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死へ歌う

「なーらんだー、なーらんだー赤ー白ー黄色ー。」

「・・・」

「ど、どーのはーなみーてーもー、きーれーいーだーなー・・・」

「・・・」

「・・・」

「何だ、そのふざけた歌は。」

「ふ、ふざけ!?チューリップのうたですよ!ふざけてないです!」


何故私がタナトス様の前で歌っているのか。それは数分前に至る。

今日、目が覚めた私は花でも見ながら散歩でもしようかなと思い外へ出た。が、少し歩いた後、最近仲良くなりはじめた妖精さん達に「今日も一緒に歌いましょ!」と誘われ、楽しく歌っていたら「ほぅ。キサマ、歌えるのか?」とあの神が。そう、タナトス様が現れたのだ。

一緒に歌っていた妖精さん達が「タナトス様よ!」「今日は何を弾かせて聞かせてくれるんですか?」と、一気にタナトス様の近くに集まる。
相変わらず凄い人気だなー、モテるんだなーと、のほほんとしながらその光景を眺めていたら、タナトス様が私の目の前に来て、「続きを歌え」と言い出すではないか。いや、この可愛い妖精さん達を愛でてあげてくださいよ。
それに一人で歌えとか、公開処刑もいいところですよね。軽く恥ずか死ねる自信がありますよ。
しかし「嫌です」と言ったところで、この神様が「そうか、嫌なら仕方あるまい。」と引くようなお方でもない。無理矢理にでも歌わざるを得ない状況にしてくるだろう。それにこの間の言い合いでも思ったけど、あまり逆らわないほうが利口なんだろうな。


「・・・」

「・・・」


利口、なんだろうけど・・・
どうしたって恥ずかしい。
でもこのまま歌わないでタナトス様が不機嫌になって、吹き飛ばされてしまったら!あの時はきっとタナトス様の気まぐれでこの身が吹き飛ばされなかったから良かったものの、次は、もしかしたら無いかもしれない。歌うしかない。
タナトス様を睨み付けるように見上げた後


「・・・歌います。」

そして歌ったのがチューリップのうた。
そして冒頭の会話に至る。


「俺は続きを歌え、と言った。それにチューリップのうたなどと・・・もっとマシな歌は歌えんのか?」

「(マシって、チューリップのうたと作った人に謝ってください。)歌えません。これが私の限界です。」

「嘘をつくな。先ほどニンフ達と一緒に歌っていただろう。」

「あれは、妖精さん達が歌っていて、いつもそれに何となく混ざって歌っているという感じなので。一人ではちょっと・・・」

「ならば、歌えるようになれ。」

「え。」


チューリップのうたを歌って、はい終わり。じゃないんですか?と、首を傾げている私に

「俺は、キサマの声をとても気に入っている。」

そう言ってタナトス様は自身の右手を私の左頬に添え、真っ直ぐに私の目を見てくる。
その予想もしてなかった行為と、いつもの意地悪な笑みではなく少し優しく笑っているように見えるタナトス様の表情にドギマギする。次第に自分の顔に熱が集中していくのを感じ、「タ、タナトス様?」と声を掛けると、添えられていた手が離れる。そしていつも見る意地悪な笑みに戻りフン、と鼻で笑った後


「阿呆な顔だ。」

「な!」

「覚えたら聞かせに来い。」


そう言い残し、妖精さん達と共に何処かへ行ってしまった。
何て失礼な、そして勝手な神様だ。そんな事は今更、とも思うけど。
今度、妖精さん達に歌を教えてもらおう。覚えないとあの神様は煩さそうだ。
そう思い、花を見ながら散歩を再開させた。







お久しぶりなタナトス様。
書こう書こうと思いつつもなかなか文章とか話の内容が浮かんでこなくて放置してたんだけど、つい最近パソコン開いて打ち込んでみたらすんなり出来て良かった(笑)
自己満だからこそ好きに自由に書いてるけど、これもうタナトス様じゃねーよなって毎回思って書いてる(笑)
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