もういっか、セックスするしないに拘るのは。
求めてもらおうと足掻くのは。

そう心が決めてしまった途端、じゃあ、この人は私の何なのだろうと思って、恋愛という枠の感情も遠のいた。
そうなってしまうのが怖くて縋っていたのかな?
特別を切り離せば退屈がやってくる。

好きのくくりがすり替えられる感覚。

優しいし、いい人。元は友達。居心地がいい。
浮気されるのだけは嫌。
これは愛情の前に私の価値を保とうとする腐った精神か。

とは言ってもまだ、別れたいとか思ってもいないし、多分倦怠期なんでしょう。
それを大げさに喚いているだけだ、きっと。

人と住めば自由に制限がかかる。
仕事のあとに美容室へ行ったり、服を見たり、マツエクしたり。
何より愛してる化粧品を手に取ったり。
そんな日々は家事によって消え去った。
まあ、コロナ禍もあるけれど。

その代わり、紅茶をゆったりいれるだとか、美味しいお酒を買って晩酌をするとか
そういう暮らしを手に入れた。
本当は嘆く必要なんてないのかも。
丁寧にきっと暮らせてる。

彼のつけっぱなしにした電気を消してまわって、寝落ちしてる姿にお布団をかけておでこにちゅー。
寝ぼけながらニマーっと嬉しそうに笑う彼を見てから、明日のためにルイボスティーをつくるのだ。
冷蔵庫を眺めて、仕事帰りに買う必要な食材とそれを買うのに最も安いスーパーを計算しながら。


くそったれ。
愛情に頭を垂れた馬鹿犬が。
たまに自分の中にそんな声がする。


そんなときはソラナックス。
ソラナックスはルーレット。
どっちに転ぶかわからないけれど飲み干して、
何錠なんて数えないで。副作用にのたうち回りながらトリンテリックスをがぶがぶがぶ。


今日もそうやって平和を守る、ただの人であろうとする。


キャリアを積める職で働いてた頃、化粧品は月に3〜4万円使ってた。
そんな私が彼と暮らして8ヶ月。
リップ1つ買ってないんです。
金銭で関係に優劣がつくのが嫌で、稼げない職に転職したってのに見栄をはったもんで。
彼の趣味にも合わせた折半生活。
それが今日は久々にDiorとADDICTIONでお買い物をしたよ。
うん。これだ。

これだああああああああ

素敵なお買い物をしたあとで道を歩くときって、背筋伸びるよね。
これくらいは調子に乗ってもいいよね。
半年前とは違うヒールの音が響かなくったって、もう、いいんだ。
おしゃれを諦めたわけじゃない。


もっと欲張りになれますように。
セックスしない相手とはいえ大事な人には変わりないと信じて
強欲に手放さず大事なまま大切にできますように。

虚しくても。虚しくても。


今度、結婚準備に彼のご両親に挨拶へ行くんです。


散漫とした文が、混乱の象徴