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「家族ゲーム」が4冠/日刊ドラマGP:ニッカン
(7月8日追記)


吉本荒野
昭和57年1月17日生まれ
AB型

悪意の体現者として生徒と向き合う.

ずっとそうして生きてきた.

けど,今日久しぶりに笑った.

田子雄大として…心から笑った.



“吉本荒野”になることで,すべての罪を背負い,自分を犠牲にして向き合ってきた先生が,ほんの少し救われた瞬間だったのかもしれません.

“田子雄大”としての表情が自然に出ないぐらい“吉本荒野”として生きてきた先生.

慎一くんの心からの叫びが,“吉本荒野”の中から“田子雄大”を引きずり出してくれたのかもしれません.

心から笑ったという笑顔はぎこちなかったけれど,“吉本荒野”の中に“田子雄大”は確かに息づいていました.


絶望の中,先生が選んだのは,真田くんを救ってあげられなかった“田子雄大”を殺すこと.

そして,“吉本荒野”になることで悪意の体現者として生きること.

“死”すら意識した先生は,そうすることでしか生きられなかったのかもしれません.

もしかしたら,先生自身が“真田宗多”だったのではないでしょうか.

純粋で,優しい人間….

“吉本荒野”によって,自分の無力さや弱さを叩きつけられた先生は,自分自身が強くなることでしか変わらないと,真田くんの最期の言葉を胸に這い上がってきたのだと思います.

先生もまた,“吉本荒野”という悪意の体現者に立ち向かっていた1人だったのかもしれません.


自己犠牲の上に成り立つ先生の教育方法が正しいとは思いません.

しかし,そうでもしないと変わらない現実があることは事実で,水上さんが言った「必要悪」だったのかもしれません.

先生の罠にことごとく引っかかり後戻りできないところまで来てしまった沼田家.

先生の仕掛けたゲームに負けたのは事実ですが,負けたからこそ見えたものがあったのだと思います.

「家族を救え」と言われた茂之くん.
「家族を再生させろ」と言われた慎一くん.

先生の意図をようやく汲み取った2人が,沼田家再生への鍵となりました.

立ち向かう強さ,受け入れる強さを手に入れた2人の表情からは,希望や未来を感じることができました.


「あんたのやり方は間違ってんだよ!
あんたのやり方は間違ってる!
間違ってんだよ!
あんたのやり方は間違ってんだよ!」

「何でそこまでするんだよ.
何でそこまで自分を犠牲にすんだよ!」

「贖罪のつもりか!?
それで罪を償ってんのかよ!
間違ってんだよ!」


先生自身がずっと葛藤していたことを見透かして言葉にした慎一くん.

その言葉を受けて,“吉本荒野”の仮面からわずかに“田子雄大”の表情が覗きました.

頬を伝った涙が,言葉以上に語っているように感じました.

慎一くんは,真田くんの代弁者でもあったのかもしれませんね.


「絆のない家族に再生なんてあるわけがない」

しかし,沼田家は取り戻すことができた.

「家族に….家族に絆が生まれた」

兄弟の絆,夫婦の絆,親子の絆.

見えや肩書き,ありとあらゆるしがらみから解放されたことで,お互いに素直になれたのかもしれません.

例えこの先つまづくことがあったとしても,沼田家は立ち上がって進んで行けるのだと思いました.



「ありがとうございました!」



先生が様々なことを経験させたことは無駄ではなかったと,慎一くんが証明してくれましたね.

一瞬だけ見れた“田子雄大”としての表情は,どこか晴れ晴れとしていました.


視聴者が求めていた,また沼田家が望んでいた形の始まりが見えたところで終わりましたが,ラストのシーンで『家族ゲーム』らしさを残してくれました.


「彼女が教えてくれた8年前の真相は,本当に真実なんですか?」


「いいねえ」


どう解釈するかを慎一くんと視聴者に委ねたラストでしたね.

まさに“嘘も本当もどちらでもないから”ということでしょうか.

重要なのは嘘か本当かということではないのでしょうね.

個人的な解釈としては,慎一くんが想像力を働かせたことに対しての「いいねえ」だったのではないかと思っています.

想像力の乏しい大人になることはない,そう思ったのかもしれないですね.


そして,もうこの瞬間には先生は“吉本荒野”でした.

これからも“吉本荒野”として生きていくことが分かった瞬間でもありました.

例え,“進むべき結末に答えは見えなくても”.



「壊れるまで、キミと向きあおう。」


この言葉の意味がようやく理解できた気がします.