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同じだけ我慢してる(5980)

「なぁ獄寺ダメ?」

 ローテーブルを挟んで武が告ぐ。

「ダメに決まってんだろ」

 しかし、返るいらえは実に素っ気のないもので、それどころかシャーペンを片手に頬杖をつく隼人は目を合わせることすらも避けているようである。

「それより、手休ませてんじゃねぇよ」

「……獄寺のケチ」

 二人を隔てる小さなテーブルの上には参考書とノートとが広がっている。

「てめぇから言い出したんだろうが」

 嘆息混じりに隼人が零す。そう零すように、言い出したのは武であった。

 定期考査を控えた週末。
 武は隼人の家を訪ねていた。というのも、前回の考査ですれすれながらも、赤点を免れた武は、辛うじて補習に呼び出されていなかった。考査前の補習対象者に対する救済措置は、往々にしてであるが、考査時のヤマを教えることが多く、補習常習者である武も例に漏れることなく、そのヤマに救済されていた一人である。
 つまり今回、補習に呼び出されなかったということは、自分の力で考査対策の勉強をしなければならないということなのだ。

「そうだけど…………せっかく獄寺といんのにさ」

 そして、補習を免れた武のとった行動が、隼人へ教えを請うことで、考査を週明けに控えたこの日、泊まり込みで隼人の元へと赴いていたのだ。

「ったく……俺のセリフだってんだ」

 悪態を付きながらも隼人の教え方は丁寧であることに違いなく、きちんと聞いていれば赤点になることはまずない。けれど、そうであるのに勉強を始めて些かも経たないうちから先程のような言を武は零していた。
 教えを請いに来ているにも関わらず、恋仲にある隼人と居ることで、集中が出来ていないのだ。
 そんな応酬を繰る中、不意に隼人が顔を擡げ、武へと視線を馳せると笑みを作り口早に紡いだ。

「おい、山本。早く終わらせるぞ。そしたらなんでもしてやるからよ」

「獄寺っ!」

 野球に対する集中力からも知れているが、集中さえしてしまえば武は飲み込みが早い。

「一時間……やっぱ三十分で終わらせちまうから待ってて欲しいのなっ」

「現金なやつ」

 白くまっさらだったノートを一心に埋めていく武の手元を一度見やると、ようやく集中し始めた武に気取られぬよう嘆息を漏らし、小さく隼人は口端を動かし紡いだのだった。

「……まぁそんなとこも可愛いとか思っちまうんだけどよ」

 三十分と告げた、恋人がご褒美を貰うべく華やいだ顔を上げるまであと残り………分。



end


中途半端なものが……
我慢を強いられたら余計したくなるっていうあれです(一つ前の記事参照…

そんなのも幸せの一つ(5980)

 きゅっ、と握りしめた手を放したくはなくて、慣れた帰り道を無言で歩く。まだ、空は明るくて、いつ誰に遭うかもわからない。
 こんな風に、男同士で手を繋いで歩いてるなんて周りから銅思われるだろうか。
 けど、折角振りほどかれなかったから放したくない。
 こういうことをしたらきっと獄寺は嫌がるって思った。

「ふざんけんじゃねぇ」

 そういって突き放されちまうって。でも、そうじゃなかった。なんもいってくんねぇから、獄寺が何考えてんのかわかんねぇけど、少なくとも手を繋ぐのはいいみたいだ。
 授業をさぼるって、教室を出て行こうとした獄寺を捕まえて、無理やりついてきた。
 用はなかったけど、ただ一緒にいたいって思ったんだ。
 そのまま、二人して抜け出した学校。
 拍子抜けしちまうくらいに、あっさりと抜け出せて。
 あぁこんなにも簡単なことだったんだって、笑いたくなっちまった。
 馬鹿みたいに高い空を見上げて、きゅっ、と握りしめた手に力を込める。

「馬鹿…力入れすぎなんだよ」

「悪。ちょっと考え事してた」

 隣から、ぶっきら棒にそう声がかかり、慌ててその手を放す。途端に、温もりのなくなってしまった手につい、視線が向かってしまう。
 あんなに、放したくないと思っていた手なのに、獄寺からそういわれてしまえば、嫌われることの方が怖くてすぐに放してしまう。
 繋いでいたいと思うのに。
 それよりも怖いことがあるから。
 でも、放してしまって、後悔をする。
 折角獄寺が繋いでくれたのに・・・。

「なにやってんだよ。ほら、手繋ぐんだろ」

 そういって、手持ち無沙汰になってしまっていた手を今度は獄寺から、きゅっ、て握りしめられる。

「馬鹿が考えごとなんかしてんじゃねぇよ」

 口調は、ぶっきら棒なままだったけど、繋いだ手から伝わる温もりがなんとなく、優しい気がした。
 制服姿で、今はまだ授業中。
 そして、男二人で手を繋いでる。こんな姿誰かに見られたら、騒がれちまうのかな。
 その場合、どれに対してだろう。
 学校をさぼっていること?
 手を繋いでること。
 どっちにしても、折角獄寺から繋いでくれたんだから、もう少し、もう少しだけ誰にも遭いたくない。

「なぁ獄寺。このまま誰もいないとこ行けたらいいのにな」

「・・・・・・・・・あぁ・・・そうだな」

 また、馬鹿っていわれるって思ってたのに答えは予想外で、隣を歩く獄寺の横顔を覗き見てしまう。俯いて、零れた髪の掛かった横顔はうまく見えない。けど、零れた髪の隙間から覗いた耳がほのかに朱に染まってる気がした。
 あぁ、獄寺も同じキモチなのかもしれない。
 そうだとしたら、もしそうだとしたら、すっげぇ嬉しい。
 だって、まだ、俺もこの温もりを感じていたいんだから。




獄山な感じで
でも
なんとなく獄は冷え性なイメージがあるんで、手繋いで山に温もり伝わるってのより
山があっためてあげるとか
そんなんでもいいような
気がします

書き途中のが進まないんで息抜き息抜き………

【ジカクの過程(5980)】拍手お礼文ログ(2008/09/22〜11/08まで掲載)

【ジカクの過程】

「獄寺が好き」

 不意に告げられた告白に、身体中の熱が耳に集中してしまって火照った気がする。随分とはっきりとした口調でこいつがいうからだ。
 無意識なのかなんなのか、抱き枕の要領で幸せそうな表情をして抱きついてくる山本を振り払うことも出来なくて、唯一自由となる頭でクリーム色の天井を眺める。
 けれど、眠る山本が起きる気配はない。となれば、先ほどのは寝言なんだろう、と勝手に結論づけてしまう。

 付き合いはじめて、数ヶ月。好きだと告げられた時はなんの間違いだろうと思った。
 男が男に、なんておかしいだろうと。況してや、告げてきたのがあの山本だ。
 あいつに対して持ち合わせていた気持ちは嫌いであって、決して好意を寄せられる対象であるはずはなかった。それにも関わらず、なにを思ったのか、口だけが俺の意志を無視して、気づいた時には告げていた。

「いいぜ」

 あれから、数ヶ月。
 まだ、数ヶ月。
 いや、もう数ヶ月だ。

 さんざん別れるつもりだと、自身にいい聞かせていたにも関わらず、タイミングを逃し続けて未だに告げることはできず、今に至る。
 気づけば、キスをして、抱きしめて、今のように布団を同じくして…………まるで本当の恋人のようだと思う。

 そして、ことあるごとにこいつは好きだなんだといってくるんだ。

 邪険にすることも出来なくて。むしろ、それらのことに安堵を覚えはじめている自分がいる。

 いわれる度に、ジン、と胸の辺りが熱くなって嬉しいと感じる。こんな感情今まで持ったことがなかった。

 山本に好きといわれ少なからず喜びを覚えている自分がいる。触れることに安堵を覚える自分がいるんだ。

 つまりは………………――。

「…………俺も嫌っちゃいねえってことか」

 好き、とはもうしばらくだけいわない。
 けど嫌いじゃねぇ。

 山本が起きたとしても構わない。いや、いっそ起きちまえばいい。そんな気持ちを多分に含んで、唯一動きのきく頭を横に向けて、薄く開いたその唇へと触れた。

 程よく弾力のある感触はもう慣れたもので。

 絆したのはお前で。
 絆されたのは俺。

 不意打ちを仕掛けられ火照った熱がこのまま山本に移ってしまえばいいと。……そう思わずにはいられなかったんだ。
2008/09/22〜2008/11/08まで拍手お礼文として載せていたものです。

ザンザス誕生日SSもどき(SX)

「………ザンザス入るぞぉ」

 はやる鼓動を押し隠すようにして、スクアーロは名を呼んで、いらえを聞く前にザンザスの部屋へと入った。軽く叩いたつもりのノックがやけに大きく響いたように感じるのは、彼の気のせいであろう。

 押し開いた扉の先、正面に鎮座する椅子に部屋の主であるザンザスは座しており、扉の開くのに合わせ、僅かに頭を擡げるとスクアーロと視線を交わす。機嫌が良いのか、否か、一見では判断が難しい。
 いらえも待たずに入室した彼を咎めるでもなく、ただ視線を交わしてくるザンザスの表情は、無感動とは違った色合いをしているが、それを読むことは些か困難である。

 汗ばんだ手が、柄にもなく緊張しているのだとスクアーロに伝えてくる。だからといって、引き返すわけにもいかないのだ。
 今日という日は、スクアーロにとってなにものにも代え難いもので、彼が目覚めてから初めて訪れた日でもある。ザンザス本人にとっては、そんなこと自体意味を持たないのかもしれないが、それでもスクアーロにとっては、欠かすことの出来ない日なのだ。
 深い眠りについたザンザスに、毎年欠かすことなく告げた言葉を、今年は面と向かって告げることが出来るのだ。
 そして、告げる言葉は一つきりで、ここにくるまでに何度も何度も復唱をしていた。

 ただ、スクアーロにとっては意味のあることであっても、告げられるザンザスがとう感じるかは別物なのだ。そのことだけが、スクアーロに告げさせることを躊躇させていた。

 しかし、告げなければ意味はないのだ。唾を飲み、汗ばんだ手に力を込めぎゅっと握りしめ、肺の中を満たすように一つ深く息を吐き、何度も復唱した言を一気に告げる。

「そのぉあれだ……………ザンザス生まれてきてくれてありがとうなぁ」

 スクアーロの告げようとした言は、生誕を祝うもの。出自故に自らの生を厭う傾向にあるザンザスがその言をどうとらえるか、それは本人にしか知る由はない。けれど、スクアーロにしてみれば、世辞や同情といった薄っぺらいものではなく、偽りない本心である。

 声に出し告げてしまえば、簡単なものであるが、彼にとっては心からの言であり、最も勇気を奮う必要のある言葉であった。……特に、今年は。


 永く深い眠りから醒めたザンザスへと告げる一言であったのだから………。


「そ、そんだけだぁ。邪魔したなっ」

 狡いという自覚は彼にもあった。良い逃げというやつだ。
 どんな表情をザンザスが浮かべているのか、スクアーロには確認する勇気が持てなくて、彼の口か手が行動を開始する前に、ぎゅっと握りしめた手に更に力を込めて、スクアーロは踵を返していた。


 ぐるぐると終わることなくループする言葉たちを胸に携えて…………。

『生まれてきてくれてありがとう』

『今この瞬間、生きてくれていてありがとう』

と。








えと、なんかあんまし誕生日を祝ってるような感じじゃないですけど、一応スクザンで、スクに生まれてきてくれてありがとうを言わせたいなぁと思ったらこんな感じになりました
スクがいなくなった部屋でザンザスがちょこっとでも照れてたらいいなぁとか思ったりするんですが、↑だとちょち厳しいですかね
ザンザスがどういう性格か全くわからないです、し(汗
だって一言も台詞がない…途中までザンザスにも台詞あったのに…
むしろザンザスがスクを誘ってるっぽい台詞もあったのに…どこに消えた…
とにかくっ

ザンザス
誕生日おめでとうございます

SSってなーに?

カテゴリーちょっち増えました

諸事情によりしばらく【あめらが】の方に作品をアップするのが、困難になってしまった為、そちらの問題が解消されるまでの期間、ブログの方にアップしていきます
といってももとからそんなに頻度高いわけじゃなかったので、あまり問題もないかもしれませんが
あーもちろんブログの方にアップするのは琴葉の作品だけです
千五百がちょっち体調崩してしまっているので、もそもそ活動出来るのがうちだけなんです(汗

で、ブログの方にアップした作品はいずれ【あめらが】の方にちゃんとアップし直します


まぁ作品アップする場所がしばらく移動するって程度のお知らせです

あー
一応、タイトルのとこにカプ表記するようにしますので、苦手なものはスルーしてやってください

タイトルに表記出来ないときは、文頭に入れときますんで


獄山
スクザン
九十
ツナザン

以外がくることほぼないと思いますが………
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