無防備

無修正出産シーンは猥褻なのか?


映倫による判断で18禁公開され、それが話題となってクローズアップされた作品。




無防備
監督:市井昌秀
出演:森谷文子 今野早苗




さて、久しぶりの邦画であります。

でえ……これが猥褻か否かゆう問題に関してやけど、オレは全く興味ありません。

うーん…映倫の判断は置いといて、オレ個人の意見を言えば、そのシーンはそこまでのリアリティ必要なかったんちゃう……ゆうのが正直な感想。

監督はこれで3作目のまだ若い作品やし、マニアックな賞は獲ってはるんやけど、オレの評価はやや辛いです。



主人公(森谷文子)は、仕事先のプラスチック工場となんとも陰気臭い家を往復するだけの単調な日々を生きている。

会社勤めの夫とは会話もなく、食事も寝るのも別の部屋。

どこまでも重苦しい感じの夫婦生活が、暗い照明やら薄汚れた壁紙やら……そんな小道具で上手く表現されとる。

そんな主人公が、職場で働き始める妊婦(今野早苗)と知り合うことにより、物語が始まる。



全くつまらん作品ゆうわけでもないの。

主人公には自動車事故による流産ゆうツラい過去があり、それが原因で夫婦の間は冷めきってセックスレスになってる。

そこに、夫に愛され自分のお腹の中に最愛のものを授かった、主人公からしたら目も眩むような幸福のなかにいる女性が現れる。



乗り越えられないトラウマ、羨望と嫉妬、そんな主人公の苦しみは存分に伝わってくる。

特に、立ち直ろうと喘ぐ姿は切ない、めちゃ切ない。

スーパーで奮発してステーキを買い、化粧してイヤリングをつけテーブルに花を飾って夫を待つ。

夫←なんか察したみたいに帰ってこんねん。



台所でキャベツ刻みまくってた主人公は突然意を決し、エプロン取って着てた服も脱ぎ捨て、シャワー浴びとる夫のもとに向かう。



「一緒にシャワー浴びてもいい?」

そんな主人公を

「いやだよ」

の一言で夫は冷たく拒絶。



それでも食い下がり…

「私たち夫婦よね

私たち……夫婦よね?

私…子どもが欲しいの」

そう夫に迫る。




その答えが………



「オレは欲しくない」






あんね……これ彼氏か御主人に見せるべきかもね。

痛切に反省します。

まあ、この映画においては夫は夫なりの傷を抱えとるんやろけど、あんまりです。

男から見ても、それはあんまり酷すぎです。




この話ね、特別なことは何もないのです。

どこにでも、そして誰にでもある過去の苦しみ、夫婦の心のすれ違いを、ひたすらリアリティを持って描いてます。

ちょっとNHKアーカイブズ見とるような感じなんやけど、それはそれで悪くないし、たぶん道に視点を置いた撮り方、緑の田んぼを一直線に伸びる道とか、何回も出てくるY字路とか、かなり好きな演出なんやけどね。



それが生きてないのよねえ……。


結局話題となったエンディングだけに力入れ過ぎて、せっかく丁寧に描かれてた前半部が印象薄くなっちゃった感じ。




して、オレにはどうしてもタイトルの【無防備】←の意味が分からねーのよ。