今年はドラマ業界は考察ブームだったと言われていますが、おっさんずラブもかなりのものですよ。何度か書いてるんですけど18年版ドラマに仕込まれている脚本の仕掛けを説明しますね。私が1番好きな所。『最終話を見た後で戻る』という手順が必須になるので、初回では発見不可能です。問い合わせは何度か送っていますが現状公式からは何も説明が無いので、信じるかどうかはご自由にどうぞ。skyの配信で武蔵が「考えるな、感じろ」と言っていますが、それとは真逆の「感じるな、考えろ」の世界です。おかしいと思ったら遠慮無く突っ込んでいただいて構いません。

【見るスタート地点と、牧君の目線で見ることが重要。視聴者としての思い込みや映像による視覚的なイメージは一旦忘れてください。『牧凌太が言っていること』が最優先であり、そこに自分の認識を合わせていく世界です。それが嫌な人にはそもそも向かないです】
6話で牧君が春田母に会ってしまって、「ずーっと創一の友達でいてね」と言われて「はい」と約束してしまっている姿。『それを見ていたのは私達視聴者だけ』で『作中の他の登場人物達は誰も知らない』のです。牧君の言動を見ると合致するのはこの「ずーっと創一の友達でいてね」のみです。春田母は息子が同性と付き合ってるってあの時知らないから、悪気無いどころか歓迎してくれている。ところがこれに「はい」と答えてしまうと友達でいなければならない。春田さんは「別れるって何だよ」と言って別れることは望んでいないのですが、春田さんと春田母、2人の望みは同時に叶えられない状態。春田母の方を選んだ状態だから別れを切り出してくるし、「好きじゃない」とは言うんですけど「嫌い」とは言わないんです。『友達』を望まれているから恋人として好きでいてはいけないけど、友達でいるために嫌いになってはいけない。元の先輩後輩の関係に戻ったように春田さんは思ってるんですけど、牧君はそうじゃないっぽい表情見せますね。この先輩後輩の関係をマロも「友達」って言いますから、この関係を友達とするのでいいはずです。これだけ合致しますから、つまりあの別れは『春田母のことを考えて春田創一と別れた』ことになります。春田母は「孫の顔」「ちずちゃんとの結婚」「友達でいてね」と3つの望みを口にしますが、孫の顔とちずちゃんとの結婚については望みを口にしただけで牧君に頼んだわけじゃないです。「友達でいてね」だけはお願いされて、「はい」と答えてしまった。牧君もこれだけで、あとのことには何もしてないです。
ケンタツと檸檬ちゃんの「人に言えない恋愛なら、俺は続かないと思う」「じゃあ別れるしかないんじゃない?」が伏線。春田さんと付き合っていることを春田母に言うことも、春田母に会ってしまったことを春田さんに言うこともできなかったから、別れるしかなかった。

ちずちゃんから「何で別れた?」って聞かれるのですが、『春田母のことを考えて春田創一と別れた』のに、「春田創一に幸せになってほしい」と答えたら会話が支離滅裂です。もちろん恋愛の意味ではありませんが、牧君が言う『本当に好きな人』を春田母のことだとしてあの牧君の話を聞いてみてください。全く同じセリフなんですが、春田創一のことを言っているか春田母のことを言っているかで意味合いが全く変わります。でも春田母のことを言っているとしても話通じますよね?春田創一と結婚するなら春田母とも家族になります。「本当に好きな人」と言えるくらい創一だけでなくそのお母さんも好きになって、春田母を巻き込んでしまうことを心配して牧君は身を引いた。
……あれ?では巻き込んでしまうことが怖くなった相手が春田母であるとすれば、春田創一のことは『すでに巻き込んでいた』ことになるのでは?

牧君が春田母と会ってしまったことを知っているのは私達視聴者だけです。武川さんはそのことを知りません。武川さんは6話で春田家に押し掛けてますし、その時牧君が「このまま本当に付き合って、春田さんは本当に幸せなのかなって思って」と言っているので、それをそのまま「お前のことを考えてな」と思い込んでますよね。繰り返しますが、武川さんは牧君が春田母に会ってしまったこともその時言われたことも知りません。春田のことを考えてと思い込んでるのであって、嘘を吐いてるわけではありません。…視聴者も『春田創一のことを考えて春田創一と別れた』とほぼ思っているかと思いますが…。

「俺といたら、春田さんは幸せになれませんよ!」
春田母からは「友達でいてね」と望まれているため、『俺といたら』とは友達でいるということ。もし牧君が春田さんの幸せを女性と結婚して子供が産まれる普通の人生に戻ることだと考えているなら、友達でいても春田さんは幸せになれるんです。男同士で友達でいるわけですからね。

俺と友達でいたら春田さんは幸せになれない。

牧君が思っている『春田創一の幸せ』とは、女性と結婚する普通の人生に戻ることじゃないんです。そんなこと勝手に決めていないんです。春田さんは牧君に「俺と結婚してください!」と『牧凌太との結婚』を望みますが、それが春田さんにとっての幸せであるなら、友達でいなくてはならず応えることができないので春田さんは幸せになれません。
何故牧君はそう思っているのか。『春田さんの幸せは俺と結婚すること』と何故牧君本人が知っているのか。

『春田創一の幸せは牧凌太との結婚である』と『牧凌太本人が知っている』方法は1つしかあり得ないんです。
最終話でのプロポーズは初めてじゃないんです。2回目なんです。

『春田さんと結婚したら俺は幸せになれる』という認識であるとすると、「俺といたら、春田さんは幸せになれませんよ!」が合わなくなる。このセリフが出てくるためには『俺と結婚したら春田さんは幸せになれる』という認識でなければならず、1回目のプロポーズは「お前を幸せにします」ではなく「俺を幸せにしてください」って言われている感じがします。

ではそもそも1回目はいつであるのか。6話の「本当にいいんですか?相手が俺で」「いいよ、それは」がお互いに『結婚の相手』として話しているなら、話がとても自然に繋がります。
この前日には牧君が熱で倒れているため、もはや1回目のプロポーズは牧君を好きだと自覚した買い物デートのその日の夜しか無いんです。『春田さんのペース』が1年かかってようやく追い付いたどころか、好きだと自覚したその日のうちにプロポーズしているようです。マロに「どっちかっていうと向こうからの流れだったんだけど」と言いますが、どっちかっていうとも何も、視聴者から見た映像ではどう見ても向こうからの流れでしかないので、映像に無い部分でこっちからの流れもあったことになります。

買い物デートの翌日には熱を出して倒れる。オンエアではカットされていますが、シナリオブックとDVD特典映像には「今朝からちょっと熱があって」というセリフあり。ケンタツと檸檬ちゃんの会見は13時なので、熱を出したのは職場で交際宣言されたことによるストレスではない。「ただの風邪」と言っているので『風邪』なのですが、咳やくしゃみなどの風邪っぽい症状は無し。5話から無くなりますが、春田家ダイニング(ちずちゃんが座った席の後ろあたり)にはマスクの箱あり。マスクの常備があるし、風邪をひいている時にマスクをせずにスーパーに買い物に行くのは非常識では?
つまりあれは『風邪』ですが、症状が熱のみであるため周りの人に移らないようです。ところが春牧の間ではお互いに移るものだと認識していますね。なぞなぞです。関係無い人には移りませんが、春牧の間でのみ移ります。さてこの風邪の原因は?
裸で寝て体を冷やしたこと(=初夜)であると推測でき、ベッドで裸にならないと移らない風邪を移そうとするあたり、お誘いではないかと思います!
この1回目のプロポーズ〜風邪の原因までの大きな出来事を、オンエアでは日にちが変わる形で丸ごとすっ飛ばしているのです。

買い物デートのその日の夜にプロポーズしているとなると、ケンタツと檸檬ちゃんの『結婚を前提にした交際会見』。春田さんの「俺と牧は付き合ってます!」も「俺と牧は(結婚を前提に)付き合ってます!」であると思われる。

……のですが。
どうも話がおかしいのです。
武川さんが春田家に押し掛けた時、
「何で否定したんだ?お前ら付き合ってるんだろ?」
「このまま本当に付き合って、春田さんは本当に幸せなのかなって思って」
と疑問に思っています。春田さんからプロポーズされたのだから、このまま付き合って春田さんは幸せなはずなんです。なのに何故牧君は疑問に思っているのか。
『本当に』って2回言うんですよね。この一連の部分では最も難関なんですが、「本当に付き合って」ということは、付き合っていることは本当ではない、ということになるのではないか。プロポーズされたことは本当だが、付き合っていることは本当ではない。つまり、
「俺と牧は結婚しました!」
が本当であるのを「付き合ってます!」と嘘を吐いてしまったことにより、周りからは『付き合っている』と思われてしまい、「ちょっと意味が分からない」と牧君は『付き合っていること』を否定した。

あとはこれを時系列順に並べ直せばいいです。映像も脚本も何も変わっていませんが、話数順に見た展開と全く違うものになります。こちらの一連の流れは「男同士でキスとかマジでねえ」とか言ってたあの春田さんが、牧君を好きだと自覚したその日のうちにプロポーズ・結婚して肉体関係の一線も越え、突然振られたのに1年後にもう1度プロポーズするという、春→牧の愛情が爆上がりします。普通に見ていると「結婚ってさ、何?」と言っている答えが無いままプロポーズすることにとても違和感がありましたが、1年前に形の無い気分だけの結婚をしていたなら『もう1度プロポーズする』ということにとても納得です。

ケンタツと檸檬ちゃんの結婚を前提にした交際会見。普通に見ていると何も違和感無いと思いますが、『仕掛けを解いた人向けのトラップを事前に仕掛けている』ものであるため、非常に厳重であり、これが真相であると考えられる。『俺と牧は(結婚を前提に)付き合ってます!』で半月ほど足止めされました…。
また、牧家でのテーブルの下で春田さんの脚をつねるというアドリブ。物事の順序(互いの両親に挨拶してから結婚)を無視して急な結婚をしたのは春田さんであり、それを棚に上げて牧君を責めているんですよ。牧君が怒るのも当たり前で、怒らない方が不自然。撮影も始めからこの展開であるだろうことが見える唯一のシーン。

この一連は『牧凌太の目線で見る』ことでのみ、表に出てくるものとなる。公式が何で何も説明しないかって言ったら、今までのは『春田創一が主人公』ですからね。

これが私が愛している美しいおっさんずラブの世界ですよ。脚本は1つしか無いんだけど、実質的に2つの展開を同時に作り出してるって分かりますかね?skyの件とかでファンからは徳尾さんの脚本に酷評や不満も上がってるけど、しれっとしながらメチャクチャすごい人ですよ。今の所非公式ではありますが、『最初から仕込まれている』ものなので、その点はご理解ください。見付けたのは去年の6月末、最初に問い合わせ送ったのは去年の9月頭ですが、いまだに説明無し。普通に話数順に見た展開が先に世の中に出ますし、熱狂的なファンは余計に気付かないかも…?

ラストの展開があまりにも急だったし、skyもこういうのあるのかな…?確実にあるってことなら頑張るけど、何も無いなら頭悩ませるだけ時間と体力の無駄。あるのか無いのかさえ分からない…。

28日に拍手3件ありがとうございました!