(北斗&南斗&望美/望美大団円後/ほのぼの)





ああ、またあの声が聞こえる。
いつもいつも、あの二人を放っておくとこうなる。


「この愚弟めが」

「融通のきかぬ兄を持った哀れな弟とお呼び下さいな、兄上」

「口ばかり達者になりおって」

「口だけじゃなく、頭脳も外見もいいんですよ、僕」

「高飛車なことだな」

「ならば兄上は傲慢ですね」


よくもこうポンポンと掛け合いが出来るものだ。
喧嘩するほど何とやらなんだろうな、と思うのが、だからと云ってこのままにしておく訳にもいかなくて。


「ちょっと北斗様!!南斗様!!」

「「!」」

「また喧嘩して!
だめじゃないですか」

「あっ、龍神の神子ぉ♪」
「…龍神の神子」


二人に駆け寄って一喝しても、聞こえてきた声はとても暢気なもの。さっきまでの険悪そうな空気は霧散している。
いつもこんな調子。望美はため息をつくしかない。


「もう…
また世界が裂けたって知りませんからね」

「それは大丈夫。
貴方がいるんですから、ね」

「そなたの剣術は天女にも勝る美しさだぞ。
また見せてはくれぬのか?」

「そうじゃなくて…!
世界が裂けなくて済むような努力をして下さい!」

「ははは、そなたもなかなか言うな」


笑い事ではない。彼等には前科があるのだ。
なのに、悪びれもなく北斗星君は笑い、望美の真っ直ぐな長い髪に指を絡ませた。


「わ…笑ってみせたってだめですっ、北斗様」


普段の仏頂面が、こういう時だけふんわりとした優しい空気を醸すのだから、ずるい。
望美は頬が染まったのをごまかすように上目使いに神様を睨み付けた。


「あっ、抜け駆けは無しですよ。
神子、神子、僕にも何か云って下さいな」

「ええっ何云って…」

「あははっ、慌てちゃって」


楽しそうに笑う南斗星君は、望美の腰にスルリと腕を回した。


「凛とした貴方も素敵ですけど、そういう貴方も可愛らしいですねぇ」


その無邪気で悪戯っ子のような仕草には警戒する気も失せてしまって、望美は仕方ないなあと苦笑して。
そんな様子を静観していた北斗星君がなにやら納得した様子で頷く。


「ほお、南斗。
そなたもなかなかやるな」

「兄上の年の功ってやつには叶いませんがね」


いつの間にやら仲良い雰囲気になった兄弟二柱の神に挟まれて、望美は嘆く。

いつもこんな調子だ。
喧嘩の仲裁に彼女が来れば、たちまち二人には笑顔が戻る。

だから彼女は

結局のところまだ此所を立てないでいる



「私、いつまで此処に居たらいいんだろう…」

「もういっそ住んでおしまいなさいな」





*Fin*

お題はこちらからお借りしました。
フラッパー少女と僕。


望美ちゃんに怒られたくて、北斗様と南斗様は喧嘩してるといいと思う。笑
天界で戦う時も望美ちゃんには剣使ってて欲しかった…まぁ、DSは画面小さいから仕方ないか。苦笑