―ーー―桜庭市のとある場所にある小規模の公園。
風もないのに、遊具がゆらゆらと揺れている。
「……………ホントにここであっているんですか?」
満月は遊具に乗りながら、芳樹に尋ねた。
「大型動物が出た場所はテレビじゃ伏せられていたけど
現場はここで間違いないみたいだよ。」
「大型動物って言ったら、熊ですかね。」
「この地域は時たま、野生動物が出るって言うらしいけどね。
でも熊は降りてきていないらしいよ、未だに。」
「………山の方で熊、食べたんですかね、闇呪は。」
「だとしたら、ちょっとまずいかな。」
闇呪は生態的に植物と似ており、自身が成長するには他生物を食らい
その栄養分を吸収するのが1番効率が良いらしい。
よくわからないがとりあえず怖いもの。それが闇呪の存在意義だ。
「………まあ、わかっているのは吸収した生物の性質が反映され
特定生物の死亡要因となる生物種など長所だけでなく短所も受け継いでしまうってことぐらいだしね。
熊、そんなに天敵いないしなぁ………。」
「天敵がいるとしたら人間ぐらいですけど。
特に猟師とか。
でも、私達猟銃に関する免許持っていないですからね。」
「闇呪の前ではそんなの関係ないけどね。」
「……そうですね。」
満月が芳樹の言葉に同意した時、ガサガサと茂みが動き出した。
「………どうやら、来たみたいだね。」
「はい。そうですね。」
続く。