仕事しながらこんなことばっかり考えているのです。
 ということでメモがてら隣の空間で。谷口さんが壁ドンに憧れているようです。


「俺、最近テレビのCMで見たんですけど、壁ドンっていうのが漫画のシチュエーションであるらしくて。女の子の理想らしいですよ。西さん、彼女さんにやったことありますか?」
「俺はそんな……恥ずかしいしかっこ悪いですよ。ていうより、やる時ないですし!」
「えー、西さんイケメンなのに。モテるだろうなぁ」
「それを言うなら犀賀さんですよ。男前だし紳士だし」
「そりゃあ、いくら西さんでもマスターに敵うわけないですよ〜」
(ズバッと言われると悲しい……)

「壁ドン? 騒いでいると隣の住民から壁を殴られて注意をされることですか?」
「その辺りの鈍感さは揺らぎないですね、犀賀さん」
「壁ドンっていうのは、女の子を壁際まで追いやって……こう、片手とか両手とかで壁をドンってするんですよ」
「吐いている人みたいですねぇ……」
「一応ムードのあるシーンなんですよ、マスター!」

「若い頃はよくそんな格好で話していた気もしますよ? 留学先やフランスでは友人同士の会話でも壁に手をついてラフに話していましたし」
「ちょっと意味合い違うけどすごく羨ましい……!」
「別に谷口さんもそうしてお話ししても構いませんよ」
「うええ!? あっ、で、でも俺は、マスターに壁ドンされてそのお顔を下から拝見したいなあなんて思っちゃったりするんですよねー!」
「今更聞きますけど、谷口さんって結構変態ですよね」
「誤解ですよ西さん! マスターにだけです!」

 結局してもらった
「はあ……どうして俺は男に生まれてきたんだろう……」
「オネエみたいなこと言わないで下さいよ……」
「亮佑君もやりますか?」
「いや、えっと。あ、じゃあ……どうせなんで」

 壁ドン(2回目)やってもらった
「谷口さんの気持ちがちょっと分かりました……犀賀さんやっぱ凄いです。どの角度から見ても男前すぎます」
「自分ではよく分かりませんが」
「緤さんだけにはやらないで下さい。惚れられる」
「おやおや可愛いことを」

ねむい