子座のシャルル、入りまーす!」

2人がそういうと教皇の間の扉が開き、残る8人の黄金聖闘士の小宇宙を双葉は感じた。
「……………!!!」


「………お待ちしておりました、魚座のアルバフィカ…………いいえ、蒼乃双葉さん。
ようこそ、聖域へ。
……あ、でもこの場合はお帰りなさいって言った方がいいのかしら。」


慈悲と慈愛のこめられた優しい声が教皇の間に響く。
玉座には小柄な体格の少女が座っている。
そしてその隣には懐かしき顔が立っていた。

「………お初にお目にかかります、アテナ。
懐かしき聖域に来られたこと、心より嬉しく思います。」

会釈して膝をつくと、アテナ………シャルロッテははにかんだ笑顔を見せた。


「……ああ、本当にアルバフィカに生き写しだな。
243年前とちっとも変わっていない。」

「…………本当に。あの時の出来事が昨日のように思い出されるよ。」


シオンと再会した双葉はポロポロと涙をこぼした。

「………………シオン!!!無礼を許して欲しい!!」

そういうと双葉はシオンに抱き着いた。

「………会えて良かった………。」
「……………双葉。」

残りの8人の黄金聖闘士達から、ひゅー、という声が聞こえた。
「ほらな、抱擁するって言っただろ?」

「まぁ、243年ぶりの再会だしねー。」

「本当に……積もる話もあるでしょうね。」

シャルルの言葉にシャルロッテはうんうん、と頷いた。

「………我が師よ、自己紹介をしてもよろしいですかな?」
「………あ、あぁ。そうだったな。皆、双葉に自己紹介をしてくれ。」

243年ぶりにアルバフィカ……双葉と再会したシオンは弟子に言われてコホンと咳払いをした。

「では私から。私は白羊宮を守護しています、モカと言います。よろしくお願いします。」

「金牛宮を守護するヴィゴーレだ、よろしくな。」

「……私は双児宮を守護するアダムだ。今この場にいないがイヴという弟がいる。」
「で、俺が巨蟹宮を守護するダニエルだ。」
「獅子座のシャルル、改めてよろしくな!」
「……処女宮を守護するクシナダだ。よろしく。」

「天秤宮を守護する童虎をすっ飛ばした先にいるのが天蠍宮のシャウラだ。」
「人馬宮を守護するシエルだ。よろしく。」
「……磨羯宮を守護するアルトリウスと言う。」

「宝瓶宮を守護するグラスだ。よろしく頼む。」
「………魚座のアルバフィカ改め蒼乃双葉だ。こちらこそよろしく頼む。」


…………かくして、聖域での双葉の生活の日々が始まった。


続く。