疲れたなぁ、なんて言っちゃいけないんだろう。

人と関わるということは、そういうことだ。



結果として残るのは、一体なんだろう。
渾身の力で精一杯引っ張って、決して腕を離さずに、ずるずると家まで連れてきた。
やめてくれって懇願されたし、周りの人にも迷惑をかけたけれど、私は手を離さないことで一杯一杯だった。
手加減せずに振り解かれた右手はしばらく力が入らずに、立たせ引っ張り歩かせた両腕はとても重くだるい。
悪かったことは、一体なんだろう。

涙も出ずにじっと見つめた。
ゆっくり寝息を立てている。
ありがとうと言ったけれど、どれほどのことを知りどれほどのことがわかるのか。
抱えている本人はもちろんだが、背負う人間はその重さに加えて君自身の重さも背負っている。

心の臓がとても重たい。
なんどもなんども同じことを繰り返している。
大人になれない私と無情になれないあなた。
何も大切でないということは、全てを大切にしているからだということにどうして気付かない。
全ての物事を平等に見られるのは、稀有な才能だというのに。

大切にされていないと感じるのは、特別なものが君にないからだ。
全て大切にしているから返ってくるものも同じなんだ、きっと。
というより、感じられるものが同じなんだと思う。
私は何よりも君を大切にしているけれど、あなたから返ってくる特別は数えられるほどしかない。
こんなにもこんなにも、怒り、愛し、哀しみ、喜び、君のことだけを見ているのに。



眠れそうにないよ。
君がそこにいるからさ。
離れられないんだ。
心配だからね。
手を離した隙に、どこかに行かれたらたまらない。

眠れそうにないよ。
君がそこにいるからさ。