それからというものの推しのライブに定期的に通い、メンバーからも覚えられるようになった
推しとも少しずつではあるが仲良くなっていたと思う
そんな時、推しの生誕イベントの開催が予定された
私はいつも予定が合わずどのアイドルも生誕イベントは行ったことがなかった
「絶対行く」と今までとは違うモチベーションで思っていたことを覚えている
生誕イベントのチケットは手売りで本拠地→地方の順番で売られた
そのため良番ではあるが最前列が取れる番号を手に入れることができなかった
でも、推しの生誕に行けることだけで嬉しかったためその特別なチケットを大事にしていた
生誕当日、整理番号順に並んでいた
すると隣に並んでいたファン2名が一緒に入りたいので早いほうの番号と交換しましょうか?と声をかけてきた
※整理番号順で入場できるので友人などと一緒に入りたかったら遅い番号に合わせないといけない
ファンの持っていた番号は一桁台で最前列を取れる番号だった
私は「いいんですか?」と確認しチケットを交換した
その後、列に並び直し入場した
無事最前列を確保することができた
ライブが始まり相変わらず推しを眺めていた
生誕イベントではソロ曲が初披露となりMC終了後推しは1人でステージに立った
推しは自身で作詞した曲への思いを語り、ソロ曲を歌った
私は歌詞をしっかり聞き取りながら最前列でずっと推しを眺めていた
いつの間にか私は泣いていた
私は推しのことが好きだったが所詮アイドルとおたくの愛情表現など伝わってもいないと思っていた
でも推しのそのソロ曲は私含めおたくに書かれており推しのアイドルとしての気持ちが伝わった
最前列で情けなく泣く私をソロ曲を歌いながら泣く推しが見る
目があった瞬間このときが続けばいいのにと感じた
その後、メンバーとソロ曲を歌うことになりまだ涙が引かない私を見てメンバーが笑っていたこともいい思い出となっている
特典会に並び、推しと話した
「◯◯、泣いてたね今日は来てくれて本当に嬉しい」と言われた
恥ずかしいなあと思いながら本当におめでとうと伝えた
何回も並び直ししてチェキを撮ったのだが生誕ではそのメンバーの列が長くなり接触する時間として短くなるため私はなにを話すか考えていた
プレゼントとともにもう一度誕生日おめでとう、愛してると伝えた
おたくからの愛してるなんて聞き慣れているだろうし、気持ちが悪いものかもしれない
だが、私の愛してるは全く言うつもりのなかったものだった
私は愛してるという言葉は前の推しもましてや恋人にさえ言ったことがない
愛してるという感情がわからなかったし、誰に対しても永遠はないと考えていたため保証のない言葉を言うのは自分自身嫌だったからだ
ついでてしまった愛してるに推しは「知ってるよわたしも愛してるよ」と返事した
アイドルなんだからリップサービスだとわかっている
だが、私の愛してるを受け入れられたことそれに答えてくれたことすべてが嬉しいものだった
その言葉を何回も頭の中でリピートしながら次はメンバー全員でチェキを撮った
メンバーは「◯◯泣いてたね〜」などと話していた
私も見られて恥ずかしいなどと答えメンバーたちとも和気あいあいとした時間を過ごした
初めてのアイドルの生誕を見て感動した
アイドルではなく推しだったからかもしれない
推しは私のことをどう思ってるかなど今でもわからない
だが、この一日は私にとっての幸せを共有できた日だったと思う