慎一くんにとって家族とは何なのか.

「お前が守りたいのは家族じゃない.
自分に都合のいい,この生ぬる〜い環境だ.
カッコつけんなよ,優等生.
あと何日で,お前の居場所がなくなるかな」

その言葉通りの展開となりましたが,それは先生の言う慎一くんにとって都合のいい生ぬるい環境が失われただけであって,そもそも彼に居場所はあったのか.

「吉本に家族を取られちゃいました」

家族は他人の先生よりも身内の自分を信じてくれると思って陥れる材料を用意したのに,それが不発に終わり逆に彼にとっては辛い現実が突きつけられるかたちとなりました.

慎一くんが家族に関心がないのと同様,家族も慎一くんに関心がなかったのかもしれません.

“文武両道の優等生”という慎一くんの肩書きが自慢だっただけであって,彼らにとってもまた,慎一くんは都合のいい息子にすぎなかったのです.

表面だけの脆い絆.

どこまで壊れれば,自分たちの家族が異常だということに気づけるのか.

そして,慎一くんも自分自身をセーブできるときがくるのか.


自殺未遂をした高津くんに放った一言.

「俺のせいじゃないよな?」

彼が心配したのは高津くんの身体でも心でもなく,自分のこと.

まさに自分のことしか考えていない証拠.


「死ぬ間際って,どんな気持ちだと思う?」

「分かるわけないじゃないですか.考えたこともありませんよ」

2話のこの会話からすでに慎一くんの本質を見抜いていた先生.

味わったことのない絶望を感じて初めて慎一くんは相手の気持ちを推し量ることができるのでしょうね.

どん底に突き落とされたときが彼のスタートラインなのかもしれません.

高津くんに放った一言の重みに,慎一くんが気づくことができるのか,変わることができるのか見物です.


周囲から孤立する中,接近する慎一くんと真希.

2人が調べ上げた情報は,どこまでが真実なのか.

もしもあの情報が真実ならば,3話で先生と“吉本荒野”の母親が電話で話していた内容が噛み合わず,矛盾している気がします.

「息子は罰を受けました.これ以上,私たちに関わらないでください」

「嫌です.
これからも会いに行きますよ.忘れてほしくありませんし.
僕と息子さんは….
共犯なんですから」


一体何の罰なのか,何をもっての共犯なのかが分からないだけに,“吉本荒野”が善で,“田子雄大”が悪,ではしっくりこないですね.

先生があの生徒をいじめて自殺に追いやったというのでは,話の筋が通らないというか.

ビデオで証言していた先生たちの言葉の信憑性も薄いですし,真希が調べた情報ということも気になります.

「今度は私があなたの力になりたいの」という真希の真意がどこにあるのかも謎ですし,タイミングよく現れる彼女にもやはりまだ何か裏がありそうです.

病院で“吉本荒野”を見たときの真希の表情も気になりますし.

一体何が真実で,何が罠なのか.

もっと複雑な罠が用意されているのではないかと勘ぐってしまいます.

先生の謎が明らかになるどころか,より一層謎が深まった気がします.

すべては先生の計画通りに進んでいるのか….

ただ,茂之くんのあの行動は,先生にとって予想していなかった展開だったらいいなと個人的な願望を.

先生を信じたいという茂之くんの気持ちが痛いほど伝わってきて,冒頭のモノローグとあいまってグッときました.

例えそれが先生の策略だとしても,変われたことも,楽しいと思える空間を,友人を,手に入れられたことは紛れもない事実で.

茂之くんにとって,先生がどういう人間かはさほど重要ではなくて,自分ととことん向き合ってくれた先生が,彼にとってのすべてなのだと思いました.

茂之くんの想いを聞いて,先生は何を思っていたのかな.

茂之くんを見つめていた先生の目が色んな感情を含んでいて,読み取ることができませんでした.


7話は15分拡大!

オトナでオンナな7話から壮絶な8話へということですが,嵐の前の静けさが恐ろしいです.

どう転がっていくのか.

先が読めない不安と期待でゾクゾクします.

いいねえ.