貴方の紡ぐ言葉の優しさに、見護られて歩いてきた。
未来なんていつもぼやけていて、曇り空みたいに憂鬱で。
それを隠してくれた貴方はもういない。
だけど、だから。
永遠に響いてほしいと願う。
貴方の作った歌を歌う、下手くそな私の声が。
迷走していた頃、いつも私の周りに吹く風は冷たかった。
還る場所が何処かも解らずに、彷徨って。
ただ今日が終わるのを、時間が過ぎ去るのを、私じゃない私が見ているような、そんな感覚だった。
癒えない痛みを、言えない痛みを抱いたまま、声にならない悲鳴を貴方の歌で昇華して。
俺達が居場所になると言った貴方の言葉に救われながら、見ていてくれると途方もない希望を持ちながら、ただ明日を待っていた。
希望や未来なんて光はまだまだ私には遠くて、ただ薄い日の光が照らす道を探しながら、求めながら、毎日を生きた。
今は違う。
貴方を失った痛みは、悲しくも苦しくもある。
けれど今度は空で、遠い何かに向かって歩く私達を笑って見ていてくれると信じられるから。
貴方に届けるために、歌う。貴方が愛した歌を。
まだ完全に吹っ切れそうにはないけれど、どうにか前を向けそうだよ。

果てない夢を教えてくれた貴方に、
今なら言える。

ありがとう。


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一志へ。