迷い猫の路地

君がそう言うなら
私も私の希望を棄てよう。

幸せを謳歌するだけ謳歌して
さっくり死にたかったのに
スポットライトの中央で
好きな歌を好きなだけ歌い
クライマックスで綺麗に舞台を去りたかった

でも

君がずっと歌い続けてくれと言うなら
ずっと私のために音を奏でてくれると言うなら
私は最後まで歌い切ろう。

君と共に、日の入りを見よう。



「長生きをしよう」

そう言ったのは、初めてだった。

いつでも
私はこの世に未練なんかなくて
それはとても満たされている証なのだけど

初めて、見たいものが出来たよ。

あと何十年も生きるのは
今からげんなりするほど疲れるけれど
君が傍に居てくれるなら。



生きるよ。
君の願い通り。

思わせてくれて
ありがとう。