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可愛いのてんこ盛り。

「…………てなわけで、イーブイ。
悪いけど、長期入院している妹のルリの遊び相手になってあげてね。」
ヒスイの言葉にイーブイはブイッ、と元気よく鳴いた。

「…………わぁ、可愛い!!」
病院に長期入院しているヒスイの妹、ルリは目をキラキラと輝かせた。
彼女の膝には今朝、姉であるヒスイから届いたイーブイがジッとしていた。
「可愛い、イーブイ可愛い!」
ルリに褒められて、イーブイはえへへ、と言わんばかりの笑顔を見せた。

『…………良かった、喜んでくれて。』
「お姉ちゃん、わがまま聞いてくれてありがとう!」
『どーいたしまして。』
テレビ電話で話をするヒスイの後ろにはぐったりとした様子のウルガモスとシャンデラが
映っていた。
「ウルガモスとシャンデラもありがとう、結構頑張ったんだよね?」
『ほら、ウルガモスとシャンデラ、褒められてるよ。返事したした。』
ヒスイに声をかけられて、ウルガモスとシャンデラは鳴いた。
「お姉ちゃんも旅頑張ってね!」
『先生の言うこと、ちゃんと聞くんだよ。』
「はーい!」
電話を終えたルリはイーブイの頭を撫でるとえへへと笑った。
「可愛いのてんこ盛りだぁ〜!」

病院にある中庭でルリは早速イーブイとラルトスを連れ、散歩をした。

「あ、イーブイだ、可愛い!!」
「ねぇねぇ、ルリちゃん。イーブイは進化させないの?」
「んとねー、今悩んでいるの。
進化する時になったら、ちゃんと進化させたいし、今はまだイーブイのままでいいかなって。」
「そうだよねぇ〜、イーブイって8種類の進化形があるし、悩むよね。」
「うん。メガシンカみたいに一時的な進化できないからね。
慎重に選ばないと。」
「うん。とりあえず、今は間違って進化することのないようにかわらずのいしを持たせているんだ。
お姉ちゃんがくれたの。
イーブイの進化するタイミングは私に任せるって言ってくれたし。」
「優しいんだね、ヒスイお姉ちゃん。」
「うん!私のわがままを聞いてくれる、良いお姉ちゃんだよ!!」




終わり。



仲良しこよし

「………あ、ルリちゃんいいなぁ。色違いのラルトス持ってる!」
「ホントだ!」
「すっげぇ!」
小児科病棟でラルトスと散歩をしていたルリは同じく長期入院している子供達から、
羨望の視線を向けられた。
「お姉ちゃんが私にプレゼントしてくれたの!」
「そうなの?」
「優しいお姉ちゃんだね。」
「ルリちゃん、良かったわね。」
「パパもママも仕事で忙しいけど、これからは大丈夫って言えれるし平気!」
「まぁ、良い子に育っちゃって………。」
「ねぇねぇ、ラルトス何を覚えているの?」
「うーん、お姉ちゃんそこまで言っていなかったし。
…………この子、戦うの嫌いなんだって。」
「そうなんだぁ。」
「ねぇねぇ、この赤いツノみたいなの触ったらダメ?」
「ダメだよ、吃驚しちゃう!」
和気藹々と話をするルリ達に看護師はうふふ、と笑ってラルトスを見た。
「貴女が来てくれて、本当に良かったわ。
皆、良い顔をしているもの。」
ラル?とラルトスは看護師の顔を見て首を傾げた。
「退院してくれるのが1番いいんだけど、ここにいる子達は長期で入院しているから
結構寂しい思いをしていてね。
だから、仲良くしてあげてね?」
看護師の言葉にラルトスは元気よく返事をした。


『そっかぁ、皆の人気者になったのね。』
「うん、ありがとうお姉ちゃん。」
『いえいえ、こういう形でしか見舞うことできないもの。
………あ、そうだ。またポケモン送るわね。
何がいい?』
「え、選んでもいいの?」
『うん。OK、OK。伝説のポケモン以外なら、何とかなりそうだし。』
「んとね、んとね!イーブイがいい!できればメスの!」
『…………イーブイか、メスの比率低いけど頑張ってみるよ。』
「わーい、お姉ちゃん大好き!」

その日、ヒスイとの電話を終えたルリはニコニコ笑顔になっていた。
「楽しみだなぁ、イーブイが来るの!」



「……………ウルガモス、シャンデラ。頑張ろうね………。」
ヒスイの言葉にウルガモスとシャンデラは、えいえいおー、と体を動かした。
「…………まあ、言った手前はね?何とかしてあげたいのがお姉ちゃんなのよねぇ………。」





終わり。

あなたと、私と。

「………………うーん、戦いたくないのかな?」
育て屋から貰ったタマゴから孵化させたラルトスは、戦うことを嫌がっていた。
「まあ、臆病な性格だから仕方がないのかもと言えばそうかもだけど………。」
ヒスイの言葉にラルトスは顔をふさいだ。
「あ、別に貴女が悪いわけじゃないのよ。ポケモンの中には戦いを嫌う子もいるから。
……………あ、そうだ。だったら、妹のところに行かない?」
ラルトスはヒスイの言葉に首を傾げた。
「妹、病弱で長期入院しているの。話し相手になってくれると、嬉しいな。どう?
妹のところだったら、戦う必要もないし。」
その言葉を聞いたラルトスは、パァと顔を輝かせた。


ヒスイの妹であるルリは朝からそわそわしていた。
姉であるヒスイが贈り物をしたいということで電話をしてきたのは昨日の話。
「何だろうなぁ、お姉ちゃんが贈り物をしてくれるなんて。」
「ルリちゃん、楽しみにしているわね。」
「うん、だってお姉ちゃんが贈り物をしてくれるの珍しいもん!」
看護師の言葉にルリはにこにこと笑った。
「ちわーす、ルリさん宛にお届け物です!」
個室病室で看護師と話をしていると、宅配業者がやってきた。
受取人のサインをして、小包を貰ったルリは早速開封した。
「…………え、モンスターボール…………?」
「………あら、ポケモンかしら。早速出してみたらどう?」
「うん!」
看護師の言葉にルリはモンスターボールを手にするとポンと投げた。
「ラル!」
中から現れたのはラルトスであった。
「わぁ、ラルトスだ!お姉ちゃん、私がポケモン欲しいって言っていたの、覚えててくれたんだ!」
ルリは満面の笑顔を浮かべると、ラルトスを抱きしめた。
「初めまして、ラルトス!よろしくね!」
ニコニコと笑うルリにラルトスは嬉しかったのか、照れ笑いをした。
「………あ、でもなんかラルトスの色、違うような………?」



『…………あ、ラルトス届いた?』
「うん、届いたよ!………あ、お姉ちゃん。ひょっとしてこのラルトス、色違い?」
『そうだよ。でもあまり戦いたくないみたいでね。
あんたの話し相手になってくれる?って聞いたら、二つ返事でOKしてくれたの。
大事にしなさいね。』
電話でヒスイと話をしたルリはうん、と頷いた。
「ありがとう、お姉ちゃん!」
『どういたしまして。一緒にいてあげられなくて、ごめんね。』
「仕方がないよ、お姉ちゃん旅をしているんだもん。」
『他に欲しいポケモンいたらいつでも言ってね。捕まえるなり育てるなりなんなりするから。』
「うん!」


終わり。
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