誠実は無力であって、しかし誠実は楔であって



人と人とは違うから
互いに価値も重さも方法も過程も
異なっているのは道理だけれど

それがわかっていても思うのは
私を粗雑に扱う人のために私は使い潰されなくてはならないのかという気持ちで


互いにやり方が違うのだから軋轢を生まないために距離を取ることは間違っていないはずで
互いに感覚が違うのだから押し付け合いにならないための線引は必要なはずで
互いに変わりゆくものだから知ろうとすることや敬意を持つことは大切なはずで


それらはとても難しいことだけれど、難しいからと軽んじず、理想だからと放り投げず、慣れているからと盲目にならず、考え続けることは無意味だと言われるのだろうか

いつになったら


いつになったら
生きていることを
肯定できるのか

いつになったら
なんの後ろめたさもなく生きていけるのか

いつになったら
もう大丈夫だと言ってもらえるのか

いつになったら
大切なことを大切にできるのか


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