ヴァリアー財務大臣スクアーロによってザンザスの個人的政策は見送りになる寸前だ。
この政策を押し通すにはまず財源の確保をしなければ納得しないだろうと、弱い頭で考えついたザンザス。


「いいかぁ、掛かる金はアロワナだけじゃねぇんだぞ。まず水槽、そしてそれに伴う水道代!!」

「肉は一週間に一回に減らす」

「電気代!!餌代!!何しろ維持費に金が掛かる」

「セール品の肉で我慢する!!」


一週間ぶっ通しで肉を食すザンザスの悲痛な決意。
その決意を聞いてヴァリアーの面々はアロワナくらい…と言う気持ちになってきた。


「ねぇスクアーロ、ボスもああ言ってるし、アロワナくらい良いじゃない」

「ボスがセール品の肉で我慢するとおっしゃっているんだ、アロワナくらい良いではないか」

「酒もやめてウーロン茶だけにするって言ってるし、アロワナくらい良くね?」

「死んだら食べればいいですしー、アロワナくらいよくないですかー?」

「テメェ等ッ…そうだよな、アロワナくらいいいよな」

「揃いも揃って"アロワナくらい"とか言うんじゃねェェェッ!!!」


だが、肉も酒も我慢すると言うザンザスの決意に重い溜め息を吐くスクアーロ。
ちなみに酒をやめるとは一言も言っていない。


「ちゃんと世話出来るんだろうなぁ?」

「たりめーだ」

「途中で飽きて他の魚がいいとか言わねぇって約束出来るか?」

「勿論だ」

「最後まで責任持って面倒見れるか?」

「俺を誰だと思ってやがる」


ザンザスのアロワナへの執念に、もう一度重い溜め息を吐くとスクアーロは言った。


「許可する…まずは水槽を用意しろ、アロワナはその後だ」


結局ザンザスに甘いヴァリアーのおかん、スクアーロ。
皆がザンザスにお祝いの言葉を捧げる中、勝ち誇った表情のザンザスが大声で指令を下した。


「許可が下りた!!さっさと3メートル水槽を特注しやがれドカス共!!」

「う"ぉ"ぉいッ!!水槽がそんなにでけぇなんて聞いてねぇぞォォォッ!!!」

「ぶはははッ!!当たり前だ!!今初めて言ったんだからな!!ぶはーっはっはっは!!!」

「却下だ却下ぁぁ!!絶ッ対ェ認めねェェェッ!!!」


スペルビ・スクアーロ32歳。
彼の苦労は抜け毛と共にまだまだ続く。


続く