がたん、ごとん。規則正しい振動が眠気を誘う午前0:30。終電に乗れて良かった。と道明寺は軽く息を吐いた。
潜入捜査だなんていいように言われて出向いた先はホームセンターでのアルバイト。連日の力仕事に道明寺は心底参っていた。それなのに忘年会がどうとかでこんな時間までつきあわされて……
「あんなとこにストレインなんていねぇよ……」
もう一度大きく息を吐いた直後、最寄駅に停車した。降りる人の波に乗って外に出ると息が真っ白に濁った。
寒い。外はすっかりクリスマスモードでキラキラしたイルミネーションがそこら中をかがやかせる。通り過ぎるカップルがはしゃいで、追い越して行った子供は父親にキラキラで綺麗だと、その輝く目を向けていた。
「ただの電球じゃん」
ただの電球。電球がいろんな色に光ってるだけ。確かに綺麗かもしれないけど別に、さして興味もない。
ふぅ、とまたひとつ息を吐く。疲れが溜まってしまって溜息ばかりだ。思いながら改札を出た。
ちくしょう。雪だ。傘なんて持ってないのに。
仕方なく雪が舞い落ちる中へ足を踏み出すと、
「道明寺さん!」
知っている声に呼ばれた。
「日高!?お前何やって」
「おかえりなさい、道明寺さん。あんた寒いのになんでコートだけなんすか。鼻真っ赤だし」
くく、と笑って自分のしているマフラーを巻きつけられる。その手はとても冷えていた。
「なんでいんの」
「迎えに来たんすよ」
「なんで?」
言ってから気づいた。残念ながらもう日付は変わってしまったけれど、どうやら彼は怒ってはいないみたいだ。
「ごめん、忘れてた……」
「いーっすよ。道明寺さんここんとこずっと忙しかったし」
「うん、」
帰ろうかと傘を掲げた右手を掴む。やっぱりとても冷えていた。
「おめでと。好きだよ」
「はい。ありがとう道明寺さん」
少しだけ、イルミネーションが綺麗だと思った。
日高おたおめ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
遅くなってごめんね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!