本編とはまるっきり関係ない話。敵は出ないので、まぁ平穏なのかな…。
クリスマスイブのゼルフェノア本部。晴斗はクリスマスの飾りつけがされた休憩所と司令室を見て、ついテンションが上がってしまう。
クリスマスの飾りつけいつの間に!?そんな暇ないだろこの組織!
そこにやってきたのは宇崎だった。
「室長、クリスマスの飾り本格的すぎますよ!?海外みたいになってる…」
宇崎はのほほ〜んとしてる。いつもよりも呑気。
「晴斗、メリクリ。今日はイブだろう?
うちの組織、毎年クリスマスパーティーやってんの。歓迎会と忘新年会はやらないけどさ、クリスマスパーティーだけはしてるのよ。パーティーは自由参加だぞ〜」
ゼルフェノアって…クリスマスパーティー、やるんだ…。
そんな平穏なゼルフェノア本部に異変が訪れる。
午前10時過ぎ。それはいきなり起きた。
御堂は音に気づいた。
「なんかさっきから外が騒がしくないか?ざわめいてるというか…」
「外?何もないぞ?」
鼎はいつも通りの反応。
しばらくして。
激しい轟音と共に本部グラウンドに何かが落下してきた。グラウンドに凄まじい音と衝撃が響いた。
「一体何が起きたんだよ!?すげー音したぞ」
御堂は慌ててる。この事態に晴斗達はグラウンドに出向くことに。
本部・グラウンド。グラウンドには大きなクレーターが出来ていた。クレーターの中心には何かいる。
宇崎達はクレーターに散らばった何かの残骸とクレーターの中心にいた人に気づいた。
「人が落ちてきた!?」
晴斗、信じられないリアクション。
宇崎達は恐るべしクレーターの中心へ向かう。そこには華奢な少女の姿が。赤と白のサンタのような服を着ている。あの帽子も見たことがある。
少女のリアクションは軽かった。
「いったーい…」
少女は無傷。落下時に尻餅をついたらしく、痛がってはいたが怪我はなし。
晴斗は思わず声をかけた。
「あの…どちら様ですか?なんかすっごい音したけど」
「あ…あの、この建物の人達ですか?不時着しちゃいました。あ…私はサンタクロース見習いのソニアです」
今何て言った!?サンタクロース見習い!?
「そり、壊れてしまいました。これじゃあプレゼント配れません…」
ソニアと名乗った少女はしゅんとしている。宇崎はおずおずと聞いてみた。
「君、どこから来たんだ?落下でクレーターを作るほどって…どういうことだ?」
「え?宇宙です。大気圏に突入しようとしたら、スペースデブリに見事に激突しましてですね…。トナカイは逃げるわ、そりは壊れるわで帰れなくなりました」
「それで地球に落下してきたのか…。にわかに信じがたい…けどマジなんか」
宇崎のリアクションも「うそーん」という感じ。
サンタって実在したの!?この子、「見習い」って言ってたけど。
「そりを直せばいいんだね。ソニアと言ったっけ、建物の中に入りなよ。帰す方法を探るから」
あの普段はちゃらんぽらんな宇崎が頼もしいことを言ってる。
「あ、ありがとうございます〜」
ソニア、泣きそう。この子、よく見ると可愛い。
本部・司令室。
宇崎は何かを凝視していた。それは組織の偵察衛星の映像。
「偵察衛星で見たら、確かにソニアのそりは見事に激突しているな…。派手にぶつかってる…」
「室長、うちの組織偵察衛星あるの!?」
晴斗は「えぇ!?」という反応。宇崎はきょとんとしている。
「宇宙分野、今のところ人工衛星だけだが…あるよ?」
「あるのかよ!?」
「ソニア、そりを見ていいか?」
「あ…はい。どうぞ」
本部・研究室。宇崎はそりを分析していた。
ただの金属とは思えないが…直してみるか…。しかしあの子、あの高さで落ちて無傷とは地球人とは思えない…。
休憩所では隊員達がソニアに色々と聞いていた。
「サンタって実在するの?」
晴斗、目をキラキラさせている。
「師匠のことですね。1人じゃプレゼント、配りきれないから見習いも総動員してるんです」
見習いサンタ、何人いるんだろう…。
研究室では宇崎が破損したそりの修理にかかっていたが、ここで苦戦する。
メカニック班を呼ばないと無理かもな…。いや…それはともかく、これをどうやって飛ばすんだ!?
宇崎に立ちはだかる壁は大きい。修理出来たとしても、飛ばす手段をどうするか。ソニアは大気圏外から落下したあたり…ついに宇宙局の出番か?
実は特務機関ゼルフェノアは表にはその存在を明かしてないが、「宇宙局」が存在する。
偵察衛星を飛ばした場所がこの宇宙局。
宇宙局案件が来るとはな〜。あいつら応じてくれるかな。
応じてくれないと非常に困るんだが…。ソニアちゃんめっちゃ困ってるし…。
急遽、メカニック班が召集された。場所は格納庫。
そりの修理はこの格納庫で行われることに。
「…というわけで、そりの修理を手伝って欲しいんだ。俺1人じゃ限界があるからね」
「室長、りょーかいです」
「室長、どうやってこれ飛ばすの?エンジン搭載されてないんでしょ?」
やっぱり同じこと聞いてるよ…。メカニック班はメカオタクが多いから、興味津々だし。
そんなわけで宇崎は急遽、ゼルフェノア宇宙局へ掛け合うこととなった。
宇宙局は謎が多いが、テクノロジーは凄まじい。
この嘘みたいな話、信じて貰えるだろうか…。
ちなみに長官はあっさり快諾したので、ゼルフェノア全施設にこの話は伝わっている。
メカニック班が召集されること自体、珍しいのだが、宇宙局案件も非常に珍しい。
一方、晴斗達はソニアとの交流を楽しんでいた。
ソニアは中学生くらいの少女。おっちょこちょいらしく、よくヘマをする。
おっとりした感じだがドジらしい。天然か?
宇崎の奮闘はまだ続く。
番外編(中)へ続く。