痛みには慣れていた。どんなことでも我慢できた。だけど快楽にはなかなか慣れることがなくて、慣れた頃にはもう都合がつかなくなっていた。
 ボンゴレの兄貴分だかなんだか、所詮はマフィアでしか無いのだからと思っていたけれどマフィアである前にただの男なんだと今になって思う。彼はいつだって情欲をもってしか僕に触れてこなかった。

「恋人じゃなくていいよ」

 彼はそう言ったけど、僕自身別にそれでも良かったのは嘘じゃない。そうじゃなくてもいいのだけど。ひと月ぶりに連絡が取れてもそっけない返事で後ろには女の気配。

「待てなんてできないんですけど」
「んー」
「あなたがバカな猫にしたんですから少しは責任とってくださいよ」
「悪かった」
「また違うお姫様たちとダンスですか?」
「わがまま言うなって」

 なんと、僕はわがままらしい。今までそんなこと思いもしなかったけれど、彼がそう言うのだからそうなのだろう。愛してるって言ったくせに。やっぱりマフィアなんて、大人なんて嘘ばっかり。自分の都合ばっかり。
 あなたなんて嫌いですよ。自分勝手に飼い慣らしたくせに。せめてくずかごに捨ててくれれば諦めもつくのに。
 少しだけ幸せというものに憧れていたのに。






完全にSPELL MAGIC(
でぃのむく初めて書いたけどディーノさんはこんなひどい男じゃないと思う。