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雨垂れの中、貴方を想ふ(銀魂:土ミツ)

はらり、と、
白い半月のような花びらが、小さく降る雨粒をまとって落ちる闇夜道
寒い空気だから寄り添ってみた、言葉にならなくて

さみしかった
こんなにも近くにいるのに言えなくて  錯覚。
ふたつの指先が絡まって、別々の個体がひとつ になってしまったら
くちびるは黙ったまま
なんて

きっとそれだけで幸せなのに。


水溜まりはアスファルトの上に居場所を作り
それでもふたりは歩くのをやめなかった

月はどこへ行ったんだろう

灰色、暗がりの中
なんでもないことを思った。





傘が欲しかった。
降り注ぐ水滴は、今の私には冷た過ぎるから。


「……やっぱり、行ってしまうんですね」


ぽつりと零れた言葉はひどく他人事のように聞こえて。
地面を叩いている、雪になりきれなかった雨音が耳障りで
小さく震える掌で耳を塞ぎたくなった。

あなたが追いかけたいのは私じゃなくて別の人だった
そんなの、分かっていた
だから何もかも受け入れた
ワガママ押し込めて、涙も忘れた

それが本心と逆の道だと分かっていた、のに。


「十四郎さんがしたいようにすればいいと思うの
だってこれは、貴方の人生だから」


その中心に私はいないと分かっていても、
分け合った傘の下で笑えた。


「私……、」


ストロボのように蘇る、沢山の思い出達
貴方と過ごした時間は間違いなく一生欠けることも忘れることもなくこころの中に残るんだ

時を止めて、永遠に。

いつか、記憶だけの貴方と共に笑える日が来るのだろうか
あの日出逢ったあの場所で

それはそれで滑稽に思えた。


ぎしり、と軋んだのは瞳の奥の視界
同じものを見てるのに、ふたりの世界は交わらない なんて可笑しな話だ。


「……」


貴方は決して口を開こうとはしなくて
すう、と、ふたりの間に冷たい風が通り抜けて
引き戻される、現在進行形のリアル

喉まで出かけた言葉を、無理矢理押し戻した。


「…  。


あの ね、」


無理矢理作った笑顔はぎこちないモノで、とてもじゃないけど人を騙せるようなモノじゃなくて
けれど貴方はきっと何もかも分かってて、そして何も言わないでしょう。

ねぇ、
子どもみたいに泣きわめけば、どこまでも連れてってくれますか?
必死に縋り付けば貴方はここに留まってくれますか?


「…そーちゃんったら、『江戸城に俺達の旗をおっ立ててきますから、楽しみにしてて下さいね、姉上!』
なんて意気込んじゃって」


答えはNO,
それは私が、一番よく知っていた
痛いくらいに
怖いくらいに
身についている、から。

この傘で貴方の元まで飛べたら、なんて夢物語


「近藤さんと、十四郎さんがいれば、きっとその夢も叶いますね
そんなこと言ったらそーちゃんに怒られちゃうかもしれないけど」

「……ああ」


そうだな、と呟いた喉元は私の弟とは違うモノで
この微妙に淡く滲む輪郭を、私はふとした瞬間に思い出して生きていくのだろう

やり切れなくなって目を逸らす
ごまかすように、消えそうな言葉をぼそぼそと紡いだ。


「十四郎さん  。」

「いつか、」

「…ここに遊びに来て下さいね」

「向こうに行っても、元気で…」

じゃあ、




「  さよ、なら」


じっとしていたくなくて、居心地が良かったひとつ分の空間から駆け出して逃げた
途端に雨粒が私の身体を痛いくらいに打ち付ける。

追いかけてくれないことくらい分かってる
分かってるからこそ、悲しくなった。


好き、と直接貴方に言えたら何かが変わった?
こんなツラい現実を見ることもなかった?
ふたりの距離が縮まっていた?
貴方をここに引き止めることが出来た?

答えの出ない質問ばかりが、胸を締め付ける
冷たく降り注ぐ雨に、何もかも洗い流して欲しかった、のに。


「…と、しろ……さ…」

「……それでも、私は…」




びしょ濡れだけど、サヨナラ。



彼と過ごした日々
思い出の空はいつも青空で、戻れない現実を突き付けられた
涙はとめどなく溢れるけど
気にしないでね、最愛の人。



【song by:レミオロメン“五月雨”
悲恋はやっぱりムズカシス
でも土ミツ好きっすらぶー】

だから、もっと、そばにいて。

それからあたしは力一杯叫んだ。

こころの奥にふつりと浮かんだ世界をカタチにするためにはそれが一番楽で、単純で誰も傷付けない
大きな球体の中にある広い国土にある広い街にある割と広い校舎に通う、
宇宙人でも外国人でもない、れっきとした日本人でなんの取り柄もないちっぽけな女子高生の声なんか誰も聞こえてる訳ないんだから。

熱が降り注ぐ誰もいない校舎の屋上、足元に置いてあったアイスクリームはとっくに固形→液体へと変貌していた。
カキン、と小気味いい音の正体は野球部のノックの音に違いない。


ああ楽しいな、ふとそう感じる。


余裕がない訳ではない
けれどあたしの心臓は例えば9回裏ツーアウトでランナー2、3塁で打てば逆転、めでたしめでたし
そんな状況のようにカンカンと早く打ち付けてる。
(なぜ野球を例にしたかって言うと、たまたまさっき野球部のノックの音が聞こえたから)

掌に汗がにじむ
急に、これからあたしは何か悪いことをしてしまうんじゃないか、と言う罪悪感に襲われる
でもそれが快感(!)だったりもする。
まるで完全犯罪をこれから実行しようとする人の気持ちが乗り移ったみたいだ

そういえばさっきからその繰り返しで、その度にあたしの全身は硬直 そりゃアイスも溶ける訳だ、と。
楽しかったり臆病だったり、忙しいな、あたしの感情処理機。

でもそれは今に始まったことじゃなくて
あたしのこころの中にもうひとつの世界が構築されてからはよくあることだった。
もうひとつの世界、なんて言ったら大袈裟だろうか
けれど他にどう表せばいいのか分からない。
それは構築され、増築され、肥え太っていく世界なのは確かだ
けれどあたし自身もあんまり掴みきれていないそれ、
誰か理解してくれるのだろうか
いや、誰も理解出来ない、のかも


でも、あたしはここにいる。

そしてその世界を
今、まさに
この口から吐き出そうとしている。



大きく息を吸い込んで、あたしは大きく大きく大きく叫んだ。


「……好き!好きなんだ!
大好きなのっ!!」


手摺りをぐっと握り、踏ん張る。


「大好きなんだよー!!ばかー!!
どうしようもないくらい好きなんだ!!
好きなんだー!!!
大好きなんだー!!!あああああああああ!!!」




ふと
泣きそうになる。
酸欠、
世界を包む空気が震えて


「すき、なんだ、よぉ…」


声が掠れて、滲んだ。

後戻りは出来ない
もうひとつの世界があたしを包んでいるから。
認めてしまった、から。
この想いを




其れ所謂、名付けるなら「  」。



新世界に置き去りにされて
上空には空が広がって
ここに、間違いくあたしがいて
ほんの少しの隙間を埋めて

それでもあたしはあなたのことがすきだった。




【勢いあまって書き殴ったSSもどき。
よく分からん…ぬぅ。
君が好きだと叫びたひ!みたいなカンジで、青春させてみた。】
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