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つなむくのようななにか

幸せにしたい。彼はそう言って僕の手を取ったから、さっきから僕の手のひらはあたたかい。
あたたかいのだ、彼は。いつも陽だまりのような髪を揺らして、蜂蜜のように笑うから、僕にはなかなか消化できない。
「エゴですね」
僕は手のひらをあたためられながら言う。
それはエゴである。僕は幸せなんて知らなくていい。
僕は陰で生きていくから、君が勝手に幸せになりなさい。
「知ってる」
頷くけど、彼は手を握ったまま放してくれない。
いつまで経っても甘い蜂蜜は僕の舌には合わないままで、とうとう僕がその手を握り返すことはなかった。
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