BL王道学園
生徒会長親衛隊副隊長の独白
副隊長→隊長
日差しが暑い。
山中の学園でも、陽が当たれば暑い。
木陰に入れば風が涼しいとわかっていても、陽の当たるロータリーにいた。
あの人を、見逃さずに待ちたいから。
生徒たちが、チラチラと視線を寄越しては噂する。
解散させられた親衛隊副隊長は、そんなに面白いだろうか。
噂は多少の鰭がついてるものの、大筋は合っているようだ。
“会長親衛隊隊長自ら、目障りの転入生に制裁”
最も規模が大きいものの、規律が厳しく制裁行為を一切行っていなかった隊の、その隊長が自ら編入生を襲った。
俺はその現場にいた。
特別教室塔の空き教室でコトに起こしてる最中、扉の前を塞いでいた。
塞ぐといって、傍観していた。
数にモノを言わせて編入生をねじ伏せて、彼の体を暴いていった。
クスリで無理やり、彼の体を拓いていった。
力の入らない体で、彼は必死に抵抗していた。
泣きながら抵抗して、名前を呼んだ。
会長の名前を、呼んだ。
編入生が会長の名前を呼んだときの、あの人の表情が忘れられない。
嫉妬と羨望と憎悪の入り混じった、複雑なあの瞳。
彼の叫びを聞いた途端、あの人は自ら編入生に馬乗りになった。
泣き叫びながら、編入生の顔を叩き続けていた。
俺たち親衛隊が、生徒会長の名前を呼ぶことを許されたことは、一度もない。
いつだって、機械の部品みたいに扱われていた。
俺たちはいつだって愛されたかった。
けどいつも少し臆病だった。
そして、やり方を間違えてばかりいた。
どこから嗅ぎつけたのか、編入生への制裁は生徒会によって発見された。
一番見られたくない人たちに、一番見られたくないところを発見された。
隊長はすべての責任を負い、今日、学校を去る。
俺は、どうしても最後にあの人に、隊長に会いたい。
大好きだったから、傍にいたかった。大切だったから、支えたかった。
だけど、俺は間違えた。
止めるべき、だった。
もっと早く止めるべきだった。
願いを叶えることだけが、愛じゃなかった。
隊長に会って、言いたい。
大好きだった大切だった、だから待っていて欲しい。
もう二度と、守り方を間違えないから。
あなたを迎えにいく日を、待っていて欲しい。
もう二度と、誰も傷つけずに、大切な人を守れるようになるから。
だから、どうか、俺を忘れられないで。
正しさ、なんていつだってきっとわからない、それすらまだ知らなかった
2011-4-9 18:31