「どうして泣いてるの?」
これは夢だ
小さな頃の
あの人との思い出の夢
あなたは小さく体を丸めて泣いていた。
「いじめ、られるの……。」
涙を拭いながら短く紡がれる言葉
「君は、僕が怖くないの?」
「怖くないよ?だって君、泣き虫だし」
「な、泣いてなんかないもんっ!」
そう言ってこしこしと目を擦るがその手を追って、また涙は落ちていく。
「なんでいじめられるの?」
「僕が、化け物だから……。」
化け物?
よく分からなくて首を傾げる。
男の子は語り始める。
友達が交通事故に遭いそうになって、それを助けて車にひかれたこと。
傷は痛かったが、友達を守れたことに誇りを感じたこと。
だが、その友達は急速に治癒されてゆく自分の体を見て化け物、と罵ったそうだ。
「学校のみんなも、村の人も、僕のこと化け物だって」
「父さんも母さんも、力が制御出来ないなら、僕を、殺すって……。」
「怒るのも、泣くのもダメ……いつ、僕の中のものが暴れだすか分からない、から……。」
「だから、感情も、何もかも捨てて生きろ、と………。」
「僕は、一人なんだ…」
「ひとりぼっちなんだ」
一人じゃないよ、
一人じゃないですよ、先輩……
意識が浮上する
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