人の中で孤独。


なかなか、「普通の」日本人の中ではやっていけない私は
やたら外人スタッフとばかり仲良くなる。
昔の職場ではミャンマー人とキッチンを組んだ。
その次はバングラデシュ人と。


その次、今の掛け持ちの旧職場の方ではベトナム兄さんと組んで、
彼が卒業してからは
直ぐに入れ違いで入って来たネパールちゃんと話すようになった。
今年二十歳の女の子だ。


まだ数回しか被っていないけれど
国の祭りの事とか
向こうでの食生活や気温やら
色々話してくれた。



暫く
私は新しい掛け持ち先に出勤する日が増えて、
先日久々に旧職場でそのネパールちゃんと被る日が来た。

しかし当日、彼女は休みだった。
体調不良だと聞いた。


聞けばここ暫く何かしらの病気で具合が悪かったらしい。


少し思う事があり、社員に訪ねてみた。
「彼女がベジタリアンだと知ってましたか?」


彼らは知らなかったようでたいそう驚いていた。
それもその筈、この店は和牛の希少部位を看板に扱う「肉屋」だから
賄いも当然肉の切れ端になる。

正しくは、絶対的に肉が食べられないベジタリアンではなく
好んで食べない、といった程度。
とは言っても、向こうの家庭では一切動物タンパクは摂取していなかったようだ。


そりゃ体調も崩すだろう。



ただここで見誤ってはいけないのが
彼女が身体に合わない肉を食ったから体調を崩したのでは
きっとないと言う事。


出された食事に何の文句もつけず
健気に仕事をする彼女だ。


これだけの回数出勤していて、
誰一人として彼女の本来を知らない。
しかも本当に大事なことを、誰も知らない。

自己開示の許されない環境。

これは苦しいよ。
本当に、人としての心身の機能が落ちる程に、痛くて苦しい。
孤独を感じる。


私が外人さんとしかなかなか仲良くなれないのは
私がグローバルに対応している訳じゃ決してない。


文化の違いがまず当たり前の精神でいるのに
皆同じが当然を疑わない人達の中に放り込まれて
そこで感じる孤独の共鳴なのかもしれないなぁと
最近思い至る。


こんな髪色で
こんな生い立ちで
こんな目線を持って



音楽をやっている人や、その他
自己開示の手段を持っている人は
こういう話はとても解ってくれる事だろうと思う。

そんな仲間の内から外に出れば
酷い孤独に押しつぶされそうになる。