ふわふわ、ゆらゆら
ねえ 今は現実?


[フェイクリアリティ]


ねー、ユウ。
今こうしてユウと話してる俺は、現実?

「ばか」

痛、……
ああ
これは現実なんだ。

「現実じゃなかったら、俺はたっちゃんが作った幻覚?」

さっき俺の頭叩いた手、そのまま自分指さして
……幻覚だったらやだなと思ったからなんて、これじゃあ言えない。

「現実です」

うん。
今のは現実。
わかるよ、ちゃんと。
大丈夫。

じゃあ さ。
明日ユウと話す俺は、現実にちゃんといるのかな。

「いなくなるつもり?」

…それもいいかもね。

「ばあああっか」

あ、痛…
痛いのも幻覚…
……だったらやだな。

「なんでさあ…」

うん?

……そんな顔、しないでよ。
俺はいなくならないから。

「……その保証が一番頼りないって、知ってる?」

信用してなんて言わないから、
とりあえず わかったフリでいいよ。

「珍しい」

今日は謙虚な俺で攻めてくつもり。

「明日は?」

明日は……
…それは、お楽しみ。

晩ご飯食べよ?

「らじゃ」


ねえ、今は現実?

夕方の会話まで、もし幻だったら
俺の存在は ちゃんとここにいる?

生きてる?

わからない。
曇りガラス一枚向こうに見るみたいに、
一番確かじゃなきゃいけない自分が
凄く不確か。

こんな時はどうしたらいいんだっけ。
寝たらいいのかな。

「薬くさ…」

生ぬるい 塩素くさい水でしろい、平たい薬 流し込む。

夢なんて、見なければいい。
もし今が夢なら、覚めればいい。
そうしたら、きっと現実が見えるから。

本当に?

わからない。
わからない。
何がわからないのかすら、わからない。

薬の酩酊感
酔ったみたいに、世界がゆらゆらして
ふわふわ浮いた感覚で
現実のはずなのに、
どうして 夢みたい。


ねえ、ユウ。
俺は、
ユウは
現実に いるのかな。

あ、……もう朝になりそう。

また夢は
さめないみたい。


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フォレストノベルより。
病んでるねー。