「…………まぁ、満月ちゃんの手作り?
これは美味しそうね。」
「わぁ、綺麗だー。」
「うん。」
「美味しそう!」
「だー。」
姫宮邸に帰ってきた満月は、美穂達にケーキとタルトを渡した。
「わぁい、満月の手作りだー!」
「上出来の良いワインも頂いたし、飲むとしようか。」
「あら、良いわね。ワインなんて。」
美穂がそう言ったのと同時にインターホンが鳴った。
使用人に荷物を預け、智仁が綾子と幸仁、幸子を連れ食堂に入ってきた。
「やぁやぁ、諸君!僕達を忘れるなんてどういう神経をしているんだい!?」
「げ、智仁!?何でこんなところにいるんだ!?」
「何でって、あやに誘われたからさ。」
「ええ、満月がケーキを作りすぎたということでご相伴に預かりに来たのです。」
「満月ねーねのケーキ、美味しいもんねー。」
「うん。」
「…………ったくまぁ、皇室はホントにヒマなんだな………。」
「いいじゃないか、クリスマスぐらい公務から離れたって。」
「ええ、そうですね。」
「そうですよ、綾子お義姉様の言う通りです、芳樹さん。」
「………まぁ、いいか。」
続く。
「ひゃぁ、いつ来てもコニコシティは賑わっているなぁ。」
「ホントに………。」
ウラウラ島からアーカラ島にやってきたヒロキとサクラは、デートを楽しんでいた。
「………ヒロキ、ありがとね。デートに誘ってくれて。」
「そんな俺こそとんでもない。前は遠距離恋愛をしていたからね。」
「…………うん。」
「……………でさ、タクマ。何でお前がここにきているんだよ?」
「仕方がないだろ、お前らの写真を撮ってきてくれって頼まれたんだから。
内緒で尾行したら、返り討ちに遭うのわかっているんだしさ。
それなら最初から堂々としていた方がいいだろ?
………その、デートの邪魔をするのは申し訳ないけど。」
「………ホントに。ミツキさんとヨシキさんは子煩悩っていうか、親馬鹿なんだから。」
「…………いや、ホントにそう思うわ。子供の写真撮るなら自分達が行けばいいだろ?って。」
「甘いな、タクマ。父さんと母さんは2人きりになるとめちゃくちゃイチャつくんだ。」
「………そうかよ。」
「それよか、ここにはしまクイーンのライチさんがいるんだよ。
挨拶しに行っても大丈夫?」
「うん、私も挨拶しようかと思っていたから大丈夫だよ。」
「……へぇ、しまクイーンのライチさんか。どんな人なんだ?」
「………おや、ヒロキにサクラじゃないか。それにそこの子は………タクマって言うのかい?」
タクマがヒロキにライチについて聞こうとした時、当の本人がやってきた。
「あ、ライチさん!」
「こんにちは!」
「あ、はい。俺、タクマって言いますけど……何で知っているんだ?」
「ハラさんから聞いているんだよ。
毎度毎度、こおりタイプの使い手であるキャプテンに勝負を挑んではぼろ負けしている挑戦者がいるって。」
「………おいおい、ハラさん………そんなことを言っていたのか………。」
「まあ、外れてはいないな。」
「確かにね。的中しているもの。」
「何だとー!?」
続く。
「…………あっと、電話だ。」
ラナキラマウンテンに到着したヒロキはポケギアから電話を受け取った。
「………もしもし。ヒロキです。」
『………あ、ヒロキ?』
「………サクラ?どうしたの?」
ヒロキに電話をかけたのはエスパータイプの使い手で、キャプテンに任命されたばかりの
サクラであった。
『………あのさ、明日ヒマ?』
「予定は入っていないけど、どうしたの?
…………ってあ、もしかしてデートしたい?」
『……え、うん、まぁ、そんなところ。』
「わかった、いいよ。明日、クリスマスだもんね。
今日中にプラン作っておくから、楽しみにしててよ。」
『………うん。ありがと。じゃあね。』
それだけ言うと、サクラは電話を切った。
「………おい、お前………引っ越してきたばかりなのに彼女いるのか………?」
「あ、サクラは先にアローラに引っ越して行ったんだよ。
で、エスパータイプのキャプテンがいなかったから、キャプテンを任されることになったっていうか……。」
「………………このリア充が………大爆発でも起こしてろ。」
「何でそうなるんだよ!?」
「会話からして可愛い子ちゃんだろ、そのサクラって子は!!」
「確かにサクラは可愛い子ちゃんだよ。」
「………こんのリア充………ガチで滅びてしまえ………。」
「………ああ、もうタクマは面倒くさいな!!」
続く。
「…………で、作りすぎちゃったと?」
「………はい…………。」
仕事を終え、帰ってきた芳樹はテーブルの上に置かれた苺のデザートを見て、
凄いなぁ、と呟いた。
「まぁ、守り刀はたくさんいるからね。特に粟田口なんかは喜びそうだけど。
いいんじゃないかな?
俺も頑張って食べるけど。」
「あ、ありがとうございます…………。」
「………真剣乱舞祭も順調に進んでいるし、景気づけにパァ―、と食べようか。」
「は、はい。」
「闇呪の動きも今のところ、落ち着いているしね。」
「というか、静かすぎて逆に怖いんですけど…………。」
「そうだねぇ………。」
今のところ、守り刀達からの報告で、闇呪が現れたという情報はない。
恐らくは守り刀達だけで事足りる、ということなのだろうが。
「ま、平和なのが1番なのかな。」
「そうですね。」
「………まぁ、何はともあれ。
頂き物としてワインも貰ったし、デザートを食べるとしようかな。」
「………飲みすぎには注意してくださいね、芳樹さん。」
「でもどちらかというと、満月ちゃんが20歳になった時が心配かな。
姫宮家って酒に弱いから。」
「お母様の家系のせいですね。主に。」
「満月ちゃん、炭酸もダメだからね。
アルコールが入ったらどうなるのやら、わからないよ。」
「…………シュワシュワしたものがダメなんですよ………。」
「小さい頃、炭酸水を飲んだら体調を崩してしまいましたものね。」
「………うん。」
続く。
「…………そう、飾りつけはそんな感じで。」
綿貫の別邸で満月は守り刀達に指示を出していた。
「……毎年恒例のクリスマス会も大変ですねぇ。」
「そうね。………クリスマス会と言う名のただの飲み会だものね。
芳樹さん達も今頃、仕事の打ち上げで飲み会をしているんだろうけど。」
ダイニングキッチンでケーキの焼き上がりを見ながら、満月と物吉は会話をしていた。
「お嬢様、フルーツ買ってきたよ。」
「今日は苺が豊作だからって、おすそ分けして貰ったよ!」
清光と安定の2人が大量のフルーツを手にして、家に帰ってきた。
「苺が豊作?それは嬉しいな。芳樹さん、苺が好きだから。」
「で、今日は苺づくしのスイーツを作るの?」
「うん。せっかくたくさんの苺を貰ったんだし、苺づくしのスイーツで行こうかな。
ショートケーキは定番でしょ、苺のタルトもいいし…………。
うわあ、いっぱい悩むなぁ。」
額に手をあてて、悩む満月を見て物吉は笑った。
「こうしてみると、小さい頃の病弱さが嘘のようですね。」
「………そうね。」
「小さい頃はよく周りが心配していたもんね、お嬢様。」
「もう、皆して昔のことを言うんだから。今は丈夫になったのよ?」
「でも気を抜くとまた倒れちゃうからね、お嬢様。」
「そうそう。季節の変わり目とかは特にピリピリするし。」
「…………もう、皆は…………。」
続く。