「ダメ、私、受け取れない。」
そういって突き返された。
その小さな手のひらには、自分が彼女にあげたヘアピンがある。
「どうして?気に入らなかった?」
「うぅん、すっごく可愛い。でも、受け取れません。」
「どうして?」
「だって、この子が嫌がってるもの。」
ヘアピンが嫌がる?
そんなことがあるのか?
彼女の手のひらにあるヘアピンは先ほど、自分が持っていたときと変わった様子はない。
ただ気に入らなかっただけなら、そんな回りくどく言わなくても、一言、言ってくれれば構わないのに。
「゛この子゛、あなたに愛されてたんだね。」
「………っ!?」
ドキッと、胸がはね上がった。
あぁ、愛していた
俺は確かに、゛あの子゛を愛していた。
どうしようもないくらい
こんな幼女と言っても過言ではない子に重ねるほどに
「私、これを受け取れないよ」
そう言ってにっこり笑う
目の前の彼女にも
俺が愛した゛あの子゛にも申し訳なく思い、どうしようもなかった。
「ごめん、な」
彼女の小さな手のひらに乗ったヘアピンを手に取る。
「ほら、嬉しそう」
目の前の彼女は嬉しそうに笑った
「あぁ、綺麗だ」
俺の手に戻ったピンは温かかった。
(ねぇ、フランス。
僕を落とす気なら、僕のことちゃんと考えてね!)
(……お手柔らかにな)
気分は父親と娘(笑)