3つ前の記事で、ドラマラストの牧君の「俺、もう我慢しないって決めたんで」が理解できなかったという話を書きまして。我慢しないなら行かないでくれって我が儘言うか休職して一緒に行けばいいのに、行かない時点で我慢している。シーン的にはキスやスキンシップ的なことを言っているような感じだけど、これから遠距離になるなら我慢しないといけないし、劇場版では牧君からのキスが1回も無いどころか春牧が一緒にいるシーンさえ少ないことに違和感が残る。ドラマではあれほどキス魔なのに劇場版では1回もしないって、キャラ変わってないか…?2話で武川さんの「どうせそいつもカーッとなってキスしたものの…」の話って、武牧の過去の話だって簡単に想像できますけど、要するに武川さんに対しても付き合う前にキスしたわけだろうし。多分、牧君のキスには男を惚れさせる何かが…。スキンシップ的な意味も含む、といった感じでそれのみを指すわけではないだろうけど、劇場版とすっきり繋がらないんですよね。どう見ても浮気現場なあれに出くわして、気が削がれたとか…?
で、まあ、劇場版の内容を考えると、我慢しないって決めたのは『やりたい仕事』のことで、春田さんが新規プロジェクトに抜擢されたことで仕事への意欲に火を付けられた、ということなら辻褄は合う。

…というのが先日書いた話でして。それだと劇場版との繋がりで辻褄はぴったり合うんですけど、彼氏の腹に馬乗りの状態で仕事の話なんて、視聴者に伝わるわけがない。視聴者的に見たらやっぱりキスやスキンシップ的な意味に聴こえるよなあ、あれ…。普段は春田さんが押し倒す側(元々異性愛者なので元々押し倒す側)→俺も春田さんのこと抱きたいんで我慢しませんよと牧君が押し倒す→慣れない状況に春田さん戸惑う→ひっくり返して結局いつもの状態に…という流れを春牧派の私的には推しておくけど、ファンの中で多数派を占める牧春派の方達にはこの解釈は無いでしょ多分。そもそも普段はどっちでどの程度の関係まで進んでるのかでも意味変わるからね。
あと、そっち方面の意味でも1つ話が繋がったことがあるので、それを書こうかと思うのですが、そのためには先に1つ説明しないといけないことがありまして…。何度か見返して法則性をまとめただけですが、詳しくなりすぎてしまうので、多分このアカウントに移ってからは書いたこと無かったはず。普通にドラマとして見ていたい方にはあまりおすすめはしないです。









牧君の行動を観察してると共通の状況で共通の行動を取るシーンが複数ありますね。これがこの作品の考察の上では非常に重要な部分になります。
ヒントは「自分の幸せより相手の幸せ」なのですが、その条件を割り出してみると『自分の望みと相手の望みが一致しない(反している)場合、相手の望みに従う』となるようです。良く言えば『察しが良くて、我が儘を言わずに相手の都合を尊重する』といういい面もあるんですよ。ただ、牧君の場合はこれが強すぎて、『自分の意見を伝えて話し合う』という能力がほぼ無い。相手の都合を察したら、どうするのがいいのか全部自分で決めちゃうんですよね。そうなるとあとはもう頑固。上手くいってるように見えるのは、だいたい牧君が我慢して合わせてるからのように思う。貴島Pも牧君の人物像を『我慢して嘘をつく人』って言ってたことありますし…。

この行動には『命令となる言葉』が作中に存在します。言った本人的にはそんな強制的なつもり無いだろうけど、牧君が真に受けると言いますか…。素直というか、言われてしばらくはそういう行動してますよね。この考察記事読んだだけだとピンと来ないかもしれないので、何度かドラマを見返してみてください。
・「友達として、今までみたいに普通に暮らせないのかな」
この関係にある3・4話の間は好きだと言わないしキスもしない。友達として一緒に暮らすことを望まれているので。好きだと言ったことを春ちずから勘違いにされて何も反論せずに去ったのはこのためと思われる。
・「行くなって」
武川さんの所に戻らなかったのはこのためと思われる。逆に言えばこれに従うということは、この時本当に武川さんの所に行こうとしていたはず。
・「会社行く時間ちょっとずらすか」
コンビニに寄ることで時間をずらす。自分で言っておいて本当にいなくなると戸惑う春田さんもかわいい。
・「もっと離れろって」
ちょうどマイマイから呼び出しの電話が来るが、結果的には離れることに従っている。
・「マジでやめろよ」
これで大人しくなるあたり、まさしく条件に当てはまる。

最も重要なものが6話の別れのシーンですが、牧君の言動と合致するのは春田母の「ずーっと創一の友達でいてね」のみです。春田母は息子が同性と付き合ってるってあの時知らないから(あの時どころか劇場版でも知らないんですよね…)、「友達でいてね」って悪気無いどころか完全に歓迎の意味ですけどね。ところが牧君はこれに「はい」って約束しちゃってるので、友達でいなければならない。友達でいなければならないので恋人として好きでいてはいけないけど、友達でいるためには嫌いになってはいけない。だから「好きじゃない」とは言うけど、「嫌い」とは言わないのはそういうことでしょうね。元の先輩後輩の関係に戻ったように装ってますが、マロも春田さんに先輩後輩の関係のことを「友達」って言うので、この作品的にはそれを指すのでいいはず。

6話春田さんは「別れるって何だよ」と言っていて別れることは望んでいない。春田母は息子が同性と付き合ってるって知らないから、牧君に別れさせようとしてるわけじゃないんですが、息子はちずちゃんのことが好きだと思い込んでますよね。「孫の顔だって見たいじゃない」「早くくっ付いてくれたらいいのに」が息子に対する望みで、牧君に対しては「ずーっと創一の友達でいてね」。春田創一と春田母、牧君からしたら2人の望みは同時に叶えられない状態ですね。『自分と相手の望みが一致しない(反している)場合、相手の望みに従う』ようで、春田さんとは『別れたくないと望みが一致している』ため、一致しない春田母の方が強くなってしまうことになるようです。この特徴が分かってから見ると、あのシーン本当につらい…。映像的には春田さんがちずちゃんを抱き締めてるのを見ちゃったからっぽく見えますけど、そんな単純な話じゃない…。
これを『思いやり』と表現するには異常な気がする。単に真に受けるというのとも違う気がするし、個人的には『服従』と表現するのが1番ぴったり合う気がする。若干の口答えを挟むこともあるけど、基本的には無抵抗。この行動が表れるのは、あくまで牧君が好きな人に対してのみらしい。劇場版で部長から「上司命令だ、戻れ!」と明確な命令があったが、これには従っていない。劇場版で従っている部分は「別れようぜ」になる。ちなみに「友達として、今までみたいに普通に暮らせないのかな」を「俺、出ていきますね」で数日で自分から破棄したこともあり(春田さんがひどくキレたのはこういう理由もあると思う)、強弱や期間にはばらつきがあるらしい。

「ずーっと創一の友達でいてね」を起点として牧君の言っていることに全てを合わせていくと隠しシナリオが出てくる件(詳しくは去年の12/30の記事を参照ください)。牧君のこの行動の特徴が分からなかったら、あんなもの見付けられるわけがない。訳分からないこと言ってるように思われてるかもしれないけど、根拠があるから言ってます。あとは純粋に国語の問題。このドラマ、複数の解釈ができてしまったり話が矛盾してたりする部分がたくさんあるのが、私にとっては分からない・難しいと感じる理由なんですが、あれは「こう!」っていう意味がはっきりするから、私には逆に分かりやすいんですよ。

ちなみに春田さんは牧君が出ていこうとするといつも引き留めようとするし、泣いたり喚いたり、武川さんの所に行こうとしたのが重なるとキレたりもした。劇場版でも狸穴さんのこと嫌がってますし。私はドラマ時点では『束縛』『独占欲』と感じていたけど、劇場版では『嫉妬』と認めたし、その辺りを足すと『支配』であると思われる。深層心理・無意識・本能などといった類いのものと思いますが、内面的には『支配』と『服従』で対になる関係のよう。2人共普段の性格と特定の状況下における無意識的な性格が逆になる感じのようで、たった7話でいて意識と無意識の2面での表現がされていて奥が深い。公式的には牧君の設定に『ドS』って書かれてるんだけど、あんまりピンと来ないし、むしろドMじゃないのかっていう意見や二次創作もありますよね。
ちなみに、心理学などのちゃんとした知識を持っているわけではなく、小説を書くというのは全て言葉で表現する世界になりますから、あくまで『おっさんずラブを小説化するならどのような言葉で表現するのが適切か』といった感じで個人的に分かりやすい言葉に変換している状態です。

春牧のこの行動の特徴自体は最終話後わりとすぐ気付いてたんですよ。ここまで詳しいまとめは見たこと無かったから、ファンの中で知られてるのかどうかが分からなくて一応丸ごと説明しないと話が始められないんだけど。
この一連の関係性を踏まえて冒頭の話に戻りますが、ドラマラストの「俺、もう我慢しないって決めたんで」に「マジでやめろよ」で大人しくなるのが状況的には当てはまるんだけど、これも含むのか含まないのかが微妙な感じがしてて…。いや多分気のせいだよねと思ってたんだけど、モロにこれのせいなのか!?あの一瞬大人しくなっただけじゃなくてそれがずっと続いてて、要するに

キスもスキンシップも我慢しないって決めた

マジでやめろよ

やめろって言われたから1年後もずっとマジでやめてる

…ということ…?え、マジなのこれ…?劇場版で牧君から仕掛けてるのがきんぴら橋しか無いのってこういうこと…?「んなわけねえだろっつの」ですぐ撤回して押し倒してくるけど、牧君の基本的な思考って『自分の幸せより相手の幸せ』だから、自分がこうしたいって思っても相手がNOであれば「分かりました」なんですね基本的に。ところが相手が言ってることとやってることが矛盾してると、じゃあ結局どうしたらいいのか混乱するんじゃないかな多分。左脳は言語や論理的思考と言われていますが、多分私が多くの人達と違うことを言うのって、右脳で見る用に作ってるものを左脳で理解しようとしてるんですよね。あのドラマ全体的に矛盾だらけでさっぱり分からなくなるんだわ…。世の中右利きの人が多くて利き手は私も右なんだけど、右利きの人向けに世の中だいたい作られてるから左利きの人は不便を感じることも多いそうですね。でも右利きの人はそんなこと気付きもしないのよ。自分達には違和感が無い状態だから。そんなような感じに思う。右脳左脳っていうのも『こっち側』『あっち側』ですね。多分脳にも右利き左利きがあるんでしょうね。
仕事のことを言ってるにしてもキスやスキンシップのことを言ってるにしても、劇場版との繋がりで辻褄は合わせてある。結局何だと思って見るのが正解なんだかなあ…。落ち着かないんですよ、複数の意味で辻褄が合っちゃうから…。

こういうのとかいろいろね、作中の人物の行動を観察したり法則性を見付け出したりしてまとめてるだけですよ。最近ここの広告がさらにひどくなってていい加減どうにか…と思ってはいるんだけど、こういう詳細な分析データ無いと書けない部分もあって、移転して新規開設もしづらい状態なので困ってる…。

あと、MOWの限定パッケージゲットしてきました。「ハイ、あ〜ん」のやつに凌太って名前入れておいて、知らずに冷凍庫開けた牧君の反応を眺める、そんな動画はいつ出てきますか…。爆破とかそういう金かかる映画じゃなくて、春牧がひたすらイチャイチャしてる、ちょっとしたミニドラマでいいのよ…。

14日に拍手5件ありがとうございました!