昭和レトロな喫茶店風の休憩所でのんびり休憩中のプレイヤー7人。この休憩所はフィールドの外にある。
「おい…霧人、いちかそろそろ起きろって」
御堂はソファーで仮眠中の2人を起こそうとしている。いちかは起きた。
「んにゃ?たいちょー…?」
霧人はまだ寝ている模様。御堂は霧人に一発蹴りを加えた。
「うぉい!?足蹴にすんなよ!?御堂ひどくないか!?」
霧人、慌てて起きる。御堂は足をテーブルに掛けながら言った。めちゃくちゃ態度は悪いが、霧人相手なのでそんな感じ。
「のんきにしている場合かよ?第2ウェーブに備えろ、バカ」
御堂の口の悪さ全開。
店内が慌ただしくなった。
運営スタッフの喫茶店マスター風の男性とウェイトレス風の女性は店内に、近未来的なヴィジョンを出すとフィールドを確認中。
「ナツメ、これは第2ウェーブが来るかもね」
「えぇ。プレイヤー達に伝えておきます」
ナツメと呼ばれた女性はウェイトレス風の運営スタッフ。喫茶店マスター風の男性はシバという運営スタッフだ。
ナツメはプレイヤー7人に急いで伝えた。
「皆さん、第2ウェーブが来るようです。ゲームはそろそろ始まります。用意を」
「第2ウェーブ…来たか…」
御堂は専用銃を武器置き場から手に取った。この休憩所には専用の武器置き場がある。ここに専用銃を置けるようになっている。
運営が提供しているだけあって、休憩所は広々としていた。仮眠出来るスペースもあるくらいだから。
7人はスマホで怪人の群れの大まかな動向を把握。それぞれ配置についた。
群れといってもいきなり大量には来ない。ある方向からパラパラ現れる。
朝倉はめちゃくちゃ楽しそう。
「きたきたきたーっ!!」
朝倉は銃を連射。
第2ウェーブは第1ウェーブとはビミョーに違う。怪人の難易度が始めから少しだけ上がっていた。
「追いかけてきたーっ!!」
晴斗と御堂はひたすら逃げる。よりによって追いかけてくる怪人がこっちを狙ってくるなんて!!
鼎と桐谷は第1ウェーブと同じように、物陰から隠れながら撃破する。
敵の傾向がビミョーに違うな…。第1ウェーブはデモンストレーションに過ぎなかったのか。
いちかと霧人はなぜか一緒に行動する流れに。
「なんでお前と一緒なんだよ!?」
「成り行きでそうなったの!しぶやんひどいー」
「仕方ない、連携して撃破するぞ」
「ラジャー」
開始約5分後。鞭を使う個体が放たれた。
御堂は焦る。
「晴斗、別々に動け!!鞭使う個体が現れた!!」
「鞭ィ!?早くない!?まだ5分くらいしか経ってないよ!?」
「難易度上がってやがるな…。とにかく逃げろー!!」
開始約5分で鞭使いの個体出現ってキツくないか!?あんなん喰らったら即、牢屋行きだぞっ!!
桐谷と鼎は別々だが、似たような行動を取っている。
2人も鞭使いの個体に気づいた。
「鞭使いですか…」
桐谷は弱点の胸よりも先に伸びる鞭を撃ち落とす。それにしても厄介だ。
いちかも鞭使いの個体に苦戦していた。
「こんなんじゃ倒せないよおおお!!」
第2ウェーブ開始からまだ10分弱にもかかわらず、鞭使いの個体は容赦ない猛攻を仕掛けている。
鼎はこそこそと物陰から物陰へ逃げながら、怪人の死角を探す。
このゲームフィールドはよく見ると隠れることが出来る場所が多い。怪人の群れは一斉に来るわけではないため、タイミングを見図ればなんとか物陰から物陰へ移動は出来るが…。
最初に鞭使いの餌食になったのは霧人だった。
これが無限牢…。霧人は扉をガタガタと開けようとするが、びくともしない。
「一撃でも受けたら自動的に牢屋にワープされるシステムか…。扉が開かないっ!!」
霧人は力づくで扉と格闘。
第2ウェーブ開始から約10分経過。フィールドに怪人以外の見慣れない人?がぽつぽつと出現。
鼎はその謎の存在が気になった。こいつが時空を漂う「無の存在」か…?
全身白い忍者装束のような衣装に白い仮面姿。ずっとうろうろしている。さ迷っているようにも見える。
プレイヤーに通知が来た。
『時空を漂う「無の存在」出現。』
これを見て最初に動いたのは、御堂。無の存在を味方にすれば有利になるっ!
しかし無の存在は何体いるんだ!?
御堂は無の存在を探し始めた。怪人に追いかけられてる状況だけど。
何気に御堂も鞭使いの怪人をうまく蹴散らしていた。
銃で鞭を斬れば幾分戦いやすくはなる。
この鞭使いの怪人の「鞭を切り落とす」はポイントに加算される。
晴斗は逃げ足は速いが、鞭使いとはギリギリな感じ。
「うわあああああ!!」
晴斗、ひたすら逃げる。とにかく逃げるがあまり撃破出来てない。
いちかは無の存在なんて気にも留めず、撃破に専念。
「おりゃー!!」
朝倉も無の存在を探し始めていた。
どこよ…どこにいるのよ!!
彼女は背後に鞭使いがいることに気づけなかった。
…えっ!?
「ひぎゃーっ!!」
朝倉、牢屋行きに。これで無限牢には霧人と朝倉がいる形に。
「あ、朝倉だ」
霧人は冷めたリアクション。
「なんでそんなに冷めてるのよ」
「…この扉と格闘してたんだよ。全っ然開かねぇ…」
霧人は疲れている様子。
御堂は怪人を確実に撃破しつつ、無の存在を探していた。フィールドに何体いるんだ!?
その間にも鞭使いと矢を投げてくる個体が。
この鬼ごっこ、キツすぎだろ!!鞭使いと矢を使う個体に追いかけられるとか。
鼎は無の存在らしき白づくめの謎の存在に接近。
「お前が時空を漂う『無の存在』か?」
謎の存在はうなずく。言葉は発することが出来ないのか?
鼎はそっとタッチした。
「味方になってくれ」
謎の存在はやはり「無の存在」だった。彼?の手には盾が出現。味方になると守ってくれるらしい。
鼎は無の存在1体を味方にした。盾を持つ仲間がいるのは頼もしい。
「守ってくれよ」
鼎の声に彼?はうなずく。無の存在は簡単な言葉はわかるようだ。
一方の御堂は鞭使いの鞭を切り落としまくったため、ボーナスアイテムが出現した。
それは箱に入ったものだった。怪人が来ないうちに箱を開けるとそこには鉈のような刃物が。
「これで鞭をぶった切れってか」
御堂、専用銃と専用鉈で怪人撃破へ挑む。
桐谷にも動きが。淡々と動いていたが、無の存在かボーナスアイテムは欲しいところですね…。
桐谷は果敢にも怪人相手に銃で弱点を殴るという荒業に出た。制限時間を考えたら、この難易度を考えたら、手段なんて考える暇なんてない。
「仕方ないですねぇ」
桐谷は普段は見せない荒っぽい手段で怪人を次々撃破。すると、ボーナスアイテムが出現。
箱の中身はマシンガンだった。
「マシンガンですか…。ん?ただのマシンガンじゃないですね〜。なるほど」
桐谷、専用銃とマシンガンを使い分ける作戦に出る。
一方の晴斗は逃げるのに疲れた模様。物陰で休んでいた。
やみくもに逃げてちゃだめだな。なんとかしないと…。無の存在がいれば…。
さらにプレイヤーに通知が。
『無の存在はフィールドに3体います。1体はプレイヤーが味方にしました』
残り2体をなんとか味方にしないと無理だ、これ!
気づいたら既に約20分経過。難易度が上がったせいか、時間が経つのが遅い。
いちかはいつの間にか捕まっていた。
「またやられた〜」
無限牢。いちか・朝倉・霧人はビミョーな雰囲気に。
「紀柳院さん、意外と強くない?」
朝倉はこんなことを言い出した。
「きりゅさんは見かけによらず、頭が切れるっていうか…だいたいそんな感じっすよ?」
「いちか、お前鼎とよくいるもんな〜」
いちかも扉と格闘中。
「この扉、どういうカラクリなんだよ!!鍵はないみたいだけどびくともしない〜」
「やめとけいちか。体力温存させておけ。フィールドにはまだ4人いるから」
桐谷はマシンガンで一気に怪人を殲滅。
御堂は鉈で鞭使いの怪人を次々ぶった切る。
鼎は無の存在1体を味方にしたことで、盾で守って貰えてる。
「お前、やるじゃないか」
無の存在は白い仮面姿とあってか、鼎は親近感があった。無の存在はこくんとうなずく。
晴斗は無謀な撃破をしていた。
「難易度一気に上がりすぎ!!」
体力バカな晴斗はギリッギリなところで持っている。
無の存在を見かけたが、残り2体は全て敵の手に落ちていた。怪人有利に。
鞭使いの怪人は無の存在2体を従えていた。
鼎の味方になった無の存在は、鼎に何かをジェスチャーで知らせる。
「無の存在2体が敵になってる!?お前だけではさすがに防御はキツいか…」
無の存在はうなずく。
「わかった。私がそいつと戦う。無の存在はカウントされないのか?」
味方の無の存在、反応出来ない。プレイヤーのスマホに通知が。
『無の存在は1バトルごとにリセットされます。無の存在同士は互いに攻撃出来ません。プレイヤーと無の存在・怪人と無の存在なら攻撃可能です』
「1バトルごとにリセットって…今エンカウントしてる状況だ…」
鼎は銃を構える。敵についた無の存在2体は鼎に矢で攻撃を仕掛ける。さらに鞭使いは鼎を執拗に狙う。
「くっ!!」
鼎は攻撃を1回受ける。鼎の場合は攻撃を3回受けたら牢屋行き。
なんとか防ぎたいが、無の存在は盾で必死に防いでいるも明らかに不利。
鼎は思わず叫んだ。
「お前は他のプレイヤーの元へ行け!バトル途中なら無の存在はリセットされない!」
鼎の言葉を聞いた無の存在は離脱。近くにいるプレイヤーを探す。
バトル途中だと陣営はリセットされない。これは抜け道だった。
鼎は鞭使いから攻撃を受け、牢屋行きになる。
無限牢では鼎が悔しげにしていた。
「鼎、どうした?」
霧人は心配して声を掛けた。
「味方になった無の存在を逃がした…。今頃晴斗達、誰かの元にいればいいのだが…。
なぜだろう。あの無の存在には親近感がある。簡単な言葉しか理解出来ないみたいだが…」
「きりゅさん、大丈夫だよ」
「いちか…」
残り時間、約10分弱。桐谷はマシンガンの弾を使いきり、鞭使いの餌食にされ→牢屋行きになる。
残るプレイヤーは御堂と晴斗のみ。迫るタイムリミット。
厄介な鞭使いの怪人を撃破すればかなり有利になるが、一撃でも攻撃を受けたら第2ウェーブはクリア出来ない。厄介なのは敵についた無の存在2体。
残り時間は刻々と迫っていた。このまま2人は逃げ切れるのか!?
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